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2023年のすごかった漫画たちは今頃どうしているのだろう

「2023年のすごかった漫画(29作品+α)」で取り上げた作品を振り返ります。

 

 

msknmr.hatenablog.com

 

 

 

 

 

平井大橋『ダイヤモンドの功罪』

昨年から全くクオリティを落とすことなく順調に連載を続け、現在は7巻まで刊行されています。

登場人物の緻密な心情描写と、精緻な野球理論に基づいた試合描写、この二つを高いレベルで両立させており、『おお振り』以降の野球漫画の最高到達点であることは揺るぎないでしょう。

贅沢を言うのなら、「おまえはカスや…」を超えるようなパワーワードをまた見てみたいですね。

 

 

 

華沢寛治『這い寄るな金星』

いつまでたっても続巻がでないなぁと思っていたら、電書スルー*1されてました。しかも、2巻で完結です。しかし、打ち切り感はなく、描くべきことは描き切って終わった感じです。

姉妹百合漫画の傑作なので、もっと広く読まれてほしいですね。

 

華沢寛治『這い寄るな金星(2)』 (ビッグコミックス) より

 

関係性にとらわれてしまった登場人物の地獄を描くのが、非常に巧みな作家です。

絵に少し癖があるで万人受けしづらそうですが、女性のふとした瞬間の色気を捉えるのにも長けていて、唯一無二の漫画家だと思います。

2024年には「ファーストペンギン」という読み切りも話題になっていたので、来年にはさらなる飛躍を期待します。

 

comic-action.com

 

 

 

小野寺こころ『スクールバック』

本当に安定して面白い作品です。

登場人物が抱える苦悩は、深刻なものから他愛のないものまで色々ありますが、悩みの軽重に区別をつけずにフラットな視点で描くところに好感を覚えます。外野の人間から見て他愛のないものだと思っても、悩みを抱えている本人が苦しんでいるなら、それは充分に深刻な問題であるという当たり前のスタンスが貫かれています。(その当たり前を貫き通すことが最も難しいことは言うまでもないでしょう。)

2024年に発表された「保健の授業聞いてなかった奴」という読み切りも素晴らしかったです。作者の創作活動の根源にある”怒り”に触れたような気がします。

 

comic-days.com

 

 

 

福本伸行『二階堂地獄ゴルフ』

個人的には、福本伸行の最高傑作になるかもしれないと思って読んでいます。

マンガの世界観を壊しかねない不思議パワーを主人公が駆使するようになりますが、ゴルフを通して人生を描くという一本筋は全くブレていないので安心して読めます。

唐突ですが、あわせて『オーイ! とんぼ』を読むといいです。全く違う種類の漫画に見えますが、実は同じことについて語られています。ゴルフ漫画を読むということは人生について考えることなのです。

 

 

 

 

古部亮『スカベンジャーズアナザースカイ』

とにかく銃器を撃ちまくっているだけじゃなくて、ちゃんと理知的なガンアクションが描けているという点が素晴らしい作品ですね。主人公と因縁のある敵と次々と登場して、めちゃめちゃ熱い展開の連続です。いいから黙って読め!って感じですよ。

 

 

 

水谷フーカ『リライアンス』

連載が全然進んでおりません。

しかも同時期に連載していた『ハーモニー』は無事終わり、『きのみきのまま』とかいう新連載まではじめて(また年の差ラブコメらしい…)、寄り道ばっかりせずに『リライアンス』の連載を早く進めてくれぇ!という一読者の願いはありますが、おとなしく待ちたいと思います。

 

 

 

涼川りんアウトサイダーパラダイス』 

あそびあそばせ」のパラレルワールド作品ですが、この漫画のジャンルは何になるんでしょう。ギャグ、ホラーサスペンス、百合……2巻まで読んでもいまだによくわかりません。しかし、どの側面から切り取っても傑作です。

 

 

 

 

大武政夫『女子高生除霊師アカネ!』

うーん、ただただ面白い。ギャグが面白いだけに見えますが、コンゲームものとしても普通に面白いので隙がないのです。

 

 

 

背川昇『どく・どく・もり・もり』

背川昇先生の描くかわいいキャラと容赦ないバイオレンスは健在です。

しかし、この漫画の隠れた凄さは背景描写の緻密さにあると思います。

 

 

 

 田島列島 『みちかとまり』

シロアリ王子とかいう謎の新キャラが増えたうえに、作中時間も大きく進みました。

土俗的なジュブナイルホラーとしての構えは保ちつつ、お話はどこに向かっているのやらよくわかりませんが妙に面白いです。

 

私は

みちかちゃんにひどいことをしたのか

みちかちゃんにひどいことをされたのかわからなくて

どちらにせよ泣くことしかできなかった

 

このモノローグが最高。

 

 

 

堤葎子『生まれ変わるなら犬がいい』

自分を犬としか認識してくれない

病んだ少女を愛してしまった

無職の元ヒモ男の話

 

本物の犬が家にやってきて、その犬に嫉妬する犬男というシュールな展開も不思議と美しく見えるのがうまいです。物語も佳境に来た感じがしますね。大団円を期待します。

 

 

 

 

魚豊『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』

『ひゃくえむ。』にしても、『チ。―地球の運動について―』にしても、魚豊先生はある価値観や思想に憑りつかれてしまった男の話を繰り返し描いてきたわけですが、その救済を描いたという点で集大成的な作品になったと思います。この作品はいわば、『チ。』のノヴァクを救済する話としても読めるのではないでしょうか。

普通の漫画であれば、飯山さんを主人公にして、陰謀論にはまっている渡辺を敵役にしてしまうところなのですが、”社会の敵”として描かれがちな陰謀論者を主人公にするところがやはり鋭かったですね。あらためて魚豊先生の初期作「佳作」を読んでみると、本作の相似形になっていて面白いですよ。

 

pocket.shonenmagazine.com

 

 

 

つのさめ『一二三四キョンシーちゃん』 

連載は続いてますが、まだ続巻は出ていません。相変わらず面白いので、2巻を気長に待ちます。

 

 

 

我妻ひかり『パコちゃん』

こちらも続巻を待っていたら、いつの間にか電書スルーされてて完結してました。

この漫画を読んでるの世界で僕しかいないんじゃないかと不安になるぐらい感想を見かけない作品ですが、次回作を待ってます。

 

 

 

スタニング沢村『佐々田は友達』 

2巻になっても大した事件が起こったりはしないのですが、相変わらず漫画がうまいです。

 

 

 

にゃんにゃんファクトリー『ヤニねこ』

今最も”無頼”を体現している主人公がヤニねこだと思います。

新キャラも全部好き。永遠に続いてほしい漫画です。

 

 

 

*1:続巻で紙の単行本がなくなり、電子書籍のみになること。私が勝手に作った造語です。




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