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川村ケンスケ 監督「THE LONG SEASON REVUE」3906本目

フィッシュマンズ、1999年に佐藤伸治を失くしたあと2006年に再結成ライブツアーを行った、そのライブ。ボーカルが開けた大きな穴を、数々のほかのミュージシャンたちが埋める。ふしぎと、どのアーティストのボーカルも、天国のボーカリストに寄せて歌ってるように聞こえる。でも、違う。地に足がついていて力がある。糸が切れそうな風船みたいな佐藤伸治とはどうも違う。何て言ったらいいかな…特定の色の絵の具がなくなったので買ってきて絵を描いてるけど、違うメーカーのじゃやっぱり違う。違う絵の具では同じ絵が描けない。…というような。

35歳の私だったらこれを見て胸がいっぱいになったかもしれないけど、もう年よりなので、そう遠くない将来、私もそっちに行くから。という気持ちになる。長く生きることと、短く生きること、くらべて短いほうが不幸だとはだんだん思わなくなってくる。

今さらだけど、佐藤伸治ってどんな人だったんだろう。あの頃このバンドにはまってた友だちは、彼らのどこにどんな風に酔いしれてたんだろう。ちょっとはわかるけど、もう今からはわかれないのかもしれない。普段はこういうとき、もう私はおばあさんだから苦しみを思い出したりしないで、すこし距離を置いて楽な気持ちで眺めるんだけど、今日はふしぎと、AKIRAに出てくる老婆の顏をした女の子に見えてもいいから、下北のどこかのガードレールに座って、痛みをしみじみと味わっていたい気がします。

フィッシュマンズが常に流れてるクラブに入り浸ったら幸せかもな。音楽好きがみんな、もっと強いビートで朝まで汗を流そう、みたいなタフな人ばっかりじゃないしな。

彼らが活動していたバブルの時代には、この音楽を聴く人たちはとても目立たないところにいたけど、今は強さや明るさに疲れて、やさしい本を読んだりしている人がとても多くなった気がします。人のほうが変わったから、フィッシュマンズが前より聴かれているのかも。

なんだろう、ほんとに聴きたくなってきた。「空中キャンプ」買って「評伝フィッシュマンズ」も読もう。彼らの音楽を聴きながら死ぬ人はかなり幸せかもな…。

  • フィッシュマンズ

 




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