2026年1月24日(土)14:00公演
モスクワ芸術劇場(スタニスラフスキー=ダンチェンコ記念国立)
ジゼル

お世話になってなっております。
三島でございます。
モスクワへ移動後の二演目目は『ジゼル』です。サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場でも見ましたがなんせジゼル大好き芸人なので何度でも見ますよ!
午前中はマイナス気温を味わうために散歩してました。ライトアップはされてないものの街中の飾りつけが可愛いので写真が撮り終わらない。夕方よりも人が少ないので比較的映り込みを気にすることなく撮ることができました。

それでは感想です。
(以下基本的に敬称略。)
この劇場について
ようやくモスクワ芸術劇場入ることができました。いつもいつも予定が合わなくて。何度も前を通っては今回も行けなかったと思ってましたがついに中に入った!ちなみには私は「ダンチェンコ劇場」と読んでいるのですが何て呼ぶのが主流なの?舞台の青い幕が綺麗です。思っていたよりも広い。舞台上もまあまあ広いです。『ジゼル』は舞台上にあるものが限られて(家と墓)おりますが色々置いても広く使えそうですね。

入り口からクロークの導線とクロークから客席までの導線が若干わかりにくくて面白かった。舞台写真や衣装の展示がされていて開演前や休憩中も飽きさせないというか時間が足りない仕様になっている。みなさんが飲食を楽しまれるスペースもかなり広くもう一つ舞台をつくれそうです。外観からは想像できない空間になっておりました。

ジゼルとアルブレヒト
マリインスキーの『ジゼル』と比べると人間味があります。マイナス要素ではなくバレエをお芝居として楽しめる度合いが上がりますって話です。特に1幕は一人一人が生き生きとお芝居したり踊ったりしておりジゼルたちの日常や柔らかい雰囲気を直に感じることができた。ジゼルの死の前が楽しそうであればあるほど死の後の悲しさが増すし悲しみが客席に伝わってきてよかったです。
アルブレヒトが登場してお付きの方に「剣を付けたままですよー」と言われて「僕としたことが!」みたいなリアクションを自分の頭を叩くマイムで表現していてなんか面白かった。アルブレヒト軽いって。
アルブレヒトのジゼルへ対する気持ちは遊びなのか本気なのかは演出や踊る人によって変わりますが、デニス・ドミトリエフのアルブレヒトは最初こそ軽かったもののジゼルが狂乱しているときはなんとか近づいて助けようとしており立ち尽くして動かないアルブレヒト鳥かはジゼルのことを想っているように見えました。
踊り自体は特別ジャンプが高いわけではなかったけれど一つ一つの振り付けを大きく踊ることができる人のようで小さくなりがちな1幕のワルツなども周りに埋もれずどこにいても存在が際立っている。2幕では疲れを見せるような踊り方をしておりギリギリのところで助かった様子が目に見えてわかった。余裕そうにジャンプして余裕そうに倒れるのも良いのですがそれだとどうしてもツッコミたくなるのでちゃんと疲れてくれてありがとう。リフトするときに重そうにあげるのが気になったのはマリンスキーで軽々リフトを見たせいかもしれない。
1幕でウィリの話を聞いて怖がっているジゼルを「大丈夫だよー」とエスコートしたり2幕の別れを惜しんでいる様子もよかったです。しかし最後、2幕終幕のアルブレヒトは激しい後悔や罪の意識に苛まれるのではなくなぜか胸に手を当てて満たされて終わっていった。いやお前のせいなんだよと。何満たされているんだよ。
ジゼルを踊ったエリカ・ミキルチチェヴァです。病弱とはちょっと違う雰囲気ですが元気すぎもせず。キトリ(『ドン・キホーテ』)の方がハマりそうな印象はあるけれどジゼルとかけ離れてはいない。2幕では無表情で踊るのではなくアルブレヒトに対する気持ちが溢れでておりまだウィリになりきれていない様子だった。ミルタやお願いするマイムは強い願いが込められていることがわかるようなマイムになっていた。個人的には無表情に近いジゼルが好きですが1幕からの舞台の雰囲気とあっているのはこちらですね。
1幕のジゼルのバリエーションはとても良い出来だった。一つ一つの技術が高いのではないのですがジゼル自身が踊りを楽しんでいる様子が伝わってくる。慣れているのか動きに余裕があり安心してみることができた。狂乱の場面は元気だったときとの対比ができており突然知らない人になってしまった感じがあり悲しかった。ただ音楽のテンポが速めだったので過ぎ去ってしまった感が強い。もう少し味わいたかった。
地獄のアラベスクタイムについて
乱れのない美しいアラベスクを見れるお時間には満足ですがこちらもテンポが早い。昨年のボリショイ劇場で見たときも思いました。加速するのがスタンダードなのでしょうか。確かにバレリーナたちからすれば高速でちゃちゃっと終わらせた方が楽だとは思いますが重心を下に重く進むのがこの振付の面白さだと思っているのでテンポを上げてしまうと面白みがなくなる。マリンスキーでは早いと感じなかったけれど錯覚かな?
地獄のアラベスクタイムは良かったのですが後半に行くについてウィリたちとのバランス力やキープ力が下がっていくのが気になりました。グラグラしていたり微妙に揃わなかったりと。無表情でずっと舞台いるのだから大変なのはわかるけれどコール・ドあってこそのバレエなので頑張ってほしい。ハンス(ヒラリオン)を退治した後退場するのに速攻で呼び戻されるのいつ見ても忙しいなあって思う。
その他
1幕のパ・ド・ドゥ(エリザヴェータ・デグチャレワ、エフゲニー・ドゥブロフスキー)は貴族が退場する前に差し込まれていました。どちらでも良いと思うけれど曲の繋がりが綺麗じゃないのは気になる。ドゥブロフスキーのソロで最後のジャンプの着地が乱れてしまったくらいでその他は丁寧な踊りだった。ドゥブロフスキーはロールデビューだそうです。おめでとうございます。仲良さそうな踊りは素敵です。主要なダンサー全員が安定しているので基本的に安心して見れるのが良い。
バチルド姫(アナスタシア・ペルシナ)も良いです。アルブレヒトの浮気(遊び?)を知っても特に表情を変えない。そんなものだと知っているかのようにジゼルに説明する。貴族の方たちも気に留める様子なく退場していくので改めてジゼルとは別世界の人たちなんだと教えてもらった。
ドゥウィリ(ナタリア・タラソワ、ダリヤ・チュグノワ)の踊りがとても綺麗だった。二人とも身長が高めなのかな。ザ・バレリーナという容姿で見栄えが良い。他のウィリたちに埋もれない存在感と元々長い手足をさらに長く使って踊る。背中の使い方が綺麗だったり一つ一つのポジションの保つ時間が長かったりで満足度の高い踊りをしてくれた。
こんなところです。
この劇場で色々な作品を見てみたいと思わせてくれました。再訪必須!