2025年6月17日(火)18:30公演
東京オペラシティコンサートホール
メゾソプラノ リサイタル2025

お世話になっております。
三島でございます。
この日はエリーナ・ガランチャさんのリサイタルを聞きに行って参りました。
ガランチャさんのお歌を聞くのは昨年のMETオーケストラ来日公演2024(メトロポリタン歌劇場)ぶりです。単独だと2022年の公演も聞いております。つまり直近は聞いているということですね in Japan。今回の来日ではピアノ伴奏とオーケストラ伴奏両方のコンサートを予定しており東京以外の都市でも公演があるそうです。
それでは感想いってみよー。
(以下敬称略。)
朝飯前感
全体的に余裕を感じる演奏会だった。登場してピアノとの集中力タイムに時間をとらずにすぐに歌いだした。私、すぐ歌う人、好き。第一声から淀みなく声を出しており緊張や探っている感じも見せないので多分朝起きたときからこの声が出る。技術力の高さと安定性、自分の能力に絶対的な自信を持っているようにみえました。経験値がレベチでもはやわからん。
伴奏者(マティアス・シュルツ)は違うけれど演奏曲が2022年のリサイタルとほぼ同じなのはちょっとだけ残念です。アンコールまでほぼ同じなのは笑う。逆にこの曲たちに絶対的な自信があるということで良いでしょうか?1曲1曲異なる世界を見せてそして味わせてくれるのは嬉しい。ガランチャが集中して歌っているのでこちらも集中して聞くことができる。また歌曲がオペラっぽくならないのは本当に感謝です。オペラ歌手がコンサートで歌曲をちょっと歌うと前座やオマケ感が出てしまい好きではないことがある。
無理矢理低く重く歌うように声を出しているイメージがメゾソプラノ歌手全体に対してあります。本当のメゾソプラノってどんなんだろうね、というのが最近のテーマです。そのテーマの中の一つの解答をガランチャに教えてもらった気がします。まず声自体に重さを感じませんでした。とっても軽いのね。響きや芯はしっかりしているのに柔らかく歌う。重いと深いって違うのねと改めて確認。軽いとか柔らかいだと言葉が足りてない気がする。空気をよく含んだ声といえば近いのかな。直球バーン(なときもあったけれど)じゃなくて滑らかに広がっていく感じです。顔面に当てすぎないので行き当たりばったりの声にもならないのです。
低音は押さずに中音域とポジションを変えずに声が出てくるのです。これがすごい。前や胸に持ってこなくても綺麗に歌えるもんなんだなと思いました。1曲目”Liebestreu”(ブラームス作曲)の最後の“〜die hält ihn aus”がとても綺麗でした。力強く出しているのに押した声にはならない。高音はフォルテ気味なときでも口の形が縦にきれいに開いておりました。声も表面ではなく喉の奥の方からでてくるような感じで深さがある。ときどきシャウト気味でしたが(後半)口の形って大事なんだと改めて思った。
調子が特に良かったのはサルスエラ2曲ですかね。(”Cuando esta tan hondo””Las hijas de Zebede”)。軽くでも大胆に歌っておりました。
お衣装は前半は白のブラウスに黒のロングスカートでブラウスは肘部分が花になっているように見えるデザインでスカートはキラキラでした。後半は白(もしくはシルバー)のキラキラタイトラインのドレスで袖がマントみたいになっているやつでした。どちらもお似合いで美しかったです。本人はとても可愛らしい方のようで話しているときと歌っているときのイメージが違いますね。いぶし銀のようなかっこいい部分とアンコール課題曲の”O mio babbino caro”(プッチーニ作曲)の最後で変顔する様子は両方美味しいってやつです。この曲で変顔するのは2022年と同じですね。
気になってしまった
演奏会自体にはとても満足しておりますがとの言語も(スペイン語とラトビア語は分かりませんが)発音が不明瞭でほわほわしておりました。フランス語は鼻濁音ほぼやってないのかな?やっているように聞こえにくい声なのな?というところです。サムソンとデリラの”Mon coeur s'ouvre a ta voix”(サン=サーンス作曲)は一言一言の切れ目がよくわかったのでもっと流して歌ってほしいなあと思いました。フランス語の美しさって「流れ」じゃないですか?あと、1回目の”Ah! verse-moi, verse-moi l'ivresse!”の2回目の高音ジャンプの音がハマらなかったですね。
ドイツ語は逆に単語を流しているように聞こえた。まさにほわほわ部だった。フランス語とドイツ語交換したい。春祭の歌曲シリーズのドイツ語の美ししさを思い出していた。なんでも歌えるって大事だけれど一つを極めるってもの大事だよね。さてどっちを選ぶ?
ロシア語は全体的に発音が柔らかすぎる気がしました。иду”なのか”идёт”なのかわからなかった。アンコールで歌ったラフマニノフの歌曲”Не пой, красавица при мне”での”Другую жизнь и берег дальний”の「Др」の部分が流れていたりフレーズの最後も早めに切った気がした。なんか気になった。
ネームバリューがあり世界レベルで歌える人に限っては言葉の精度は免除される(?)ので今更何をって感じですけれどまあ明瞭に越したことはないのでね。多言語を歌うとどこかしらに漏れは出ますし。諦めよう!
媚びない伴奏者様
聞きまして?シュルツの伴奏聴きまして?とっても私の好みでした。
ラフマニノフの歌曲はとても素晴らしい伴奏でしたね。特に”Весенние воды”の前奏が良かった。派手にガチャガチャ弾かない。客席にも作曲家にも媚びない。良いバランスで硬さを残した真面目な伴奏です。
ガランチャもいぶし銀なんだけれどシュルツの演奏もいぶし銀です。”O mio babbino caro”の前奏なんて全力で歌手の入りを盛り上げるはずなのに全然しないのね。面白すぎる。プッチーニファンは面白くないだろうけれど媚び媚びアピール伴奏よりも好感度高いし別に上手だから良い。(おそらく)技術はあるのにそれを全くアピールしない面白みのなさ(褒めてる)がまじで好きです。
以上です。
同じ曲を聴く面白さもあるけれどせっかくなので新曲を持ってきてほしかったところは本当の本当の本音です。ただ伴奏が好みだったので良いです。
大阪公演のピアノ伴奏の公演に行かれるかたは伴奏者にも注目してください。
では東京最終公演で会いましょう。