2025年6月1日(日)12:00公演
東京文化会館大ホール
オーストラリア・バレエ団
2025年日本公演

お世話になっております。
三島でございます。
この日は再びバレエを見に東京文化会館へ行ってまいりました。上野駅周辺の混雑具合は半端ないですね。
何故か二回連続『ドン・キホーテ』です。明るくハッピーな内容なので気負いせずみれて心が楽です。
オーストラリアのバレエ団と言われてもピンと来なかったのですが引き続きバレエが観たい気分だったのでチケットを購入しました。14:00開演だと思っていたら12:00開演で気づいたのは当日の深夜。危なかった。正午から始まると午後にかなり余裕が生まれるので優雅におやつたいむできて嬉しい。
今回持ってきていただいたのはヌレエフ版です。『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』などのヌレエフ版大好きなので嬉しい限りです。お見かけすることはありませんでしたがシルヴィ・ギエムさんもともに来日しているというお話し。豪華だ。
全体的な感想と幕ごとの感想をちょっと書いていきます。
ではいってみよー。
(以下基本的に敬称略。)
誠実に踊る
幕が上がる前に芸術監督のデヴィット・ホールバーグが通訳を連れて舞台に登場し少々お話をしてくださいました。15年ぶりの来日であること、これからも日本とオーストラリアで仲良くしようね、みたいなご挨拶がありました。立って喋っているだけなのに立ち姿が美しい。さすがバレエダンサーです。最初と最後に日本語を使ってくれて日本人の心の掴み方をよくわかってらっしゃるなと思いました。芸術監督が直々に挨拶しなくもいいんだけれどわざわざ出てきてもらえるのは嬉しいです。
オーケストラは東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団なので通常通りの演奏でしたが指揮者(ジョナサン・ロー)がダンサーをよく見ているなあと思いました。音楽が先行してしまうことがなくタイミングに気を配っていおり振付の緩急に対応している演奏に聞こえました。上手下手は置いておいて踊りと音楽の一体感がありました。
バレエ団の印象はとっても良いものになりました。長ーい歴史やネームバリューによるバイアスがない(悪い意味にとらえないでね)ので余計にそう見えたのかもしれませんが真面目にバレエを楽しんでいるように見えたし感じました。隅から隅まで全ての舞台上にいるものが生き生きとしておりバレエを見ることってこんなにハッピーなことなのかと改めて思わせてくれました。
特別に踊りが優れていたり、驚くようなテクニックを持っているスターダンサーがいうわけではありませんでしたが真ん中にいるダンサーはその役をもらうだけの力量がありそして役名がないダンサーを含めて全員がキラキラしているのが魅力です。特に『ドン・キホーテ』という作品との相性の良さを感じました。『白鳥の湖』持ってきていたら印象は大きく変わると思う。演目選択って大事だよね。
カーテンコールではダンサー以外の公演メンバーもステージに登場し芸術監督も再び登場し全員でお別れです。泣けちゃうくらい大きな愛がありました。
では幕ごとにダンサーの感想をちょっとだけ書いて終わります。
プロローグ・1幕
最初の場面で思ったことは一つ「ドン・キホーテ(ジョセフ・ロマンスヴィッチ)がハンサム!」以上です。カツラと動きでおじさん感を出しておりますが髪ボサボサでも爽やかさは消せていないし背も高いので美しいです。全幕を通して差し出す手の美しさや跪き方など一つ一つの動作が美しい。見た目に反して動きが美しいのが逆に変な人感が出て面白かったです。
元が映画ということもあり映画風味のダンサー名前入りのオープニング映像から始まりました。最後の絵と幕が開いたときの舞台セットが同じで急に立体感が出て面白い。舞台セットにはお金がかかってそうです。お金ない舞台をよく見るのでお金ある(のかは知らないけれど)舞台は良い。海を渡って色々持ってきたんだね。決して狭くはない東京文化会館の舞台を大きな装置をいくつも置くので踊れるところはかなり狭くなっていた。その限られた空間をダンサーがめいいっぱい動くので躍動感が増し増しになる。舞台の余白を削減できるので舞台上の隙が生まれにくく見応えに貢献していた。
1幕は役名がない人々(コール・ド)の演技の上手が際立った。全力で動き回っている姿と舞台上の熱量が作品を立体的に描き出すことに成功していた。動きが大きく表情が豊かでどの人を見ていても楽しめる。ただでさえ大変そうなヌレエフ振付なのに踊りでないところも全力なので体力あるなと思いました。しかもただ大きく動いているのではなくストーリーがあるというか。エスパーダの仲間たちと女の子取り合ったりエスパーダのまねしたみたりハンサムに話しかけられてウキウキの女の子がいたりと目が足りない。困りました。これはリピート公演だったのでしょうね。残念。
エスパーダ(マキシム・ゼニン)がね一番華やかだった。衣装がゴールドということもありますが本人もゴールドに負けない華やかさがあったし踊りも上手だった。そりゃみんな群がるわな。シソンヌ(違かったらまじごめん)で上に飛んだときに空中で体がさらに伸びるんだよね。足伸びるの?何その余裕?って感じです。空中で何かできる人ってすごくない?シェネもキリッキリッと回るのが美しかった。
キトリの近藤亜香はとってもキトリだった。活発で元気でみんなに愛されてる女の子感じがよく出せていた。周りがよく動くので埋もれて見えないか心配だったのですがちゃんと輝いておりました。1幕の見せ場の踊りはもっと派手に踊ってもいいのではないのかと思いましたが背中の使い方やパキパキしすぎず緩急を意識しているような踊り方は素敵でした。ドン・キホーテの存在を楽しんでいる様子が可愛かった。バカにしてのではなく人として興味があるみたいな。
バジル(チェンウ・グオ)は冴えないお兄さん感が面白かったですね。完全にキトリの手の中よ。でもそこが良いコンビといったところです。踊りは1幕はパッとせずジャンプの着地のポジションが不明だったのが気になりましたが3幕は激しくよく踊っていた(先に書いておく)。3組で踊っているときのバジルの視線がキトリにいきやすいところや険悪な雰囲気の中踊り出したと思ったらいつの間にかニコニコに戻っているところなどを見て「キトリのこと大好きじゃん!」と言いたくなった。
2・3幕
ロマのシーンは暗くてあまりよく見えなかったのか残念ですが、キトリやバジルなどをマリオネット(という名のバレリーナの卵)を使った状況説明は面白くわかりやすくて良いなと思いました。振付に関してはこの場合に限ったことだけではありませんが、一生ハードで一生細かいとっても過労な振付はさすがヌレエフといったところです。中腰で動き回る振付まじしんどそう。
ドリアードの女王(根本里菜)は大きく目を引くような存在にはならなかったけれど踊りを着実に決めていったのでよかったです。もう少し伸びやかさと存在感があると美しくなりそうです。キューピッド(渡邊綾)は想像通り可愛い。衣装がいわゆるキューピッドと違うのがとても興味深いです。顔の付け方が上手でした。どこを見ているかわかるって大事なんですね。存在感は女王よりもありました。幕切れの自転しながら手を上から頭の後ろを通して斜め下に下ろす振り付けがまじで好きです。美しいし幻想的だし美しいし。
夢の場面は衣装が本当に素敵です。儚すぎずゴージャスすぎずといったところです。青や基調がゴールドで衣装によって水色やピンクが使われてた。髪飾りもゴールドでした。素敵です。間近で見せてほしいです。展示会を希望いたします。夢の場面に限った話ではなく1幕のコール・ドの3段重ねのスカートは物によりレースが使われていてとてもオシャレだし3幕の衣装はレースのカーディガンを羽織っているように見えるのが良い。全幕通して袖ありの衣装のデザインが素敵だと思いました。
3幕はキトリの見せ場が素晴らしかったですね。音楽に合わせているのではなく音楽を支配しておりました。視線の使い方がまた上手で客席だけでなく周りのダンサーに対しても盛り上げてながら踊っている様子が良かったです。ジャンプしてバジルがキャッチするまでの時間の浮遊は恐ろしい。実際はただ落下しているだけなのですがなぜ美しいのでしょうか。落下までもが踊りなんですよね。
キトリのフェッテの前のバジルのゴーカイジャンピング半円移動も恐ろしいです。ここまで体力温存していたのだろうなと思うくらい飛び跳ねてましたし3幕は1 幕より着地が綺麗でした。回転技はスピードが落ちても音楽をたっぷり使うことにより余裕を醸し出しておりました。ドン・キホーテとお別れした後のフィナーレでみんなで踊っている場面の振付で上に手を上げたかと思ったらその手を床につけるという動きは誰か考えたのか。恐ろしい人がいるものだ。体力勝負の踊りを最初から最後まで完走し切っただけでも素晴らしいです。
以上です。
普通に楽しんでカーテンコールに感動してちょっと泣いちゃってって感じです。
踊りも歌も技術第一だけれど(少なくとも私はそう思っている)ときどき愛が勝っちゃうんだよね。
だから面白いのだろねー。
オーストラリア・バレエ団の皆様、また遊びに来てくださいね。