2025年12月25日(木)19:00公演
Hakuju Hall
プラチナ・コンサート・シリーズVol.21
<オール・シューマン・プログラム>
~“音と詩の旅”への誘い~
平野 和 バス・バリトン リサイタル

お世話になっております。
三島でございます。
この日はドイツ歌曲のコンサートへお出かけです。
歌曲のみのコンサートは本当に貴重です。オペラアリアで茶を濁さずに面白いコンサートを作り上げることができるのか歌手やピアニストの腕が試されます。オペラと歌曲どちらが優れているのかという話ではないですよ。ただ歌曲だけのコンサートって気を使うよねって言う話だよ。
それでは感想いってみよー。
(以下敬称略。)
お持ちの声がいいねって話
お持ちの声が良いなあという印象。声自体に深みや影があり今回歌ったシューマンの歌曲がよく合っていた。声が良いと言うのはこれ以上にない強みだと思います。ただ今回の演奏会は逆にそれ以外に魅力を感じる部分がないというか、少ないなあと言う印象を受けました。
終始声量大きめで歌うことができるのは素晴らしいことだが、今回は歌曲の演奏でありピアノ伴奏である。前半の『ケルナーの詩による12の歌曲』では全てフォルテでやり過ごしているようだった。声がまっすぐ飛んでくるし疲れも感じさせない。しかしそれだけになってしまい何を言っているのかどんな感情や表現があるのかを感じにくい。20曲以上歌ったが曲ごとの違いや変化を感じにくい仕上がりだった。
『ケルナーの詩による12の歌曲 』1曲目は(“Lust der Sturmnacht”)の“〜Tale draussen”の部分は跳躍のときに強さがほしいのですが最初からフォルテだからこの部分が強調されることはなかった。
『詩人の恋』の1曲目の超有名な”Im wunderschönen Monat Mai”は音楽の流れが歌もピアノ1も足りておらず曲自体の美しさが伝わりにくかった。でも前半(ケルナー)よりも歌いやすそうで強弱表現も多少は確認できた。本人がpp(ピアニッシモってやつ)と思って歌っていそうなところがデフォルトの音量だと声量に引っ張られすぎずに聞くことができてよいのになあと思った。
気になったこと
上で書いたようにひたすらフォルテなので音量に邪魔されて言葉を上手に聞き取れなかったのですが、時々声量が控えめになるとひらがなっぽいところが出てきて気になった。ドイツ語には慣れているようで全体的にはよく歌っているように聞こえるんですけれどところどころ聞こえる母音の短さやuの浅さが音楽を平面的にしていると思った。
とりわけ(?)ドイツ歌曲になると伴奏者さまがフューチャーされます。オペラ伴奏や古典イタリア歌曲伴奏とは異なるDuo感を味わいたいですね。
終始的確な伴奏で特に『詩人の恋』では伴奏の負担が増えるなか良い演奏を聞かせてくれた。お歌と調和していてかと聞かれればそうでもないと答えるが決して悪かったわけではない。平野が元気に歌うので手堅い伴奏はバランスがよい。最初は固すぎると思ったが聞いていくうちにバランスが取れているとわかった。
ただ詩人の恋の最後の曲(“Die alten,bösen Lieder”)の後奏はちょっと違った。転調のことを考慮しても違う曲になっている印象を受けた。流れを作り出せず受け取れずで収まりの悪い最後となってしまった。
以上です。