2025年2月28日(金)19:00公演
ノーバヤオペラ
アドルフ・アダン作曲
ロンジュモーの御者

お世話になっております。
三島でございます。
この日はサンクトペテルブルクからモスクワへ移動し夜はノーバヤオペラへ出かけました。サンクトペテルブルクの落ち着いた雰囲気からモスクワ中心部のギラギラ感についていけずクラクラしながら劇場に向かいました。
改めてモスクワど真ん中は華やかだなあと思ったりサンクトペテルブルクの時間の流れ方はお気に入りだなあなどと思ったりしておりました。どちらかも好きですし他の都市にも行ってみたいです。
この日の演目はアドルフ・アダン先生のオペラです。バレエの『ジゼル』が大好きな私としましてはいつかアダン先生のオペラも観劇してみたいと思っておりましたが結構早いタイミングでその日が訪れました。それもモスクワで。ありがたい。
では感想いってみよー。
さすがノーバヤオペラさん
アダンのオペラが聞けた(見れた)というのは事実ですが結構な改変ありなようで正統派というか楽譜通りではなかったご様子です。(予習材料が少なく完璧にはほど遠い知識での感想です。誤りは容易にあります。悪しからず。)
セリフ部分は全カットで代わりに進行役の男性が2人登場します。マイクをつけて。日本にいるイタリアオペラ屋が発狂しそう。「オペラなのにマイクを使うなんて!」「そんなのミュージカルじゃない!」って。ああ怖い。安心してください。歌手はノーマイクですよ。
進行役の2人は玄人オペラファンと初心者オペラファンという設定で客席に向けてオペラの状況を説明してくれております。移動疲れでただでさえヘボリスニング能力がヘボヘボになっておりほとんど聞き取れておりませんが現地人にはウケていたので面白いことを言っていたのだと思います。互いに探り合いながら進行する様子は言葉がわからなくても面白かったです。
唯一聞き取れ取れたのは「ブラーボ」。ロシア語ですらない。ただ言い方も初心者さんと玄人さんで違く初心者さんは棒読みで玄人さんはイタリア語風に言っておりました。こういう小技色々なところに散りばめられているのだと思う。
解説している最中はオペラ本編の進行は止まりますが歌手たちは舞台上でポーズをとったり進行役の近くにいたりと舞台上が完全に制止するのではなく常に動きがあり飽きさせない。拍手に対して毎回お辞儀をする歌手たちが可愛かった。解説と本編の区切りを滑らかにすることで集中力を続かせることができる。このような演出を取ると音楽とそれ以外の時間が分かれてしまうのが懸念点だと思っていますが上手に時間を流すなと思いました。
終幕は進行役2人も物語に取り込まれて舞台上で歌手と一緒に立ち(歌わないけれど)終わるという演出で上手に混ぜ込んでおりました。なんかこういうの好きなんですよね。オペラ公演として優れているのかは別としてエンターテイメントとしての面白さがあるなと。前回のちょっぱやオネーギンを見たときにも思いましたが普段なら受け入れがたいことも全体的な完成度の高さで「良し」にさせてしまう力を持っている劇場だなあと。ノーバヤオペラの総合力の高さが好きです。
ここにもオネーギン
本編の感想ではないのですが。前回のノーバヤオペラ訪問時は休憩なしの公演だったため劇場の中を楽しむ時間が少なかったのですが今回は休憩があったのでぐるぐるしておりました。そしたら楽譜を発見。見てみたら『オネーギン』(チャイコフスキー作曲)のスコア。開いてあったページはレンスキー君のお歌のところでした。自由に触って良かったので誰かがレンスキー君のところを開けておいたのでしょう。

モスクワでもサンクトペテルブルクでも日本のコンビニレベルでオネーギンが溢れておりオネーギン(店)、オネーギン(酒)、オネーギン(舞台写真)など歩いているだけでオネーギンに遭遇します。面白いですね。次はまた『悪魔のオネーギン』(ミュージカル)を観たいです。その前にロシア語のリスニング能力鍛えければ。
フランフランモスクワ店
とにかく舞台美術が可愛くて私は幸せだった。パステルカラー、小鳥、お花、切手、お手紙。そして既視感。そうだフランフランだわ。
タイトリロールが手紙配達人なので封筒や便箋が特大サイズで舞台に置かれていたり頭上から降りてきたりします。分かりやすくていいなあ、と。とにかく可愛いし。私の視界が可愛くて幸せだった。合唱の衣装もパステルカラーで爽やかに華やか。女性の衣装のスカート部分にフランス語で何か書いてあった。動くし筆記体だしで全く読めないけれど見た目は最高に可愛い。そして残念すぎる自分の動体視力。
音楽の感想?
フランフランのような舞台上とエンターテイメント性のある構成に満足してしまいましたがオペラなので音楽の話もしておかないと。
全体的に耳馴染みがいい音楽が柔らかい音でお上品に演奏されておりました。モーツァルト作品のような規則正しい美しさと漠然としてフランスのお洒落さを感じさせる音楽。落ち着いた演奏で舞台上を支えます。
マドレーヌは芯の太い声でブレないです。よく転がりながらも絶対にブレないので驚いた。上っ面で転がしているのではなく太い芯を持ちながら転がるので安定している。音を転がすときに一音一音の差がないというのは本当に難しいことだけれど難なく当たり前にやってのけるので聞いていた楽しかったです。可愛い舞台上のセットや衣装に負けることなく本人もとても可愛くよく動く人だった。3幕の1人で2人分(マドレーヌとマダム・ド・ラトゥール)を歌うときも余裕たっぷりだった。
シャプルーは逆にずっと上っ面で歌っておりました。パリ・オペラ座の歌手になっているという話なのに「どうやってなったの?」と聞きたくなるレベル。高音は全てシャウトだった。お持ちの声が良い声なので聞けなくもないですがとにかく浅い発声だった。シャプルーだけ客席降りがあり指揮者を無視したら命のない世界で(嘘です)指揮者の目が届かないところへ歩いていく。空いている席に座り隣に座っているお客さんに絡む。近くにいる人にも絡む。2階席までは行かないものの1階席中ほどまで進み歌いまくる。自由だ。お歌は自由じゃないけれど足は自由だったね。よく動き客席降りでも客席を楽しませることができる人なので舞台人としての技量はあるけれどお歌単体だと苦しいものがある。
男性で良かったのはビジュ・アルサンドルです。深い声をお持ちでマドレーヌ同様に安定感がある。見せ場の”Oui, des choristes du theatre”が面白かったです。中盤の高音から下降してくる部分は笑いが起きているがそれに負けない深い声で声を響かせることができる。言葉が若干こもりがちだったのは気になったけれど歌唱パワーは素晴らしかった。
合唱はお芝居はほぼしないけれど声に厚みがあって良かったです。
以上です。
音楽の感想少ない。
演出が面白く舞台上が可愛かったのでそちらに気を取られてしまったのでね(?)。
おしまい。