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STARTO ENTERTAINMENTの原点回帰『SHOWbiz』

「考えるは頑張るの対義語」

それはとても生真面目なショーだった。2024年下半期、HiHi Jets・美 少年から一部メンバーが脱退し、まことしやかにジュニアグループ解体説が囁かれるようになった。そんな矢先年末に突如としてHiHi Jetsの冠バラエティ『HiHi JetsのHiしか言いません!』、ラジオ番組『HiHi Jets のラジオだじぇっつ!』がともに年内終了することがお知らせされ、我々は絶望の淵に立たされていた。やはりグループは解体されてしまうのか?年始に開催される『SHOWbiz』で新グループが発表されたりするのか?初日の現場はオタクの阿鼻叫喚なのか?などと想像を膨らませていたけれど、蓋を開けてみるとグループ単位のパフォーマンスはないものの、そこにあるのはSTARTO ENTERTAINMENTの本気の原点回帰のように思えた。

本気の、と言ってもこれまでも新年に帝国劇場でショーを魅せるというのはこの事務所における伝統芸能で、それが今回申込時点で「コンサート」という分類で発表されていたことと、帝国劇場改装中につき会場が有明アリーナになってしまったことが、僅かにこちら側の期待値がズレてしまっていた要因なのかもしれないと今になって思う。年末にTOKYO DOME CITY HALLで実施していたABC座2024『大金星 BIG VENUS 時代(とき)を超えて』は最高に明るく事務所の得意芸であるトンチキをふんだんに盛り込んだ内容だったが、それと対極にあるかのように『SHOWbiz』は真面目に実直にショーというものをジュニア全員でつくりあげた内容だった。これまでのデビュー組グループの楽曲を、選抜されたジュニアがグループを組んでパフォーマンスを披露する。その選ばれた楽曲は、必ずしも世に知られている先輩方の人気曲という訳ではなく、ショーのテンションに相応しい、ときにニッチな曲も多く選ばれていて、観る側にもSTARTO ENTERTAINMENTのオタクとして高い偏差値が求められるものだった。またパフォーマンスは、単に先輩方の真似ごとをして歌い踊るというだけでなく、時には先輩グループのパフォーマンスを超える高難度の魅せ方に挑戦しているものもあり、観ていない人に一言で説明するならば「ジュニアが本気で取り組む先輩シャッフルメドレー」だろうか、いやそれもまた陳腐だなと思いながら、未だ良い説明文句が自分の中で決まっていない。

今でこそSTARTO ENTERTAINMENTのタレントは、テレビやメディアに出て活動しライブでは歌って踊るキラキラとしたアイドルであるというイメージが強いと思うが、創始者は最初からそこを目指していた訳ではなく、アメリカのショービジネスに影響を受けて、旧事務所を立ち上げたという経緯がある。生前はコンサートでの目撃情報よりも、ショーの客席で見守る姿が度々目撃されていたように思う。彼がやりたかったことは、ずっとショーだったというイメージがある中で、今回の『SHOWbiz』はその原点に限りなく近づいたものだったように感じた。ジュニアはグループに分かれデビューを目的にして活動が行われるという前提が強くなり過ぎていた昨今の状況を覆すかのごとく、本来のあるべき姿としてショービジネスをつくりあげるためにタレントが存在するというところまで、ジュニアの存在を再定義しているようにも見えた。それは既に彼がいない組織の中でも強くその想いを継承している人がいるという証拠でもあり、その方向性に個人的に異論はない。観客の多くは、ジュニアを応援しているファンだったが、普段からミュージカルや演劇を観ている人たちにも是非届いて欲しいショーだった。

と客観的な解説を求められると『SHOWbiz』はSTARTOの原点回帰ショーでした、と冷静に説明できるけれども、私もあくまでその出演者の一人・猪狩蒼弥さんのオタクであり、その視点を入れ込むとより主観的な感想も出てくるので、後半はそちらの話もしておきたい。このショーでは先述した通り、ジュニアの既存グループごとのパフォーマンスはなく、ジュニア内シャッフルされた状態でパフォーマンスを披露している。オープニングなどは90人全員参加でパフォーマンスを披露するのだが、全員同じ衣装・同じ振り付けで踊る姿は、これまでの各々のキャリアで序列をつけない、良い意味でも悪い意味でも「平等」な状態だった。既存グループで固まって並んでいる訳でもないので、オタクは双眼鏡で自分が応援しているタレントを90人の中から血眼になって探さねばならず、改めて「たくさんのアイドルの中から君を見つけたよ」とポエムでも書けそうな作業だった。まるで就職活動のようだ、と直感的に思った。みんな同じようなスーツを着て自分が何者であるかは容姿では差別化できず、自分の中に蓄えてきたものをアウトプットする中でアピールしなければならない就職活動のようだと思った。幸いにも猪狩さんは金髪で襟足が長く個性的な髪型をしているので見つけやすい方ではあったが、ベテランジュニアには真価が問われる、若手ジュニアにはチャンスが与えられる場所だなと感じた。

普段HiHI Jetsで登場すると猪狩さんばかり観てしまうので、他のメンバーをじっくり観ることはできないけれど、今回シャッフルで登場してくれるので、他のメンバーをじっくり見ることができた。その点はシャッフルされていることに感謝したい。作間龍斗さんのダンスは手足の長さも相まって大勢の中で一際目立つ上手さだった。麗しい顔立ちでバラエティでは不審な動きをすることもあるが、その身体の柔らかさや機敏さがダンスに活かされていて、どこにいても映えるダンスを披露していた。井上瑞稀さんも歌が上手いということと顔が可愛いということだけでも十分なインパクトをもたらしているのに、『ichiban』のダンスを見るとそんなかっこいい感じもいけちゃうのですねと感心してしまうオールラウンダーであることを実感できた。橋本涼さんは画面に映ると圧倒的な華があり線の太い歌声と色気で魅了していて、最後に発せられる「みんなで幸せになろうぜ」という言葉は、まだ何も安心できていないオタクを無理矢理幸せにしてくれそうな強さがあった。猪狩さんは大勢の中でも余白を見つけて自ら遊べるタイプでありながら、全体で踊るダンスでは繊細な身振り手振りで踊っていて、個性的でありながら調和も取れる二面性を見せてもらってますます魅力的に思えた。『プリマヴェラ』の冒頭、大勢の中で0番の位置で踊る猪狩さんを見れたことはこの上ない幸せだった。

この「0番」の位置に立つことは特別な意味が見出されていて、これまでであれば髙橋優斗さんが担っていたポジションである。彼を失ったのはHiHi Jetsだというつもりでいたけれど、ジュニア全体としても彼を失っており、この0番の位置を一人で担える人材はまだ見つかっていなかった。これまでその位置に立ってきたタレントを思い返してみると、ポジションが人を育てるということも起こり得ると思うけれど、誰か一人にその責任を負わせるということのデメリットもあるからか、現時点分かりやすい「推され」は存在していなかった。みんなの運命を狂わせてしまうようなタレントが出現して番狂せが起きて色んな人の物語が動き出して欲しい気持ちと、着実にキャリアを重ねてきたタレントがどうか報われて欲しい気持ちの両方があり、この2025年の年初は運命の交差点になっているのかどうなのか、終わった今もまだ宙ぶらりんで地に足がついていない。

結局年末に抱えてきたモヤモヤが晴れた訳ではないものの、ジュニア全体の底上げを行う必要がありそのためにこの形が取られているということ、事務所の原点にあるものを組織が大切に守り続けていること、が分かったショーだったように思う。どうか誰もが納得できる未来をつくるのは難しいにしても、本人たちの尊厳ができるだけ守られる未来であって欲しいなと願っている。




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