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2025年1月読書記録

 2025年1月、読了した本は8冊です。なんだか年末から読書量が増え始めておりますよ(^^♪

 このところ、お気に入りの作家さんはお二人。直木賞を受賞された伊予原新さんと大御所、東野圭吾さんです。

#1 「フクロウ准教授の午睡(シエスタ)」 伊予原 新

#2「ナミヤ雑貨店の奇跡」 東野 圭吾

#3「生成AIで世界はこう変わる」 今井 翔太

#4「月まで三キロ」 伊予原 新

#5「ヘルメースの審判」 楡 周平

#6「強力伝」 新田 次郎

#7「墓標なき街」 逢坂 剛

#8「ある男」 平野 啓一郎

 伊予原新さんの「フクロウ准教授の午睡」、「月まで三キロ」の2冊を読み比べるようなどとの思いはなく、ただ好きな作家さんなので、昨年末にアマゾンで購入。「フクロウ准教授の午睡」は地方の国立大学に赴任してきた袋井准教授が大学で起こる数々の事件を解決していくミステリー仕立ての小説です。夜の9時頃から明け方まで研究室で仕事をしていることから、その風体と相まって夜行性の猛禽類、フクロウと名付けられています。袋井准教授を盛り立てる(笑)のが講師の吉川。この二人の嚙み合わない掛け合いが謎解きを面白くしてくれています。一方、「月まで三キロ」は流石!伊予原さんの作品と思えるハートウォーミングな本です。本のタイトルの『月まで三キロ』を含む六編の短編に加え特別掌編(短編よりも短い小説)『新参者の富士』と逢坂剛さんとの対談まで収載されています。これで、710円(税別)はお安い😊😊。

 『月まで三キロ』は妻も読みましたが、思わず落涙。自分の死に場所を求めて、富士樹海を目指そうかとタクシーに乗った中年の男性。タクシーの運転手は高校で地学の教師をしていたそうで、亡くなった自分の子供の話をしながら地球と月の話を始めます。地球は親で月は子供・・・。伊予原さんらしい、「オオルリ流星群」「宙わたる教室」でもそうでしたが、難しそうな天文学の話がいつの間にか、登場人物達の気持ちに寄り添ってくるんです。『月まで三キロ』では親子の関係が大きなテーマだと思いますが、主人公はタクシー運転手の話を聞きながら❛月まで三キロ❜の標識に案内され翻意する事となり、多くの読者が落涙することとなるでしょう😢😢。他の短編にも研究者が登場したり、サイエンスの話題がちりばめられてはおりますが、心温まる話ばかりで優しい気持ちで読了出来ます!

 「ナミヤ雑貨店の奇跡」は昨年読んだ「クスノキの番人」「クスノキの女神」に通ずるテーストを感じます。看板は当に朽ちかけ閉店してしまったナミヤ雑貨店。時空を超えて繰り広げられる悩み相談(笑)。だからナミヤ雑貨店なんでしょう。「かがみの孤城」はこの作品にインスパイアされたのではと思ったりもします。

 ナミヤ雑貨店を舞台に過去と現在の相談者が入り混じる様を読者は一緒にタイムトリップしながら店主、波矢さんの真っすぐで温かい気持ちに触れられると思います。

 「生成AIで世界はこう変わる」、生成AIの研究ではトップレベルの東大松尾研。そちらに所属されている研究者、今井さんによる生成AIを解説する本です。生成AIの進化は時々刻々と変化しており、適宜、自分の知識をアップデートしたいと思い購入いたしました。極力、平易な説明を心掛けられているようで専門外の私でも読みやすい本だと思いました。ブルーカラーの仕事は全て生成AIに取って代わられるから、ホワイトカラーの仕事多くが生成AIに取って代わられる、真逆の評価が出始めている生成AI。いずれ言語を獲得し、超知能を生成AIが身につけてしまう時代が来るのでしょうか。

 「ヘルメースの審判」、日本を代表する大手家電、電機メーカー、ニシハマが舞台となる企業ものです。創業家を排除し、院政を引く経営体制に立ち向かう創業家の養子となった主人公、肥後大輔。旧帝大閥で非ずば人で非ずと言った企業風土も相まって悪の温床が見え隠れします。ハーバード大学を優秀な成績で卒業するも、完全な外様である肥後大輔がニシハマを変革することは出来るのでしょうか。骨太な企業エンタメだと思います。

 「強力伝」、久しぶりに新田次郎の山岳小説を読んでみようと思ったのは、冒頭紹介した伊予原新さんの「月まで三キロ」の短編の一つ「山を刻む」で主人公がたまたま知り合った火山学者の先生が同行していた助手に山に来るなら「強力伝」を読めと言っていたので図書館で借りてみました(^^♪ 私が20代の頃、結構、新田次郎の山岳小説を読んでおり「強力伝」で解説をされていた今井道子さんをモデルとした「銀嶺の人」なども懐かしく思い出しました。

 「強力伝」は新田次郎さんの処女作にして直木賞受賞作品だそうで、この本は強力伝他四編の短編集となっています。180kgの巨石を背負って白馬山を登る、富士山屈指の強力、小宮正を描いた「強力伝」他の短編は、筆舌に尽くしがたい冬山の自然と命を賭して対峙する男たちの話が描かれています。その迫力たるや今読んでも色褪せる事無く、読者へ迫って来ると思います。

 「墓標なき街」、作者の逢坂剛さんが「月まで三キロ」の最後で伊予原さんと対談をされており、恥ずかしながら「MOZU百舌シリーズ」の作者だとは存じ上げませんでした。そして「墓標なき街」はシリーズ第6作目だそうです。

 10年も前でしょうか心躍らせて観ていたテレビドラマ「MOZU」シーズン1が思い起こされます。いきなり、シリーズ6作目となる「墓標なき街」を読んだ訳ですが、シリーズ前後の脈絡などを知らなくとも楽しめる作品です!

 「ある男」、今月最後の本にして、この数年の読書経験上、自分としては非常に感銘を受けた本です。平野さんと言う作家を紹介してくれた2,000冊以上を読んでいる友人に感謝、感謝です。

 平野啓一郎と言う作家の名前を検索し、図書館で「ある男」を借りました。妻は映画で見た事があると言っていましたが、私は全くこの小説の事を知りません。
 殺人犯の息子であると言う己が出自を捨て、戸籍売買によって全く新しい人生を林業従事者として生き、事故に遭って亡くなってしまった「大祐」。大祐と再婚したことで幸せな4年弱の生活送った妻、里枝は再婚相手が「大祐」という人物ではないと言う事を知り、主人公である弁護士の城戸にその調査を依頼する事から物語は始まります。
 いくつもの伏線が用意されております。そして周到に設計されたように見える伏線回収。心象描写、風景描写、その形容の仕方がとても美しく感じられ、いつのまにか物語に引き込まれてしまいます。自分とはいったい何者なのか?一度自分を捨て新しい人生を獲得出来たらそれは素晴らしい事なのか。自分でない自分が死んでしまう事で残された家族の幸福だった日々は帳消しになってしまうのか?生きる=死と言う大きなテーマに対してハングルも読めない在日三世である主人公の社会的な立場をはじめ、いくつもの問題提起がなされている作品だと思います。
 ある男とはいったい誰の事を指しているのか。穏やかにエンディングを迎えるラストシーン、余韻に浸りながら、ほんの少しだけ泣いてしまうかもしれません。




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