上半期は大凶作といった状態で、今年はダメというか、自分の趣味が時代の流れと遠く隔たってしまったことが身に染みた感じでしたが、後半は良いアルバムに巡りあえて、なんとかベスト10を出せる感じ。
個人的にはRadioheadもDeath Cab For Cutieも全然ダメで、かといってBon Ivorなんかにも乗れず、世間と隔絶したようなランキングになってしまいましたが、とりあえずどうぞ。
1位 Beirut/The Rip Tide
| Beirut
Pompeii Records 2011-08-30 売り上げランキング : 5502
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Beirutは
アメリカ出身のシンガソングライターであるザック・コンドンを中心としたプロジェクトで、デビュー当初は「バルカン・フォーク」などと形容されていました。ところが、前作の2枚組EPの1枚「Realpeople Holland」はほとんど
エレクトロニカ。で、今作はその2つの試みが見事に融合。特にアルバムの表題曲にもなっている6曲目の"The Rip Tide"は、電子音で刻まれるリズムにゆったりとしたホーンが絡み、哀愁を帯びた歌がそれに乗っかります。派手さは全然無いアルバムかも知れませんが非常にいいですし、新しいことをやっていると思います。
2位 Slow Club/Paradise
| Slow Club
Moshi Mosh 2011-09-20 売り上げランキング : 378295
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イギリスのシェフィールド出身の男女二人組のデュオ。1stアルバムの「Yeah, So」はカントリーっぽさが入ったインディーポップ/フォークで、"It Doesn't Have To Be Beautiful"に見られるような軽快な疾走感や、ちょっと凝ったパーカッションなどの音作りが魅力的だったわけですが、この2ndアルバムではさらに化けていて、単なるカントリーとかフォークには収まらない
サウンドをつくりあげている。
冒頭の"Two Cousins"や6曲目の"Beginners"なんかは、ポップにしては強すぎるドラムに女性ボーカル
Rebecca Taylorのよく伸びる声、そしてちょっと外れたようなキーボードがそれに加わって、力強さと浮遊感が同時に感じられるような曲に仕上がってます。
3位 Loney, Dear/Hall Music
| Dear Loney
Polyvinyl Records 2011-10-04 売り上げランキング : 166698
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以前、このLoney, Dearについて、「音大の作曲学科を出たような作曲能力を持ったやつが、
ラテン音楽っぽいリズム感なんかも吸収しつつ、
トム・ヨークっぽいファルセットで歌う」と評したことがありましたが、その作曲家の才能がさらに発展。ほぼオーケストラの曲を聴いているような感じでアルバムは進みます。前々からうまかった楽器の使い方はさらに進化。4曲目の"
Calm down"の後半に入る
ヴィブラフォンの美しさなんかはすばらしいっすね。ただ、個人的に「すごいすごい」と騒いでいる割には世間では一向に注目されない感じなのが残念。初めて聞くなら前作の「Dear John」、あるいは全前作の「Loney,
Noir」のほうがいいとは思いますが、今作も良いアルバムだと思う。
4位 ふくろうず/砂漠の流刑地
MUSIC MAGAZINEで「3点」と酷評されてました。確かに欠点は沢山あるし前半のひねくれポップ路線はあんまりハマっているとは思えない。けれども、ボーカルの内田万里の声はいいと思うし、半音上に外れたような過剰な感じが個人的には好き。7曲目の"
スフィンクス"の♪絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対 絶対はない♪の繰り返しなんかでも、だんだん機械が壊れていくようになっていくみたいでスリリングです。"
キャラウェイ"や"優しい人"なんかは単純に良いメロディの曲だと思いますし、欠点だらけなのを百も承知の上で推したいです。
5位 東京事変/大発見
| 東京事変
EMIミュージックジャパン 2011-06-29 売り上げランキング : 910
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アルバム全体のまとまりや完成度としては前作の「スポーツ」のほうが高いと思いますが、”21世紀宇宙の子”は震災後に聴くとものすごく響くものがある。この歌がいつできたのか走りませんが、最後の♪悲しみも携えて生きていこう♪の部分なんかはまさにポスト震災の歌だと感じてしまう。他の曲もちょっと泥臭さのようなものもあって、
東京事変、そして
椎名林檎の世界観にしっくりときていると思います。
6位 The Raveonettes/Raven In The Grave
| Raveonettes
Vice 2011-04-05 売り上げランキング : 109975
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The Raveonettesの名前を知っている人は「まだやってたのか!?」と思うかもしれません。
The Strokesの成功以後、00年代前半にThe 〜ってバンドが大量にデビューして、自分もThe Musicとか
The Libertinesとか色々聴いたわけですが、いまだに追い続けているのが唯一このThe Raveonettes。ただ、さすがに最近はやや停滞気味かと思っていたのですが、この5thはややダークめのギターリフを活かしながら、なおかつ今まで失わなかったポップさもしっかりとキープしているというThe Raveonettesの新しい魅力を感じさせるアルバム。1st以来のステ曲の少ないアルバムだと思います。
7位 チャットモンチー/YOU MORE
一言で印象を言うなら、「まるでメジャーデビューをひかえたバンドのインディーズ時代最後のアルバムみたい」。一応、
チャットモンチーにとってはメジャーデビュー以降4枚目のアルバムになるのですが、完成度的にはたぶん一番低いです。ただ、個人的にはけっこう良かったと思いますし、少なくとも前作の「告白」よりは好き。非常に手作り感の強いアルバムで
アメリカのインディー・エモバンドみたいな大人のですが、その少し荒い音の感じが
橋本絵莉子のエモいボーカルとあってる。"Last Kiss"、"拳銃"、"余韻"、いいと思います。
ただ、その後の
高橋久美子の脱退。二人組になってからはまだ見たことないんですけど、
チャットモンチーはこれからどうなっていくんでしょうね?
8位 Youth Lagoon/The Year Of Hibernation
アメリカ・
アイダホ州出身のマルチ・インストゥルメンタリスト、トレバー・
パワーズのソロ・プロジェクト。全体的にボーカルにもギターにもエフェクトがかかっていて空間に広がっていくような音なんだけど、サイケまではいかないで優しげなポップとしてまとまっているのが一番の特徴。とにかく1曲1曲がしっかりしていて、それっぽい雰囲気だけではなくメロディー自体も楽しめるのがこのYouth Lagoonのいいところかと。"July"なんかは、派手さはないけど、じわじわじわじわと来る感じで、ある種祝祭的な高みにまで上り詰めています。
9位 TV On The Radio/Nine Types Of Light
現在、ロックの最先端を行くバンドと言ってもいい
TV On The Radioの4thアルバム。前作の傑作アルバム「Dear Science」に比べるとずいぶんとおとなしい印象でやや物足りなくもあるのですが、どの曲も派手さを抑えつつも微妙に変化をつけて盛り上げてきます。キャッチーではないですが、バンドとしての成熟や、アレンジの洗練さが感じられるアルバムです。
が、このアルバムのリリースと同じ頃にベースのGerard Smithが亡くなってしまったんですよね。ほんとうに残念ですし、今後の活動がどうなるのか心配です。
10位 SHERBETS/FREE
浅井健一、久々にクオリティ高いアルバムを作ってきた!そして、これこそが
SHERBETSにファンが期待する
サウンド。「MAD DISC」とかほんとに何だったんだ…。少なくとも2006年の
浅井健一のソロアルバム「Johnny Hell」以来の出来であることは確実だし、
SHERBETSなら「Natural」以来の出来、「Natural」よりもいいんじゃないでしょうか?まあ、以前の
SHERBETSに比べれば歌詞とかは弱いんですけど、最近の
浅井健一に顕著だった「ルーズさ」がなくなって、アルバム全体が
SHERBETS的な落ち着いた
サウンドで統一されているということが一番大きい。"これ以上
言ってはいけない"、"リディアとデイビット"あたりは
SHERBETSの初期のアルバムに入れても見劣りがしない曲です。
とりあえずベスト10はこんな感じ。あとはHer Space Holiday/Her Space Holiday、Emmy The Great/Virtueあたりでしょうか。
ここ数年新しいバンドを発見できていないと言いながら今年はそれに輪がかかってダメだった感じ。まあ、US勢というかピッチフォーク的な感覚と僕の感覚がずれているのが大きな要因なんですけど、そんな中でもいいバンドを探していきたいですね。