この監督の監督作品は、「オン・ザ・ロード」、「モーターサイクル・ダイアリーズ」「セントラル・ステーション」を見た。プロデュースした「シティ・オブ・ゴッド」も。友達みんなに勧めたくなるような、明確な見どころはないし、すごく作品としての点が高いというのでもないんだけど、なんとなく好きなんですよね。この監督が描いている世界が好きなのかな。人と人の距離感とか。
今回はテーマが重いので、どういう心構えで見ればいいのか迷いましたが、とにかく見始めた、という感じ。でも、家族のつながりの強さがずっと感じられて、決して嫌な気持ちやつらい気持ちになる映画ではなかったです。妻・母役のフェルナンダ・トーレスは本当に素晴らしい。常に深刻なのに明るく、てきぱきとしているけど温かく、強いブラジルの女ってこんな風なのかな、とリスペクトします。アカデミー賞受賞も当然と思えます。
まず家族を守ること、夫を待ち続けること。長い年月のあとに真実が明らかになり始めたときも、しっかり立ち続けた。晩年の、ただそこに座っている姿を見ていたら、涙が止まらなくなってしまいました。何の涙なのか、自分でも説明はできないんだけど。
山場を作ろうとか、ことさらドラマチックな演出をしようという意図が感じられなくてよかった。軍事政権ひどいとか、元議員の夫が気の毒だとか、それもあるけど、その中でまっすぐ生きて家族を育て続けた母をドキュメンタリーみたいに追った映画のつくりがとてもよかったです。それを書き留めた息子もすばらしいし映画を作った人たちも。見てよかったです。