2025年5月15日(木)19:00公演
東京オペラシティ コンサートホール
ハビエル・カマレナ来日コンサート

お世話になっております。
三島でございます。
この日は昨年の英国ロイヤル・オペラともに来日したテノール歌手ハビエル・カマレナさんの来日コンサートに行って参りました。来日公演にてマントヴァ公爵(『リゴレット』ヴェルディ作曲)を歌ったときの印象は悪くないものでした。
・上手
・だけれど本当はもっと歌えそう
・声が小さめ
といったところ?是非また聞いてみたいと思っていたので単独での来日公演が開催を知ったときはハッピーでした。
それでは感想いってみよー。
(以下基本的に敬称略。)
1年経ってないよね?
来日公演時の印象やポスターの写真を見ると若さがありましたがこの日はだいぶ大人な印象。髪もかなり短くなっておりお坊さんのようだった。羽織っているダークブラウンのジャケットは素材がレザーでお洒落。蝶ネクタイも外側が金色で装飾されているものを付けておりこちらもお洒落です。蝶ネクタイはどこのものなのか知りたい。
緊張している様子は見せつつも落ち着いて一生懸命歌ってくれた印象。丁寧なお辞儀と共に会場全体に目を配る優しさ溢れるお姿です。舞台後方のお客様も忘れない。良い人感が全体的にありました。日本でのソロコンサートでこんなに人が集まるって思ってなかったって感じかな?思ったより空席なかったので。
高音OK
とりあえず高音の感想から書いとけば良い?チラシでも堂々と書いておりその煽り文(ではない?)に偽りのない高音を聞かせてくれました。瞬時に正しい音へ辿り着く。質に多少の差があるけれど多方重さがないよくよく通った声を出します。鋭いけれど硬さはない。何故かこ2つが両立する。テノールの高音ってとにかく出しとけばいいみたいな感じで出す人もいるじゃないですか。カマレナはそんなことはなく不快感のない高音でした。多くの人が聞きたかったであろう”Ah mes ami〜”(『連隊の娘』ドニゼッティ作曲)は慣れているのか連続高音を含め曲自体を楽しみながら歌っているように見えました。最後の高音は他と比べて硬さがあり顔を強張らせて歌っていたけれどそれ以外は口を大きく広げすぎずリラックスして歌っていた。
それ以外
高音大好きな民には満足度の高いコンサートだったでしょう。じゃあそれ以外の部分はどよ?というお話です。
正直なことを書くと(私はいつも正直)ロイヤルオペラ公演での歌唱の方が良かったです。良かったというか良く聞こえたというか。前回の印象が良かっただけになぜこれほどまでに印象が変わるんだろうと今日も元気に苦しんでおります。
全曲共通して言葉の不明瞭さと音楽の流れの弱さが気になりました。カマレナはフランス語ネイティブではない(推定)ので多くを求める気はありませんがフランス語っぽさは欲しい。全体的にほわほわしているのに時々謎の強めアクセントが入るのでフランス語の美しさも甘さも柔らかさが味わえない。母音を開けすぎている印象。そして元気すぎる。じゃあイタリア語は大丈夫かと思いきやそうでもない。フランス語よりは明瞭に聞こえるけれど全体的に母音が短い。なのでフレーズの流れが足りなくなる。
ロメオ(『ロメオとジュリエット』グノー作曲)のお歌で“ah! lève-toi soleil!”の「lè」を広げすぎて無駄に強調されていたのが特に気になった。発音的には間違ってはないのだけれど意識しすぎて力む感じが悪く目立ってしまった。”ah! lève-toi soleil! 〜Brillent aux firmament.”はフレーズごとのつながりがなく息を吸うたびにスタートラインに戻るような歌い方でこちらの気分も丁寧に戻される。もっと楽しみたかった。“parais! parais!”はお得意なようで良かったけれどやはり熱血すぎる感じが否めない。ロメオに対する解釈違い?
同じくフランス語での歌唱の"Pourquoi me reveiller?"(『ウェルテル』マスネ作曲)は最後から2番目の曲でお疲れの様子が見えた。高音は良いけれど中音域の弱さがわかりすぎる。中音域伸びないね。最初からその印象は受けましたが「そんなものか」で聞ける。後半は「高音をいただく代わりに中音域は捨てたんだな」と思いたくなるような響き。響き?響いてすらないです。母音が伸びないので曲全体の豊かさが生まれません。同じ理由で"Tombe degli avi miei〜Fra poco a me ricoverò”(『ランメルモールのルチア』ヴェルディ作曲)も厳しかった。音楽の流れが弱いヴェルディは恐ろしいですね。
アンコール(曲は上の写真参照)は大変申し訳ないのですが豪華なカラオケ大会か初めての歌唱レベルだった。明日が本番なのか?ここまで来ると中音域の声は消える。おそらく私は歌を聞きにいったのだろうけれど歌が聞こえない事態となった。発音がどうのとか音がどうのとかの話がしたいのではなく表現の仕方や何が伝わってきたのかそういう話がしたいのです。でもそういうものって技術力の上に乗っかるので当たり前に上手じゃないといけないのだなと改めて思いました。
以上です。
会場内の治安が悪くボイスレコーダーで録音している人(一応お声掛けした)やポスター写真を撮るマダムに「ババア邪魔だよ!」と言うおじさまがおりましてなんだか落ち着かない演奏会でした。オペラシティのコンサートホールは音は悪くないのですがどこ座っても見にくいよね。一番前以外はダメそう。今回はそれでも見える方の席に座れたけれど最速顔は諦めた方が良いね。