謎の黄金像が関わるさまざまな事件現場で一体なにが起こったのかを推理する2Dポイント・アンド・クリックアドベンチャー。
評価:9/10
プレイ時間:7.5時間
トレイラー見てもよく分からないね? まあ見るだけでゲーム性分かったら触らない人も出るからな…。気になったら実況プレイの序盤だけ見るとかもできると思うけど、謎解きが好きな人だったらそんなことせずにノータイムで購入して問題ないです。謎解きを主眼としたアドベンチャーとしては間違いがない内容なので…。
ゲームを始めると現れるのは事件現場を示した一枚絵。絵は場所によってクリックで調べられるようになっていて、調べるとその物品・人物などについての追加の情報が得られる。
画面下部には上から「モードを切り替えるボタン」と「(調査で得られた)キーワードをまとめておく枠」がある。切り替えボタンを押すとThinkingモードに移行し、事件現場に残された謎が提示される(ちなみに最初の一枚絵が示されている画面・状態はExploringモードという)。謎は穴埋め問題の形式で、画面下部の枠からキーワードをドラッグ&ドロップで当てはめられるようになっている。
ということで、基本的なゲームプレイは①Exploringモードで絵=事件現場を調査しキーワードを入手する、②Thinkingモードでキーワードを当てはめて解答する、といった流れとなる。細かく言うと最初はThinkingモードに切り替えても謎は提示されておらず、Exploringモードで調査を進めることによって初めて謎が提示される。だから言ってしまえばまず謎を探すところからゲームは始まっている……のだけど、たいていの現場は見た目の時点で奇妙というか謎だらけの状態なので、この時点では謎解きという感じではないです。
謎は複数の小問で成り立っていて、小問単位で穴をすべて埋めると正誤判定が行われる。判定時は正答以外にも、間違いが2箇所以内に収まっている場合はそのように教えてくれる。つまり「惜しい!」という判定があって、これが難易度調整としてよく機能している。Thinkingモードですべての穴を正しいキーワードで埋められればステージクリア。
ゲームは複数のチャプターで成り立っていて、チャプターの中にはまた複数の事件が含まれている(1事件=1ステージと捉えていい)。一つ一つの事件は謎解きとしては独立していて、その現場で得られる情報だけで謎が解けるようになっている。同時にゲーム全体で一つの大きなストーリーを持っていて、それぞれの事件は物語的に緩やかに繋がっている。なので体験としては、個別の事件を追っていたらいつの間にか壮大な陰謀が浮かび上がってきた……みたいな感じになる(ネタバレかな?)。この、スケールの異なる複数の物語&謎解きを綺麗に結びつけているところが作品としての優れた点だ。
「ビジュアルで謎を示し、穴埋め形式で解答する」という大枠のデザインはあの『Return of the Obra Dinn』と似通っている(というか影響下にある)が、「3D世界での一人称視点の探索」ではなく、「2D一枚絵のポイント・アンド・クリック」を採用した点が黄金像のユニークな点だ。映画ではなく小説であり、さらに言えばゲームブックあるいは絵本である。情報を集めるために自分で移動する必要がなく、また調べる、クリックするポイントも絞られている。プレイヤーが必要な情報を集めて推理できるようになるまでの過程が最大限に整備されているのだ。簡単に言えばめちゃくちゃカジュアルにプレイできるということ(別にObra Dinnのスタイルが悪いわけではない。トレードオフとなる要素があるだけ)。
説明もチュートリアルもほとんどないゲームだが、それらの必要がないレベルでゲームデザインが洗練されているということでもある。このフォーマットの発明が画期的であり、今後はこの発展形が出てくることが予想される。……というか本家がどんどんDLCなどの続編を作っている。いやマジでいくらでもバリエーション作れそうだもんね。
(これは蛇足なのだけど、個人的に、Obra Dinnの後に黄金像が出る、というゲームデザインの発展の流れがおもしろいなと思う。自分の感覚だと、黄金像の後にその発展形としてObra Dinnが出る、という流れだと違和感がないというか納得できるのだけど、その逆の流れは自分の頭では発想できないと思う。「(ごちゃごちゃ)→Obra Dinn→黄金像」という流れがあるとして、「Obra Dinn→黄金像」は分かるが、「(ごちゃごちゃ)→Obra Dinn」が分からない。非公式で本作を日本語化した人も書いてるが、やっぱObra Dinnってオーパーツ感あるよね。)
グラフィックはかなり癖が強いが、謎やヒントの表現としては十分に機能している。機能している時点でゲームの構成要素としては合格点であり、これ以上の議論はただの好みの問題となってしまう。回りくどいね、何が言いたいかというと、生理的に気持ち悪いとかでないならばグラフィックで本作の評価を下げるのは筋が悪いだろうということ。個人的には、ゲーム内で必要な情報を伝えることができている上に、作品の個性にもなっている……ひと目でこのゲームだ!って分かる時点で十二分に優れたグラフィックだと思っていますが。
謎解きとしての難易度はめちゃちょうどいいと思います。自分はギリノーヒントでいけました。ステージ9だけあまりに分からなくてヒントボタン押すところまでいったんだけど、いいんですか、本当に見ますか??みたいな確認があり、そこで踏みとどまりました。
再度もろもろを確認してなんとかクリアできたのですが……それでもステージ9はね、他のステージと比べて少し理不尽だったと思う。こっちはプトゥーとかレムリアとかの背景・文脈まったく知らんねん! 状況にもあまり納得いってなくて、そもそも普通に家主と交渉すればよくないか?とかいろいろ思いました。
しかしステージ9以外は本当に適当な難易度だったと思います。ゼルダの伝説とか、謎解きってプレイヤーがどこで沼るか分からないのでいろいろ調整大変な気がしますが、黄金像はすごくバランスがよかったと思います。まあヒント機能がある時点で基本的には優しいのだとは思います。唐突に出てきて、しかもその後にもそこまで影響しなかったプトゥー~レムリア関連は、もしかしたらDLCで掘り下げられるのかもしれませんね。
上の蛇足の部分で少し触れましたが、本作には非公式の日本語化MODがあり、自分はそれを用いてゲームをプレイしました。めちゃくちゃ質が良く、まさに「最初から存在した日本語版」みたいな感じなのでおすすめです。
ということで謎解きが好きな人には広くおすすめできる名作だと思います。別に謎解きが特に好きでなくても、非常にカジュアルにプレイできるゲームなので軽い気持ちで触ってみるといいと思います。日本も脱出ゲームとか謎解きが流行っているので、黄金像に続く作品が日本からも出ないかなとか思っています。もうあるのかな。