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【リサイタルレビュー】中村恵理 ソプラノリサイタル(2026年大阪)

2026年3月5日(木)19:00公演

ザ・フェニックスホール

注目アーティストシリーズ84
中村恵理 ソプラノリサイタル

お世話になっております。

三島でございます。

 

この日は中村恵理さんのリサイタルを聴きに大阪までお出かけです。

 

梅田駅周辺は難しい。いつも迷子。グランフロント大阪でお買い物をしてからルクアに入りなんとか大丸まで抜けました。グランフロントはどっちが北館でどっちが南館なのかわからず往復しました。大丸まで辿り着ければこちらのものです。最近の限界攻略法は地下道ではなく地上を歩くことです。目安となる建物が見つけやすいので歩きやすいです。

中村恵理さんのリサイタルは昨年末の東京(withテノール公演)が最近でしょうか。そんなに昔ではないですがテノールがいない公演は兵庫公演ぶりなので久しぶりです。withoutテノール公演がいい。

 

それでは感想です。

(以下敬称略。)

 

全体的に

先日まで新国立劇場にて『リゴレット』のジルダを担当していたので喉を含む体の疲れがどれくらい取れているのかが気になるところです。回復具合によってパフォーマンスが変わってきますよね。しっかりとした技術をお持ちの素晴らしいオペラ歌手であることは承知しておりますが常に完璧というわけでもないのでどこまで本来の力を見せてくれるのか。

 

結果としてとても調子の良い公演だったと思います。中村の軽く輝く高音は健在でイタリア歌曲は軽やかに力みなく自分の持ち声を十分に活かして歌う。ミミ(『ラ・ボエーム』プッチーニ作曲)やミカエラ(『カルメン』ビゼー作曲)など声の軽さだけでは物足りない役に関しては声の厚みを足して歌っているように聞こえたがただ力を入れるのではなく声が更に深く太くなるような感じで声量やシャウトで解決しようとしないところは本当に好きです。下顎があまり動かさずに歌っていたので本当に調子良かったのだと思う。

 

そして相変わらずの表現力の高さです。一曲一曲の個性を歌い方を崩すようなことはしないが全身全霊で表現をする。技術・音楽表現・演技力がここまで揃っている歌手は国際舞台に目を向けてもなかなかいないものです。表現することが行き過ぎて歌曲たちをオペラアリアのように歌っているときもありましたが今回の歌曲での表現はかなり絞られて安心しました。歌曲は余計なものは取り払ってオペラアリアはたくさん付加して必要なところに必要なものがあることの美しさを知りました。

 

ネット環境があれば手軽に舞台映像を見れますが空気から伝わる表現力を直に味わえるのは現場だけである。NHKニューイヤーなんとかに出演する機会の多い中村ですがぜひそこで終わらずに劇場へ行ってもライたい。

 

関西で聞いた方が満足度が上がる人(つまり遠征中だから)なのは承知しておりますが、それを加味しても奈良公園に続く高水準高品質な歌唱だったと思います。

 

ホールの感想

ザ・フェニックスホールはあいおいニッセイ同和損保のビルの中にある300席程度のリサイタルホールです。大きいホールではありませんが綺麗な内装と舞台後方の壁が開閉式であり開けると外が見えるのが素敵です。車通りが多いから視界の情報量が多くなりますが空間を広く感じれるのはいいです。スタッフの制服が白いのも高級感があって良いです。

 

1 階席は座席によって10~20cmの高さの差はありますがほぼ平面なので演奏者の姿を見たい人は慎重に選ぶ必要があります。ピアノの音が鋭利になるのが気になりましたが声はそこまで問題なさそう。ただ中村が歌っているのであまり参考にならない。新国立劇場で上手に聞こえる人はどこで歌っても大丈夫でしょ。心配な方はサントリーホール先生を頼りましょう。

 

中村ヴィオレッタが好き

最後に曲ごとのを所感をちょっと書いて終わります。演奏順に書きます。全曲について書いておりません。曲目は昨年末の東京公演とほぼ同じですかね。大きな相違点は日本歌曲があるところとテノールがいないところ。ヴィオレッタ(『椿姫』ヴェルディ作曲)のアリアがラインアップされていることに興奮してチケットを落としました。拾ってくれた方ありがとうございます。

 

まずイタリア古典歌曲から数曲披露。たくさんのオペラアリアを歌ってきたのだから全曲オペラアリアで派手に構成することもできるだろうに基礎中の基礎能力が試されるイタリア古典歌曲を歌う。伴奏や雰囲気で誤魔化せない曲ほど難しいものはない。

 

“Le Violette”は柔らかい表情と軽い声で歌い通す。太さを感じさせることはないが軽い声が細い声とは異なることを教えてくれるようなしっかりとした声である。一つ一つの音の粒がはっきりしているのにスタッカートで歌っているようには聞こえない丁寧さがある。

 

”Lasciar d'amarti”は繰り返しを歌うときはどう扱うべきかを教えてくれる。同じ歌詞を同じ様に歌ってはいけない問題を難なくクリア。2回目はフォルテ気味で歌い1回目より思いが強くなっているように聞こえた。

 

日本歌曲も登場。個人的に日本歌曲は日本語の発音に疑問が残るので得意ではない。しかし中村は日本語歌唱時も言葉の扱いが綺麗なので聞けます。日本語が聞こえてきて聞き取れる幸せよ。しかしuの母音がイタリア語に寄せていたのが気になった。クラシックとして歌うという点においては正解だと思うがでもそれは日本語ではなくない?と思うわけです。

 

『占うと』は低めの音域だが難なく歌い上げる。ミックスボイスに恵まれているようなので声の質の違和感がない。胸に落としすぎずに低音が出せるのが本当に強い。『さくら横ちょう』はカデンツァ的な部分をはっきり歌わなかったがおそらくはっきりしすぎて西洋っぽくなることを避けたのではないか。日本歌曲であることが考えられた歌い方だった。

 

高音のiが全く硬くならないんだよね。かなり後ろの方から響いておりiの母音に苦戦する人が多いなか違和感なく歌うのでなんか虚しくなった。つまり中村がすごいということです。

 

その後はイタリア語へ戻り近代歌曲へ。”O Primavera”はまた柔らかい表情になりまさに春の雰囲気があった。明るく和やかに始まったけれど中間部分は雰囲気を暗くテンションを落として歌う。最後にまた帰ってきた部分で歌詞を噛み締めるように歌っていた。

 

“Nebbie”は東京で聞いたときよりも感情爆発しているように聞こえたけれどオペラのようではない。広がる感情というより奥の深い言葉という感じです。”Le Violett”などで軽い声を聴かせてくれたかと思えば重量気味なものも対応できる。でもそれはトゥーランド(『トゥーランド』プッチーニ作曲)を歌う歌手の真似ではなく中村の範囲内でやっていることに好感度が上がる。

 

オペラパートは"Je veux vivre"(『ロメオとジュリエット』グノー作曲)よりスタート。最初の下降音型はものすごい速さで降りてきて驚き。声は綺麗だった。全体的なテンポがちょい早めだったのと全曲の中で1番荒さの目立つ歌唱だった。力技ではないけれど勢いで歌い通した感じだし可憐なジュリエットではなく勇ましいジュリエットだった。

 

“Je dis que rien ne m'épouvante"(『カルメン』)は先日披露したばかり(@群馬)とのことで余裕を感じた。完成しきったものを出しているし技術的に無理のなさそうな感じ。“Denaro...nient'altro che denaro! ~ Fanciulla, è sbocciato l'amore"(『つばめ』)は周囲に話しかけるような部分としっかりと歌う部分がどちらも美しく歌いすぎてしゃべりが微妙などということが起きない。

 

そしてそしてヴィオレッタ(『椿姫』)。とってもうれしかった。ピアノ伴奏が出だしがちょっと不安だったけれどそれ以外は安定。改めて聞くととてつもなくめんどくさい難しい曲ですね。プログラムの最後に持ってきて歌い切る体力が恐ろしいです。細かい音型を駆け抜け高音は出しでも低音も疎かにしない。しっかりとした声の芯とは反対に中村ヴィオレッタの心には葛藤がありヴィオレッタとしてそこに存在している数分を味わえました。

 

最高は上げずに終わりました。単体で歌うなら上げた方が客席の期待に応えるかたちになりそうですが最後にくるまでの充実度が高いので最高音の出す出さないは個人的にはどっちでも良いです。高音しか取り柄がないと自負する人は出しましょう。

 

アンコールは2曲。1曲目はマスカーニ作曲”M'ama, non m'ama”。プログラム本編でプッチーニ作品を歌った後でも軽い声がよく跳ねる。短く可愛らしい曲でありながら技術力の高さを知らしめる内容になっていた。

 

もう1曲は先日聞いた”Caro nome”。ジルダです。正直ジルダは足りているのですがアンコールはサービスなので我儘は言わないようにしましょう。新国立劇場でのパフォーマンスは特別素敵なものでもなかったと思っております。でも今回のようにピアノ伴奏で単体で歌うと良い。他の曲よりかは気を遣って歌ってるようにも見えます。ジルダという役のせいでしょうか。

 

グヮルティエル・マルデ(リゴレット公爵の偽名)の名を聞くたびに「誰ですかあなたは?余計なことをしやがって。」と私情が強く出てしまうのですが皆さんはいかがですか?

以上です。

 

次はいつですか。来年ですか。困りますね。

次回はwithテノールではないこととドイツ語歌唱が一曲でも入ることを祈ります。




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