東京都小平市にある「小平市ふれあい下水道館」を見学してきました。

小平市にある本物の下水道の中に入れる施設
先日、埼玉県八潮市で発生した道路陥没の原因とされているのが、地下に埋設されている下水道管の破損による土砂の流出の可能性。下水道管の直径が4.75メートルもあるという報道を見た際、そういえば実際の下水道管の中に入れる施設が近くにあったことを思い出しました。

それが「小平市ふれあい下水道館」、府中街道沿いにある小平市の施設です。
小平市ふれあい下水道館|東京都小平市公式ホームページ

先日、横浜水道の導水路や水路橋を歩いたり、少し調べたこともありますし、下水道についても少し知っておいてもいいかと思い、見学に行ってみることにしました。
府中街道沿いなので車で行けばすぐなのですが、玉川上水にも近い施設です付近を少し歩いてもいいかと今回は公共交通を利用しました。最寄り駅は西武国分寺線の鷹の台駅の他、国分寺駅からのバス(旭ヶ丘住宅バス停が目の前)などもあるようです。JR武蔵野線の新小平駅からは徒歩20分程度なので、自分は新小平駅から歩きました。駅間が長いことでお馴染みの武蔵野線ですが、西国分寺駅方面に半分弱の距離を戻ります。

新小平駅の目の前を走っているのが青梅街道。府中街道がクランク状になっているお馴染みの渋滞ポイントのすぐ近く。この都道16号側に是政橋から伸びる鎌倉街道改め新府中街道を繋げる計画が進んでいるので、帰りにその様子も少し見ていきましょう。

府中街道を歩いて津田塾大学の前を通過。

玉川上水の久右衛門橋。江戸時代の名主だった久右衛門の名前に由来している橋だそう。府中街道の奥に小平市ふれあい下水道館が見えていますね。

玉川上水。残堀川の伏せ越しのあたりに比べると川幅や水量が違いますね。

隣を玉川上水の分水である新堀用水が並行して流れていましたが、その他にも小川用水の分水なども上流にあるからなのか、伏せ越し付近よりも水量がかなり少ないように見えます。

川沿いに緑が多く残されている玉川上水ですが、特にこの付近は小平中央公園や津田塾大の緑地が繋がっているせいか、雑木林的な川沿いとなっています。冬なので多少見通しは良いですけども。この写真の遊歩道の左が玉川上水で右側には新堀用水が流れています。

小平市ふれあい下水道館のマスコットキャラクター?は「ヒルガタワムちゃん」。下水処理の際に使われる微生物ヒルガタワムシがモチーフとのこと。
ヒルガタワムちゃん(小平市ふれあい下水道館) | ミュージアムキャラクターアワード2023 | アイエム[インターネットミュージアム]

小平市ふれあい下水道館
小平市ふれあい下水道館、府中街道沿いにあるレンガ造り2階建ての特徴的な建物です。駐車場は裏手に約9台ほどのスペースがあります。

地上部分は新し目の児童館や公民館のような施設ですが、なんと地下は5階まであり、最下部は地下25メートルで実際の下水道管の中に入ることができる施設。この後で実際に入りましたが、この写真をどうやって撮ったのか…… と想像したら、カメラマンさん超頑張ったなと。

本館前には水道関連のオブジェ?に直径700ミリの下水道管を掘削するシールドマシン、水系の施設らしくビオトープ、おしゃれカフェ的なチョーク絵の立て看板など……。

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角度によっては円柱ぽく見える本館ですが、実際にはケーキを1/4カットにしたような形。見学は無料で見学時間は10時から16時です。

例によって午後からの外出で到着は14時40分過ぎでしたが、館内は順路に沿って見学して1時間程度とのこと。資料などじっくり目を通すならば、1.5時〜2時間ぐらい掛けてもいいかもしれません。
小平市ふれあい下水道館の展示を見る
入館すると職員の方から現在地下の下水道管にはテレビの取材が入っていて、さらに次の取材も待機中なので、少し待つことになりそうとの話。実際、1階ロビーにはテレビらしき撮影クルーが待機していて、どうやら八潮市の事故の件で下水管の取材に来ているようです。

とりあえず地下5階までの各階に展示があるようなので、順路に沿ってじっくり見て行くことにします。エレベータもありますが、見学順路は階段を1階ずつ下りて行きます。
武蔵野台地ファンにはお馴染みの河岸段丘、小平市は国分寺崖線の上の武蔵野面となります。

階段を下りていくと武蔵野台地の地層が見られる展示になっています。各階ごとに約4m分、縄文時代の黒土に始まり、関東ローム層、武蔵野礫層、地下水面、地下20mまで下りると氷河期時代の地層にまでたどり着きます。0mからのスタートですが、武蔵野台地なので標高は海抜83mからになります。

「今日地下水の位置」と表示されていたのが-17mあたり、海抜66mなのでだいたい国分寺崖線の段丘崖(この近くだと野川の水源地など)の高さを地下水が流れているというのは納得感があります。

この階段を1階ずつ下りて行くと微妙に臭気が漂ってきます。B1はワークショップなどを行う講座室。

B2は「くらしと下水道」の展示室。映像などもあって江戸時代、明治期、現代の東京の下水道の歴史が紹介されていたり、現在の下水処理場の処理工程の解説など。


老朽化した下水管の対策として、地面を掘ったり下水管の中に入ることなっく管内を樹脂などで覆って補修する「管輅更生工法」が紹介されていました。

材料を紫外線で硬化させる他、蒸気で硬化させる工法、折りたたんだ形状記憶塩ビ管を管内で復元させる工法など、複数の工法があるそう。なるほどー。

B3は「小平の水環境」の展示室。武蔵野台地といえばまいまいず井戸。デザインマンホール蓋写真展が開催中。


小平市内の水道は多摩川水系と利根川水系で、東村山浄水場から送られています。下水は府中市の多摩川沿いにある下水処理場、北多摩一号水再生センターへ。多摩川の水が、また多摩川に戻って行くのですね。

B4は特別展示室で「近代水道の全史と夜明け」

そしていよよB5の「ふれあい体験室」…… ですがまだNHKクルーがまだ取材中だったので、先にエレベーターで地上2階に上がります。事務所の他、小平市や玉川上水の自然に関する展示があります。




下水道管に詰まった油。これはやばい……。

「ふれあい体験室」で下水道管の中へ
さて、「ふれあい体験室」の入口は自動ドアになっていますが、ここに入ると一気に下水の臭気が強くなります。取材が終わるまで、職員の方に府中市や下水処理場までの下水道の幹線についての説明を聞くなど。

立川、府中、小金井、小平、東村山、国分寺の6市の「北多摩一号処理区」は汚水と雨水を同じ下水管に流す合流式の地域。大雨の後などに多摩川に流れ込む府中用水(新田川?郷土の森のBBQ場の横にある流れ込みとか…)が臭うのはそれが原因なのか。

体験コーナーはさらに二重の扉の先となっています。

奥で取材中ですが、これは単に写真を撮った順番の関係です。

下水道工事の際に掘り出された木片化石。武蔵野礫層最下部の粘土層、氷河期時代のものだそう。

かなり厳重な扉、これが下水道管の手前に2つ。


直径4.5mの下水管の中央に橋を渡しています。左側が上流(北)で右が下流。

上流側。足元を流れているのが合流式の下水。現在は雨が降ってないので、流れているのはほぼ汚水(生活排水)となります。マスクを外してみると、やはり展示室までとはレベルの違う臭気。いわゆる下水臭さの強烈なものに、鋭いアンモニア臭があります。アクション映画などでは下水道の中を移動するシーンはよくありますが、この汚水の中を歩くのは勇気が必要ですね(そして先程の写真を撮ったカメラマンさん……)。

下流側。下水道は緩やかな勾配を付けて流しているのですが、地下25mにそのように計算された構造物があるのは興味深いものです。よく見ると直線ではなく、奥で緩やかに左手方向にカーブしています。

恋ヶ窪幹線に掛けてのカーブですね(ピンクマーカーの下)。しばらく東南方面に進んだ後、中央線を越えたあたりで新小金井街道の地下を南下して北多摩一号水再生センターに下水道幹線は伸びています。
この下水管があるのがだいたい海抜58m(海抜83mの地下25m)、北多摩一号処理区あたりの海抜が35mぐらいなので(下水管は地下なのでもう少し低いと思われますが)この標高差の勾配を利用している訳ですね。

そういえば大雨などで下水の水量が増えた場合、この下水道はどこまで水が上がってくるのでしょう。管内が黒っぽくなっているあたりまでは水が上がりそうそうですが、この橋が水に浸かることはあるのか。どれぐらいの水量のときまで見学できるのか…… 職員の方に聞き忘れてしまいました。

天井に触れてみようと手を伸ばしてから、下水道管の中なことを思い出して躊躇してしまいました(笑)

温度は20℃。地下なので気温?は安定してそうですが、夏場とかはどうなのだろう…… 臭気も変わるのか。また季節を変えて来てみるべきか。

なかなか写真では伝わりませんが、直径4.5mは非常に大きな管です(普通に車で走れそう)。この規模の下水管に穴が空いて土砂が流出したら、その量が半端ないだろうことも容易に想像が付きました。

管の天井にはこのような観測装置が取り付けられていて、扉の外には測定機のようなものも。


水量の他、水質や発生ガスなどを常に計測、監視しているとのこと。


私が出たのと入れ替わりに、再び管内に入って撮影する恐らくNHKのカメラマン。もう閉館ギリギリの時間(16時前)ですが、いつこの映像を使うのかと思っていたら、3時間後の19時のニュースで流れていたようです。私はその時間まだPCに写真すら取り込んでいなかったのに……。

NHKのカメラがいたのでNW9用かと思ったら19時のニュースで流してた pic.twitter.com/6HhIKbu0Il
— OKP (@iamadog_okp) 2025年1月30日
この日はNHKの他にも日本テレビの取材も入っていたようで、私が到着した際に取材中だったのが日本テレビのクルーかもしれませんね。

直径4.75メートル“巨大”下水道管の腐食が原因か 道路陥没(2025年1月30日掲載)|日テレNEWS NNN
ほぼ16時の閉館時間に外へ、貴重な体験ができました。駐車場は自分が来た際は2社分の取材の車が停められていましたが、今は恐らく最後のスタッフが利用する1台のみ。杉並ナンバーの東京無線の大型タクシー。

府中所沢線(新府中街道)の用地取得状況
西国分寺駅まで歩くか少し迷いましたが、再び玉川上水へ。

玉川上水、実はちゃんと歩いたことないのですが、こんなコンクリート護岸のない自然の水路?の区間もあるのですね。一度、羽村から歩いてみないと。

気になっていた府中所沢線(新府中街道)の予定地を見にきました。西国分寺駅方面に歩くのでも良かったのですが、やはり府中街道のクランク部分は見ておきたいかなと。


玉川上水を挟んだ府中方面というか国分寺市方面にも道路事業用地のフェンスが確認できます。

小平中央公園と繋がった緑地が道路事業用地となっていました。


結構な広さの雑木林が道路となるようです。

ここから先は住宅地。用地取得はかなり進んでいるようで、フェンスで囲われた道路用地の中にポツポツと住宅が残っています。


ここは道の両サイドが道路事業用地なのでしょうか。

府中街道クランクの先にある4車線道路が見えました。ここに直接新府中街道(多摩川関戸橋)が繋がると、府中市や多摩市方面からのアクセスが今よりかなりスムーズに。一方で現状の府中街道(是政橋)との連結はどうなるのか、東村山駅あたりからの2車線への幅員減少など課題も残りそうです。

以上、小平市ふれあい下水道館を見学しつつの小平散歩でした。
