はじめに
どうも、ERP開発本部 福岡第一開発部 Guardianグループでリーダーをやりつつ、福岡TechPR(技術広報)もやっている、@tosite(てっしー)です。
今回は、チームでSRE本の輪読会をやった話を書きます(余談ですが、この輪読会に触発されてSRE Kaigi 2026にも参加しちゃいました)!
私たちGuardianチームは、クラウド経費のCRE(Customer Reliability Engineer)として、問い合わせ対応・障害対応・プロダクト改善に向き合ってきました。
SRE(Site Reliability Engineer)については、専門性の高い領域という印象があり、自分たちCREとは畑が違うのかなと思っていました。
しかし『SREの知識地図——基礎知識から現場での実践まで』を読み進める中で、その認識が変わっていきました。
エラーバジェット、ポストモーテム、トイル削減、オブザーバビリティ……私たちが日々向き合ってきた課題の多くに、すでに名前がついていたのです。
この記事では、CREがSRE本を読んで気づいた「自分たちとSRE活動の重なり」と、輪読会がチームにもたらした変化についてお伝えします。
「NEXT CRE」という目標と、輪読会のはじまり

今期、Guardianチームは「NEXT CRE」を半期の目標に掲げました。問い合わせ対応の専門家として積み上げてきた実績を足場に、SRE領域のスキルを身につけ、チーム自身の手で信頼性を高めていこうという方針です。
その具体的な一歩として企画したのが、SRE本の輪読会でした。
実は、この輪読会はGuardianチームだけでは完結しませんでした。
取り組みを共有したところ、SREチームのメンバーが自ら「参加したい」と手を挙げてくれたのです。
CREとSREが同じテキストを読み、それぞれの現場の視点からコメントを重ねていく。
この合流が、後述するようにチーム間の関係にも良い影響を与えることになります。
輪読会を通じてわかった「CREとSRE活動の重なり」
輪読会の各章で、CREメンバーから繰り返し出てきた言葉があります。
「これは自分たちがやっていることだね」
いくつかの章を例に、その重なりを紹介します。
信頼性はビジネス価値に照らして「制御」するもの
「信頼性を高める」という言葉は、ともすれば「障害ゼロを目指して際限なく改善する」という意味に聞こえます。
しかし本書の主張は異なります。
信頼性とはビジネス目標に照らして適切に制御するものであり、エラーバジェットはその対話のための道具だということです。
CREとして、問い合わせ・障害対応・運用改善タスクの優先度と日々向き合ってきた私たちは、まさにこのトレードオフを実践してきました。
「これってSRE活動そのものでは?」という気づきは、チームにとって大きな手応えになりました。
CUJという共通言語の可能性
CUJ(Critical User Journey)は、「ユーザーにとって最も重要な操作フロー」を起点に信頼性を考える、という考え方です。
CREの仕事は、根本を辿れば常に「お客様の体験」に行き着きます。
問い合わせ対応であれ、障害対応であれ、「この機能が使えないとお客様の業務が止まる」という感覚は日常的に持っています。
しかしそれを「CUJ」という言葉で捉える発想はありませんでした。
CUJとして定義しておくことで、「このフローだけは破綻させてはいけない」という判断が共有言語になります。
いわばCUJを定めるということは、開発組織のみならず全ての職種のメンバーが同じ言葉で話せるようになるということです。
輪読会でこのトピックを読んだとき、「これはCREから声をかけていける話だな」と感じました。
SRE本は技術者向けに書かれた本のように見えますが、CUJの考え方は職種を問わずプロダクトに関わるみんなで持てるといい視点だと思います。
普段からお客様の声に触れているCREだからこそ、「一緒に考えませんか」と周りに持ちかけやすいんじゃないかと感じました。
モニタリングとオブザーバビリティの重要性
CREとして日々問い合わせに向き合っていると、「お客様からの報告で初めて障害に気づく」という場面が少なくありません。
「問い合わせが来る前にこっちで検知できていれば……」という思いは、チーム全員が持っていました。
本書の3章は、まさにその課題に対する考え方を示してくれました。
メトリクス・ログ・トレースを横断して「システムの今」を把握できる状態を事前に作っておくこと、それがオブザーバビリティの本質です。
お客様に指摘される前に、自分たちで気づける状態を作る。
この考え方が、次のステップとしてチームが取り組むべき方向だと感じています。
SREメンバーからもらった言葉
輪読会に参加してくれたSREメンバーから、こんな言葉をもらいました。
「SREは職業というよりロールなので、CREであっても同じ方向を見てお互いに信頼性を高めていくチームだと思っています。」
「対象プロダクト運用のスペシャリストであるGuardianチームの人たちは、SREをやっていくのにとても適した人たちだと思った。」
SREとして日々インフラと向き合っているメンバーが、CREの仕事をSRE活動の文脈で捉えてくれたこと。
これは素直に嬉しかったですし、なによりチームにとって大きな後押しになりました。
輪読会を経て感じているのは、SRE活動とは特定の職種だけが担うものではなく、プロダクトの信頼性に責任を持つエンジニアそれぞれの「魂」そのものだということです。
私たちCREはすでに、その実践者だったのだと思います。
メンバーからの一言
せっかくなので、輪読会に参加してくれたメンバーにも一言もらいました!
masuda(Guardian)
輪読会を通じてSREとCREの共通点を明確にすることができました。SREのメンバーもいたことで、ただ読むだけでなく議論をして理解を深められた場になったと思います。
watasho(Guardian)
CREとしての業務とSREは重なるところも多くとても勉強になりました。この輪読会を通じて日々考えていたことが言語化されはっきりできたと思います。 これからもプロダクトの信頼性を高めるべく活動していきたいです。
shimamu(Guardian)
これまで、SREという用語に対してはどこか近寄りがたくハードルの高い印象を少し持っていました。しかし、この輪読会を経てからは我々CREの業務がSREの実践と密接に関わっていることに改めて気づかされました。私は普段、スクラムマスター的な立ち位置でチームの改善活動にも取り組んでいます。SREの本質は、そうした組織改善のプロセスと重なる部分が非常に多いです。日々のこうした取り組みがSREへの貢献に直結していると実感でき、業務への意欲がより一層増しました。
Yamashita(SRE)
輪読会での本の知見や、そこから派生した信頼性に関する考え方をお互いに共有することで、以前にも増して距離が縮まったと感じました。CREとSRE、それぞれプロダクトの信頼性を高めるチームとしてお互いに刺激し合いながら、密な連携で信頼関係を深めて課題を解決していきます。
Yossy(SRE)
SREは運用に関わることすべてを幅広く泥臭くやっていくことだと思っていて、それはすでにGuardianチームが日々行ってくれているものでした。
この輪読会では、共通言語があることでSREをすでに実践していただいていることを確認できました。
輪読会がもたらしたもの
知識の習得と同じくらい価値があったのが、CREとSREの距離が縮まったことです。
輪読会をきっかけに、CREとSREの間に定期的な対話の場が生まれました。
技術的な相談というよりも、もっとざっくばらんな「最近どうですか」みたいな会話です。
同じ本を読んだという共通体験が、互いの仕事への理解を深めてくれたのだと思います。
「半期のロードマップを考えるとき、Guardianチームを始めとした運用に関わるチームと連携して決めていく。」
SREメンバーからこうした言葉が出てくるようになったのは、輪読会を通じてお互いの仕事を知る機会ができたからだと思っています。
「CREとSREの連携を強めていこう」という共通認識が、自然と生まれました。
おわりに
CREがSRE本を読んでわかったのは、「SREは遠い存在ではなかった」ということです。
私たちはすでに、信頼性という共通の目標に向かって動いていました。
あとは、それを体系として捉え直し、仲間と言語を揃えて、一緒に前へ進んでいくだけです。
輪読会は知識のインプットだけでなく、チーム間の関係づくりにも役立ちました。
同じような課題を感じているそこのあなた!ぜひ、隣のチームと一緒に本を読んでみてはいかがですか?
この記事はGuardianチームとSREチームの合同輪読会をもとに執筆しました。参加してくれたSREの皆さん、ありがとうございました。