何度も見たけど、ある場所のことを思い出しながらまた見てみます。
ある場所というのは十和田現代美術館の展示室のひとつで、ハンス・オプ・デ・ベークというベルギーのアーティストの作品「ロケーション(5)」。この美術館は、1つのコンテナが1つの作品の展示室になっていて、このアートはほぼ真っ暗なダイナーからほぼ真っ暗なハイウェイを見下ろす、という場です。観客はダイナーに入って好きな席に座り、ハイウェイを見てもいいし、通路を歩いて暗闇につまづいたりしてもいい。この美術館に置かれた作品はどれも楽しかったり意外だったり、心をしっかり動かしてくれるものが多くてとても行く価値のある(私にとっては)ものなんだけど、中でもこの作品が好きで好きで。1時間でも2時間でも、そのダイナーの真っ暗なソファに座っていたかった。
で、そこで私は入ったときから出ていくまで、というか、今の今までもずっと、この作品って「ロスト・ハイウェイ」っぽい、と思っています。何がそんなにこの映画っぽいのか、やっと見てみたわけです。
冒頭、不安定なカメラでひたすら運転席からハイウェイを写したような映像。これだけでもあの作品で連想するのが自然に思えるけど、映画全体の明度が低くて、全編があのダイナーや、同じ建物の別の部屋で行われたことのような気もする。
この映画を連想していたので、私が見た「ロケーション(5)」はとても不穏な、悪とか犯罪とかの気配が濃厚な場所に思われたけど、まったく違う善なるものを思い起こした人もいるのかもしれません。あの作品の中にいて何を思ったか、何を連想したか、みんなに聞いて回りたいくらいです。