
毎回翌月の10日前後に更新となってしまう読書記録です💦💦。
11月はいずれも単行本を5冊。それなりにページ数もあり、しかも本代もかさむ月でした。(と言う事で12月早々に42冊ほどブックオフで宅配買取してもらいました。¥4,840の収入ですよ。)





#59「翠雨の人」伊予原 新
#60「火星の女王」小川 哲
#63「百年の時効」伏尾 美紀
「翠雨の人」は私の大好きな作家さんの一人、伊予原さんの直木賞受賞後の第一作。
キュリー夫人に憧れ、科学界において女性が大学で学ぶ機会も極めて少なく、その立場が弱かった戦前から、気象研で研究者として働く猿橋勝子は、英米ソによる極秘の水爆実験による放射能汚染を解明する事に専心。ほぼノンフィクションに近い猿橋勝子の人生を綴ったフィクションです。やはり、伊予原さんらしい作品です。高額で高性能な分析装置などない時代に、ほぼマニュアルによる前処理でストロンチウムやセシウムを単離した後に高い再現性を以って分析結果を導き出す場面などの描写は、かつて同じ界隈にいたので親近感を覚えます。
単身、分析手法の正確さを競う為、敵陣であるアメリカのラホヤにあるスクリプス研究所で世界的な権威と戦う様は圧巻!
「火星の女王」は「地図と拳」で直木賞を受賞された小川哲さんのSF。「地図と拳」のイメージを強く抱いたまま「火星の女王」を読み始めたのですが・・・。
舞台は人類が火星に住むことが可能となった世界。地球との交信は光速をもってしても片道5分とタイムラグが生じる。火星に住む人間は地球人から見下された存在であり、多くの火星に住む人々は何とかお金を貯めて2年に一度往来する宇宙船に乗って地球に戻りたいのだが、火星での資源採掘の仕事ではなかなかお金も貯まらない。主人公のマリアは盲目ではあるがその時代の技術によって何の支障もなく生活が出来る。そして彼女の母はかつて火星を統治していた責任者。地球から火星を独立させたいと言うグループによりマリアが誘拐され、暴動が起きる・・・。誰が「火星の女王」となるのか。SFをほとんど読まない私だからかもしれませんが、少々、物足りなさを感じる読後感でした。
「対馬の海に沈む」は人口3万人に満たない離島、対馬でライフアドバイザーとして働くJAの一職員が22億円もの横領をした事件のノンフィクション。何故、小さな田舎町でこのような巨額の横領事件が起こり得たのか・・・。あまりにも杜撰なJAの監査能力、何重にも存在する管理職のフィルターが全く機能しない、更に組織ぐるみでこの一職員の横領を看過してしまった背景とは・・・。メガバンクや大手保険会社を凌ぐほどの莫大な金額を扱うJAの金融、保険業務の裏でこのようなことが起きていたとは!!
「イラク水滸伝」は「幻のアフリカ納豆を追え」「イスラム飲酒紀行」「辺境メシ やばそうだから食べてみた」の3冊をかつて読んだことのあるノンフィクションライターとして好きな高野さんの著書であり、第34回Bunkamuraドゥマゴ文学賞(2024年)を受賞した作品です。
場所はメソポタミア文明発祥の地、チグリス川とユーフラテス川の交差する謎の湿地帯アフワール。アフワールは、イラン対イラク、ススンニ派対シーア派、サダムフセイン政権と言った物騒なことが多発する危険地帯にとても近い場所です。高野さんは紛争やコロナ禍もあり、度重なる渡航中止にもめげず何年にもわたり果敢にこのアフワールの湿地帯を訪れます。
過去に読んだ海外の食文化にスポットを当てた作品とは異なり、「逃亡者たちの最後の砦」であり、何も情報を得られない隠匿の地であるアフワールとはどんな土地でどんな人々が住んでおり、どんな文化があるのか。歴史的、政治的な背景も重なり私にとっては難解な部分も多い本、読了するのに1カ月以上(並行して読みやすい他の本を読んでいたこともあり💦💦)掛かってしまいました。
「百年の時効」昭和100年を迎えると言う意味から、そのタイトルが付けられたと思われます。
1974年に起きた一家惨殺事件を軸として昭和、平成、令和と50年に及ぶ三世代の刑事たちによって犯人を追及、解決すると言う警察小説です。満州国独立からオウム真理教などなど歴史的な背景も併せて描かれており作品の重厚感は高まります。
と言う事で、今年も余すところ20日ほど。12月はすでに4冊読了しておりますがあと何冊の本を読めるでしょうか?これから読もうとしているターミネーション・ショック、これが2段組みで700ページ近い😲😲。年を越すかもしれませんね。
