そうかこれは邦画か。
私の場合、「Tokyo Joe」と聞くと1982年の坂本龍一と渡辺香津美のアルバムしか浮かばないんだけど、今調べたらこれはブライアン・フェリーが1977年に発表した楽曲だったのね。そういえば、ブライアン・フェリーのボーカルが入ったバージョンを聞いたことがある気がします。Wikiによると、「Shanghai Lil」という別の楽曲の影響で作った曲で、曲中にTokyo Rose(これも実在しましたね)も出てきますが、この映画の彼とは関係ないようです。1949年に日本人の戦犯を描いた、ボギーや早川雪州が出てる映画「Tokyo Joe」も存在します。Tokyo Joeという呼び名自体は、”あの日本人”くらいの意味で使われていたらしいので、楽曲のほうはそっちですね。
というわけで、これは実在の日系人マフィアに関するドキュメンタリーなのでした。(ヨコハマメリーみたいに)
それにしても、FBI捜査官(「ファーゴ」のフランシス・マクドーマンドみたい)が詳細をすらすらと話すのに比べて、本人の弟と息子の記憶中の出来事の(日付どころか)時期の記憶がきわめてあいまいなのは何だろう。彼らにとって、Tokyo Joeにまつわる出来事はすべて思い出したくないこと、忘れようとして忘れてしまった過去だったのかな。
テレビのドキュメンタリー(NHK特集みたいな)で取りあげた方が、もしかしたら国内では多数の人が見て話題になったかもしれないと私なんかは思うんだけど、奥山和由がプロデューサーで、なんらかの理由で(原作が海外だからか)映画にしたほうがいいと考えたのかな。
至近距離で3発の弾丸を受けたのに、全部頭蓋骨を貫通できず、くるんと頭皮を回って皮膚のなかにとどまったとは、驚異的な骨の強さ…と思ったら、英語のWikiにはKen Eto(衛藤健)という彼の本名の項目があり、死ななかったのは狙撃者たちが弾丸の入手元をわからなくするために、既成のものを使わず自分たちで弾薬を詰めたら量が不足して威力が十分に出なかった、と書いてありました。詳しい。
しかし彼が天寿をまっとうできたのは、人を見る目の確かさですね。最寄りのドラッグストアに駆け込めば、彼はかわいそうな被害者にしか見えない。そこで呼び出したのは清廉潔白で誠実な女性捜査官。彼女ならマフィアとつながっておらず、情報提供者としての彼の価値をもっとも高く評価するだろうと見込んでのことです。
このドキュメンタリー、もうちょっと見どころを作って面白くすることもできただろうけど、事実は小説より面白いので、あまり飾り立ててなくて私としてはこれでよかったと思います。
(しかし彼の誕生日が私と同じなのは驚いた。私にも悪運とか人を見る目があるといいんだけど)
(彼の父親、衛藤衛(まもる)が1992年まで生きて109歳で亡くなったというのもすごい)