2025年4月27日(日)17:00公演
広上淳一&日本フィル
オペラの旅!Vol.1
仮面舞踏会

お世話になっております。
三島でございます。
この日は前日(26日)に続きオペラを聴きに出かけました。
17時開演で3時間くらいの上演時間だと終わりが21時台になるので良心的ですね。ゆっくり帰れる。土日だと昼公演が多いので(体感)夕方スタートだとお昼時間を楽しめる。時間が上手に使える感じがして良いです。
本公演のお目当てはもちろん中村恵理さん。日本人に少ない本物のオペラ歌手です。昨年のリサイタルぶりでございます。今年もリサイタルがあるそうです。
それでは感想いってみよー。
(以下基本的敬称略。)
趣旨の相違
本公演はプロの歌手とプロのオーケストラがお金をとってがっつりどっぷりオペラ公演をやるものだと思っていましたがなんだか空気が違う。『仮面舞踏会』は全体的に暗くじめじめしており主要な役が本音を隠したりバレちゃったりして可哀想なのが苦しいオペラだと思っていましたがとってもカラッとしておりました。決して歌手やオーケストラのやる気がないわけでもふざけておるわけでもない。ただ空気が違うのです。
公演名に「オペラの旅!」と入っていることを踏まえればこの空気感には納得です。『仮面舞踏会』を徹底的につくりあげるのではなく「こんなオペラがあるんですよー!」と紹介してくれるような公演だった。『仮面舞踏会』に深入りしすぎない『仮面舞踏会』です。団体旅行の場合観光名所には留まって数時間ですよね。数週間同じ場所に滞在し徹底検証をするのでない。ライトに楽しみましょうということです。
全体を支配するような音楽はなく1曲1曲を終わらせることに注力しているような印象を受けた。曲ごとに切れ目があるので全体の集中力が持続しないし緊張感もない。でも休憩しないと「旅」は疲れてしまうから切れ目が多いのも良心的です。指揮者自ら歌手やオーケストラソロパート担当者に拍手を送るので視覚的にも切れ目が発生した。拍手するなとは思わないけれど客席からよく見えるので気になった。優しい人なんでしょうねー。
演出に関しても上記のような視点で見れば納得です。私の視点で率直なお話をするのであればルシファー(運命を司っていたらしいよ)という黒い服を着た人が舞台上をうろちょろしているのも、冒頭の男女ペアによる仮面ダンスも必要性を感じない。仮面ダンスは物語全体を説明しているのはわかるけれど安直すぎて演奏会形式でわざわざ踊らなくてもと思いました。しかしこれは「旅」なので良いのです。訪れる予定の街を知るために多くの人は簡単なガイドブックやわかりやすいブログなどを探し情報を得るでしょう。いきなり専門書でいいですけどね。物語を知らない人にわかりやすく、クラシックやオペラの聞き方意味不明という人には視覚的な理解を与える。そう考えるとよくできた公演だと思います。この演出を良かったという人の気持ち多いに理解できます。
何が言いたいかというと私は対象から外れていた気がするけど「オペラの旅!」に参加した人が満足ならOKです!ってことです。
それ以外
オーケストラ後方に舞台を設置した良い点も悪い点もあるなあと思います。歌手のことを考えたらオーケストラの前で歌った方が声は間違いなく飛んできます(宮里は関係なさそう)。正面の席に座っている人は物理的な距離を取られてしまうのでお顔を見たかった人は残念だったと思う。でも逆に舞台後方に大きなスペースをつくることでオーケストラも歌手も一度に見れる。歌手が前に立ってしまうとオーケストラさんは背景と化してしまうのでオーケストラのファンの方は嬉しいのでないでしょうか。そもそも後方にあれだけ広い舞台を用意できるのがすごいよね。シュトラウスだったら楽器で埋まるしね。後方だけでなく前方(つまりオーケストラの前)も使うので全体を広く使うことに成功しておりました。
オーケストラにの演奏に関して可もなく不可もなしといったところで特に書きませんが、24日の『眠れる森の美女』のオーケストラピットに入っていた東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、26日のテアトロ・ジーリオ・ショウワオーケストラと比べると1番お上手でした。さすが国名を使っているだけあるね!(適当)
中村恵理はもっとすごいんです
藤沢市民オペラ観たときも同じこと言っていたような気がする。
中村といえばプッチーニですか?蝶々さんですか?違います。ヴェルディです。なのでアメーリアを歌うと知ったときはとても嬉しくこの日を楽しみにしておりました。記憶が正しければ正月のNHKのオペラの歌を順番に歌っていく番組でも歌っていました。中村が出ると一人だけ気迫が違うから恐ろしよね。
宮里の声が大きかった分損をしているような印象を受けましたが1本の芯の通った声で低音から高音まで駆け降りまた駆け上がりなんでもできるところは相変わらず素晴らしいです。3幕のお歌は特にすごかったですね。何にもストレスがかからずどこにも引っかからずに綺麗に降りてきて低音を胸声に落としすぎないところで終わらせる。簡単にやってたけれど本当にすごいわ。
あんなに響くサントリーホールホールさんを上手に使えてないのはちょっと気になるところです。いろんな方向を向きながら歌うし動くしでなかなか定めにくかったのかもしれない。2日連続公演の2日目だから疲れもあるよね。2日連続だと1日目はある程度の調整は入るだろうし2日目は多かれ少なかれ疲れが残っているだろうし本調子出しようがなくない?恐ろしい世界だ。中村は大声タイプではないのですが響く声を持っているのでサントリーホールさんの力でさらに響くと思ってましたがちょっと違った。ただ大きな声の宮里と並んでもかき消されないのは良いですよね。完全に消えてしまうと思っていましたが芯が強く力任せな声ではないのそれなりに響きでちゃんと聞こえた。
声に合う合わないって話はあまり好きじゃない。そこで判断してしまうことの面白さのなさと合う合わないという話に持っていけちゃう歌手の説得力のなさに悲しくなるので。しかし中村のアメーリアは合ってないですね。全体的に低いよね。なんていうんだっけ?テッシトゥーラさんが低いんだよね。中村の輝く高音がほぼ味わえないのが寂しいんだ。中村の低音が素晴らしいのですよ。絶対に落とさないし押さないし投げないし捨てない。丁寧に歌うから大好きなんですけどアメーリアでは多すぎる。低音さん出番多すぎです。そもそも低音の質がアメーリアのそれとは異なると思う。鋭く歌える人の方が合うのでしょう。
人物像も完成していない様子でお芝居も魅力の一つの中村なのにずいぶん小さくまとめてきたなあと思った。これからどんどん磨き上げてアメーリアになっていくのでしょう。私はヴィオレッタが好きです。新国立劇場来シーズンの『リゴレット』でジルダを歌うので高音楽しみにしておこうぜ!その前にテノール付きのリサイタルがあるんだった.。
一旦終わります。
別投稿にてテノールとメゾの感想書いて終わります。
続く。
指揮:広上淳一
演出:高島勲
アメーリア:中村恵理
リッカルド:宮里直樹
レナート:池内響
ウルリカ:福原寿美枝
オスカル:盛田麻央
シルヴァーノ:高橋宏典
サムエル:田中大揮
トム:杉尾真吾
合唱:東京音楽大学