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【オペラ】イオランタとくるみ割り人形(2025年二期会)

2025年7月19日(土)14:00公演

東京文化会館大ホール

二期会

ピョートル・チャイコフスキー作曲

イオランタとくるみ割り人形

お世話になっております。

三島でございます。

 

この日はオペラを見に東京文化会館へ行きました。休館までにたくさん訪れたいですしリニューアル後はいち早く駆けつけたい場所です。

nikikai.jp

この公演の演出は2023年10月の『ドン・カルロ』(ヴェルディ作曲)のとんでも演出をしたロッテ・デ・ベアなので好みの演出であることを絶対に期待せず何も求めずに劇場に行きました。ベアさんが芸術監督をしているウィーン・フォルクス・オーパーの実態が気になります。でも人の国の劇場のこと言えないよね、新国立劇場を見てご覧。

 

では感想言ってみよー。

(以下敬称略。)

 

やっぱり

『イオランタ』と『くるみ割り人間』のダブルビル公演ではなくイオランタをぶった斬りくるみ割り人形を継ぎ接ぎにし差し込んでくるという横暴な構成となっていた。期待してないから何も思わなかったけれど純粋に楽しみにしていた人がいたのならHPはゼロだね。

 

イオランタが抱く幻想の世界をくるみ割り人形の世界にするという発想は面白いし理解できる。ただ音楽的に美しくない。もともと美しく完成されている2つを壊してまでつくるのですからそれ以上の美しさや驚きがほしかった。ただ流れがブチブチ切れて終わったという感じっす。別作品への曲の移行についていけないのは別作品として知ってしまっているからで初見(耳?)だったらなんとも思わなかったのかもなあと思うとこれまたちょっと寂しい。

 

個人的に一番悲しかったのは女性合唱のお歌をカットしたところですね。一番聞きたかったやつがない。後は壮大なフィナーレをしょぼくしたのもいただけないです。ベアがこのエンディングに疑問を持っているそうなので演出家の意向というやつでしょうがオーケストラと合唱を含む歌手の声の厚さがとてもかっこよく気持ちの良い曲で終幕なので少人数で『くるみ割り人形』挟みの構成には寂しさしか残らない。

 

召集されたバレエダンサーたちの踊りもパッとせずなんだか体操教室みたいな動きだった。花を踊らせたり男性のチュチュみたいな衣装を着せたりと視覚的に奇抜なことをやりたかったのはわかるのですがただそれだけって感じで意図や意味を汲み取りにくい。だから私は一生懸命パンフレットを読む。『くるみ割り人形』でなくても良かったのでは?クララとのリンクが大事なのか?舞台を直視するのが苦しいので時々下を向いて音だけ聞いてました。ごめん。意味がないことが意味ならめちゃめちゃ優秀ですけどどうですか?

 

前衛的な演出もめちゃくちゃ時代設定にも寛容で総合的な完成度が高ければなんでも受け付けるというのが私の姿勢ですが前回に引き続きベアの演出は中途半端だなという印象で終わりました。

 

自分でつくればいいのでは?

パンフレットを読めばベアが言いたいことや思いの方向などわかるしそれ自体は興味深いものである。けれどそこまでの思いや意思があるのならゼロから自分の作品を作ればいいのでは?と思った。人の作品を切り刻んでまでやる意味は何なのだろうか。残念ながらオペラというものは音楽が何よりも大事でその上に演出や表現が乗っかってくるものなので音楽を蔑ろにしてはいけない。いくら演出の時代だからといっても作曲家とその音楽に対する敬意は忘れてはいけませんし置いてきてもいけません。自分がやりたいことを優先するなら人の作品でやらない方が好都合だと思いますがいかがでしょうか。

 

影のない女』(シュトラウス作曲)の演出(ペーター・コンヴィチュニー)くらい吹っ切ってくれればまた違った意味で楽しめるのですがそこまでいかないのでモヤモヤします。

 

 

歌手の感想

リハーサルを見せられているのかな?と思うくらいパッとしない歌手陣の皆々様。ベアのイオランタ再構築により全体の流れがないので一つの演目として歌いずらかった部分はあるかと思いますがそんなときこそプロの力で流れを生み出してほしいものです。スタッカートつきまくりだったっけ?と疑いたくなるほどの分離された歌唱で音楽がよく切れる。そして愛おしいほどの棒読み歌唱。ロシア語は不明瞭ではあったけれど先日のラトビアの歌手よりかは発音する気がある印象を受けた。特に2幕は私の耳が慣れたせいかもしれないが聞き取れることが増えたのは良かった。

 

誰が一番上手だったかを挙げる必要があるならばイオランタを歌った川越未晴でしょう。整った優しい声で音域に左右されない統一感のある歌唱は良いものでした。軽い響きは若い設定のイオランタにはピッタリでした。しかし整っているけれど全体的に浅い印象。響きに深みがほしいところである。日本人が好きそうな声でした。

 

ヴォデモン伯爵を歌った岸浪愛学は無理に高音を出している印象しかない。高音へいくときに瞬時に声が出ないし何より天井が低くて苦しそうだった。後半にいくにつれ声の艶がなくなりギリギリでカサカサした高音になってしまった。そしてとってもイタリアンな伯爵だった。そもそもアルメリック役の濱松孝行がヴォデモン伯爵役だと思っていたのでキャスティングをよく見ないことを反省しました。二期会コンサートで聞いており歌える方と認識しておりますのでカヴァーやってないで本役で歌って欲しかったです。

 

ルネ王の北川辰彦はなぜルネ王を歌っているのかわからないくらい低音が出ない。最後の低音からのオーケストラが襲ってくる感じがかっこいいルネ王の見せ場のお歌ですが低音がギリギリ出ているレベルでびっくり。全体的に深みもなく声がその場に落下しているような印象を受けた。北川に限らずみんなそうだったのですが。

 

以上です。

 

ベアの演出は面白いことするには中途半端なんだよね。

一回普通の演出をしてみてほしい。(普通とは?)

 




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