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【オペラ感想】ばらの騎士(ウィーン国立歌劇場2025年日本公演)

2025年10月22日(水)15:00公演

東京文化会館 大ホール

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演

フーゴ・フォン・ホーフマンスタール台本

リヒャルト・シュトラウス作曲

ばらの騎士

お世話になっております。

三島でございます。

 

さてオペラです。

ばらの騎士』です。

 

東京文化会館改修閉館前の最後の(!)大型来日公演いってみよー。

(以下敬称略。)

 

1幕

ばらの騎士』大事ポイント①が序曲のホルンです。音量と突き抜ける感じがもっとあってもいいのになと思いながらも不安定ではない始まりに一安心。出だしからの元気な音楽の絡みが落ち着き次のメロディに変わると、静かに押し寄せる波のような音の動きがとても綺麗でこの作品を落ち着いて見れそうな予感がした。予感は予感で終わりますが。『フィガロの結婚』でも思いましたが演奏が常にお上品です。

 

幕が開き本日の舞台セットと元帥夫人とカンカンのお目見え。この後登場する人たちの衣装を含め綺麗だし物語との相性は良いのですが色の主張が少なく全部が似たような配色で構成されているので全体で見ると見栄えがあまり美しくない。特に人が多いと舞台セットと同化してしまうので見ずらい。

 

上品なオーケストラ演奏に導かれながら始まるお歌ではびっくりのびっくりが連続して起きます。元帥夫人(カミラ・ニールンド)もカンカン(サマンサ・ハンキー)も奥まった歌声なので響きが悪く聞き取りにくい。高く登っていくような響きはほぼないのでここから最後までほとんどの場面で歌声を探しにいく作業が発生する。

 

オーケストラの音量が大きすぎるから届かないのではなくもっと物理的な分厚い壁の向こう側で歌っているような声だった。単純に声量が小さいこともあるのですが声量が小さくても響けは問題ないのです。でも響きも良くないのです。良い歌声は勝手に耳と体に入ってくるのでこちらが声を拾い上げなければならないことがこの大型来日公演で起きてしまったことを悲しむ。

 

響きが良くないことに加えてドイツ語の発音も奥の方でつくられているので言葉が不明瞭。『フィガロの結婚』とときから大きな期待はしていなかったのですが大きくない期待さえ超えてきてくれない驚きで物語に入っていけない。誰か上手な人が出てきて物語にのめり込ませてくれと救済を求めながら見ていた。

 

なぜ2人で似たような歌い方をしているのかは謎ですが特にハンキーは第一声から10分程度はブレスの吸い方も不安定で小慣れているはずのカンカンがまるケルビーノのように見えてしまいました。このまま進むのかなと心配になりましたがそれなりに良くなり最終的にはブレスに関しては気にならなくなりました。ケルビーノついでに先日のケルビーノとは違いビジュアル的にはきちんとカンカンに見えたのでよかったです。

 

オックス男爵のご登場。ピーター・ローズの声は前に出ており無理なく客席に届くことに安心したのも束の間、声が好きに出たり入ったりする。綺麗な音楽の流れが描けない。声は良いのに安定感がない。ただ、品性のない振る舞いはしつつも滑稽にしすぎない塩梅が良くお芝居は上手な印象を受けました。芝居に引っ張られてお歌のコントロールができなかったのでしょうか。

 

その後登場するたくさんの方々の中の3人の女の子たちの歌唱も響かない浅い発声でした。ちょっとしか歌わないけれど自分に視線を集められる大事な時間ですので芯のある美しい声を期待します。

 

唯一の登場場面で客席の魂を全て持ち帰るくらい上手であってほしいテノール歌手(エンジェル・ロメロ)の登場。何を歌っているのか全く聞き取れない。イタリア語でしたか?イタリア語ってそんな奥の方で歌えるのですか?もしくはドイツ語でしたか?レガートオブレガートの曲なのに流れないし平たい。ブレスの位置がわかりやすい。ということは良く止まるということ。高音ジャンプこそ綺麗に歌ってくれましたが全体的に精度を上げていただきたい。

 

テノール歌手が歌っているときに耳を塞いだり拍手をして終わらせようとしたりと聞く気がないオックス男爵と心の中が忙しすぎて全然聞いてない元帥夫人が面白かった。遠くから見て(気になることが多くて物語に入っていけないので遠いという意味)元帥夫人も愉快な人の仲間たちだったのだなと思いました。

 

押しかけてきた人々にお引き取りを願ってお一人になった元帥夫人。ここから1人で歌う部分はオーケストラの音も小さいのでよく聞こえたし最初より声も乗っていました。しかし、オーケストラがおとなしいからよくわかるiの母音の硬さ。こもった声なのに突然キンキン声が目立つのはiのせいでした。

 

元帥夫人とカンカンの対話。音楽が停滞する印象を受けます。絡みにいくカンカンと向いている方向が違う情緒不安定元帥夫人のやり取りは発声が気になりつつもそれなりに会話していたので楽しめた。取り返しがつかなくなって絶叫する(絶叫ではない)元帥夫人が可愛いなあと思う。そしてこの後やってくるお別れに思いを馳せる。

 

2幕

書きたいことは大体最初に書くののでどんどん文字数が減るのが常。

 

幕が開くと階段と階段と階段の登場。絵ではなく本物の階段で舞台を縦方向にも使っておりワクワクした。来日公演=豪華セットっていう刷り込みがあるので日本にお越しくださる方々は豪華絢爛な舞台も一緒にお願い致します。前方に置かれているパーテーションが安っぽいのは気になった。

 

最後の砦、ゾフィーちゃん(カタリナ・コンラディ)の登場です。コンラディは『フィガロの結婚』でスザンナを演じていました。両方への出演大変お疲れ様でございます。小柄な容姿とキラキラな目が可愛らしくとっても少女だった。お歌は全キャストの中で1番上手でした。ここが平均であってほしかった。

 

上半身発声気味ではあるけれど勢いよく飛んでくる高音は美しく瞬時に正しく音にたどり着けるのが素晴らしかった。声に重さがないけれど浮つかない。軽く華やかで輝く声は容姿と同じようにゾフィーにあっているしスザンナにもあっていた。それにしてもスザンナとゾフィーを連続で歌える強さが恐ろしい。言葉は完全明瞭ではないが他歌手よりも前で発音しておりよく喋るゾフィーがある程度発音できる人でよかったです。

 

夢見るキラキラゾフィーちゃんはコンラディの声の影響もあり本当に楽しそうです。毎晩図鑑見るの楽しかったのでしょうね。予想外の結婚相手が来ても絶望で沈んでしまうのではなく現状を変えようとする強さがまたコンラディのきびきび動く姿と相性が良い。

 

若いお二人(カンカン・ゾフィー)が並んで歌うとハンキーの声や響きが安定しコンラディが言葉を前で捌くのでハンキーの言葉も前に出てきてるように感じた。しかしソプラノのコンラディの方が声に芯があるためハンキーの声が軽く聞こえるときがあり混乱。

 

2人の出会いは運命を思わせるようなわかりやすいお芝居にはなっておらず緩やかに進む様子が歯がゆい(褒めてる)。ゾフィーとカンカンの気持ちに気づいてしまったマリアンネの表情がお上手でした。それとなくゾフィーを制止するのも保護者の対応という感じで良い。この舞台上にいる唯一の大人だったのかもしれない。でもカンカン到着前は結構はしゃいでいたな。

 

幕切れ前のワルツの演奏はさすがウィーンからお越しくださっただけあって大変にお上手です。適度な音量と音が揃っており音の厚さが良い。個人的にはもっと大きな音で演奏してもらっても良い。オーケストラが一歩引いたところで演奏しているように聞こえるのが気になったのですが考えてみるとオーケストラがある程度気をつけておかないと歌手の声が全部消えますね。オーケストラの豪華さに合わない歌手の声はどうしたら良いのかわからない。

 

オーケストラのワルツは素敵ですがのオックス男爵は力が抜けすぎている。効果的に声量を調整しているのではなく好きなところだけ声を出しているように聞こえる。ご機嫌に気持ちよさそうに歌っている姿はとってもオックス男爵なので良いのですが声を届けることを忘れないでください。客席は待っております。

 

3幕

女装カンカンと男爵のお芝居ではつくった声であるものの女装カンカンのときの方が言葉が前に出るので聞き取りやすい。3幕だけでなく最初からですがローズは低音の響きが良くないです。響きが良くない?声が出ていない?低音は全く届かずに最短距離で落下しているような印象。低音を伸ばしていることに気づくのは最後の子音の「ッツ」のような音が聞こえてからです。

 

元帥夫人の登場からは流石にまとめてくるよねと納得の仕上がり。相変わらず元帥夫人とカンカンの声は弱いし発音は奥の方だしで聞き取りづらいことには変わりないのですが綺麗で場面にはなっていた。元帥夫人はオックス男爵に対して品格を説くよりも怒りの方が強いように見えた。普通に怒っている。

 

三重唱で各々の心境を歌う場面は素直に感情が伝えわってくるような感覚になった。コンラディと一緒に歌うと引き寄せられるように全員の声がまとまる。そして全員の声が良く聞こえる。

 

3幕のコンラディは2幕よりもさらに整った声を披露。元帥夫人が登場し自分の居場所を一旦失うこともあり2幕の弾むような声をちょっと控えめに不安そうにだけれど声はしっかり出して歌ってくれる。元帥夫人との会話での早口言葉も捌けておりドイツ語圏のご出身ではないのにすごいなあと純粋に感動。元帥夫人と話してる最中に笑顔になるのが可愛かった。

 

ニールンドの元帥夫人のiの母音は最後までキンキンしていたけれど崩れ落ちそうな自分を必死に抑えるようなお芝居は説得力があった。2幕は出ないといえども本当に大変なお役である。

 

若い二人の初々しい二重唱が終わり可愛い子役がハンカチを回収し終幕。ハンカチや元帥夫人が目を拭くところなど台本に忠実な部分があったのが嬉しい。

 

元帥夫人について

人間味あふれる元帥夫人について三行くらい書きたい。

 

1幕は心のうちをそのまま客席にも見せるような仕上がりになっておりますが3幕は葛藤はあるけれどどこか達観した状態で登場し去っていくものだと思っていました。

 

しかし3巻でも1幕の心境のままなんだなと強く感じました。時の流れを客観的に憂うのでなく自分の感情にまだ整理がついておらず心に言い聞かせて自分を律しているように見える。我慢してでも立ち去らなければ行けないことに対する苦しそうな表情。カンカンとゾフィーの距離の近さに体ごと背けたのが印象的です。カンカンとゾフィーを残して扉を閉める姿なんて扉が重そうなこと。裏で大泣きしてるだろうね。

 

ゾフィーのパパと戻ってきた後、去り際に手を差し出してカンカンにキスさせる。お別れのご挨拶ではなくゾフィーに見せつけているような雰囲気。そのときのゾフィーの顔が暗くて怖い。凛とした美しさのある元帥夫人ではなく人間味溢れる元帥夫人でした。面白かったです。

 

以上です。

 

来日公演はまだ続くようですが私はここでおしまいです。2公演ともこのような感想になってしまった。でも良いお勉強になった。いちいち絶望しなくなったのはパリ・オペラ座バレエ団のおかげ!

 

本当のところは実際に現地に行って現地で聞かないとわからないよね。

よね!




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