2025年3月15日(土)18:00公演
第680回名曲シリーズ
アルバン・ベルク作曲

お世話になっております。
三島でございます。
この日のお昼はヴィットリオ・グリゴーロちゃんのファン感謝祭コンサートに行き約1時間の間をあけてベルクの世界に移転しました。別日の同公演に行く予定でしたが都合がつかずこのような結果になってしまった。移動が間に合う距離感でよかったです。
完売しておりましたが3月初めに追加販売がありましたね。当日券もあったご様子。空席もそれなりに確認できました。完売と満席って違いますね。初日はどうだったのでしょうか?初日の方が盛り上がってそう。
それでは感想いってみよー。
(以下基本的に敬称略。)
言葉が綺麗
作品自体が興味深くそしてその面白さを伝えることができる演奏であったことは間違いないのですが私が1番感動したのはそこではなくドイツ語の美しさです。母音の深さと子音の鋭さの両立。言葉が詰まっているところも崩さずに言葉を捌くことのできる歌手が揃っていた。どこを切ってもドイツ語が美しいです。歌が上手であれば発音は二の次でいいやと思ったり思わなかったりな毎日ですがやはり発音が綺麗であることにこしたことはないです。
オペラの名前であり主役の名前でもある”Wozzeck”の発音がどの歌手も綺麗で良い。”o “をたっぷり歌っている時間はないはずなのに甘くならず丁寧な発音で歌い続く”zz”と”ck”の鋭さもかっこいい。美しい子音捌きは聞いていて楽しいです。子音は多ければ多いほど楽しいです。名前を呼んでいるだけなのに美しいのか名前だからこそ美しいのか。どちらにせよ満足度が高い。
明るい声
大尉を歌ったイェルク・シュナイダーが1番好きだ!
声は明るくてこの出演者の中では異質で目立っていた。イタリア味が抑えられないテノールのように無駄に叫ぶ感じにならないかと疑ってかかりましたが母音や響きに深さがあり飛ぶ声を丁寧にぶん回しているような歌唱で良かった。本物の浅い発声であれば”u”の母音の深さは出せないし言葉もペラペラしてしまいドイツ語を扱いきれていないように聞こえてしまいますがそうはならないのがシュナイダー。ありがとうございます。上で書いた通りですが母音が深く子音は鋭く声は明るくといった感じで安定感があった。
妹の凱旋
マリー歌ったアリソン・オークスは昨年の春祭『エレクトラ』(R.シュトラウス作曲)にてクリソテミスを歌った方です。おかえりなさいませ。
パワーアップしたのか本領発揮したのかサントリーホールさんのおかげかわかりませんが更に上手に聞こえまいたクリソテミスも爆音オーケストラに負けない声と持久力で歌い上げていて良かったことは良かったのですが音楽のラインの弱さや繊細さに欠けると思った記憶があります。しかし今回の歌唱はとても丁寧につくりあげており強い声と繊細な表現を同時に味わうことができました。凄まじい集中力で歌っているのでとにかく引き込まれる。
マリーだけではなく全ての役の歌の出だしが難しそう。絶対に「はいどーぞ」というような出だしをつくってくれないベルク。でも誰も間違えてないよね?指揮をガン見して入るわけでもないし合図をもらう訳でもないし。当たり前なんだけれどでもやっぱすごい。さすがプロ。数時間前に見ていたグリゴーロちゃんが指揮ガン見お兄さんだったから余計にそう思う。完全に把握している歌手たちがすごいなと思った。
前回来ていた薄い色のドレスも素敵でしたが、今回は黒のドレスを着用されておりこちらのほうがお顔がはっきりしてより美しく見えました。
表題役
歌とのバランスがとても難しいなと思いました。焦点が定まらないようなお芝居をしなければいけないけれど、歌の焦点は定めにいかなければならない。声が広がってしまうなと思ったところは結構ありましたが、これはもう歌唱の正確さを捨てて表現力に大きく費やした結果なのかなと。誰よりもお芝居しておりぜひ全幕でお会いしたいと思った。
ヴァイグレさん
慎重に指揮をしていた印象。絶対踏み外さないという強い意志を感じた。なので私たちのダンサーであるヴァイグレのはずなのに全然踊ってくれなかった。踊れる部分があるのかという問題もあるが。
とても気持ち悪く心に良くない演奏があり(褒め言葉です)大変に美しかったです。よい仕上がりの演奏会でした。しかしヴァイグレのお顔を見るに納得いってなさそうだなあと。もっと詰めることができた、もっとよくなったと強く思ってそう。客席には微笑みかけてくれるけれど昨年のダンサーヴァイグレのやり遂げた感を見ているのでそれと比較して余計にそう思います。
もう1回やります?新国立劇場で上演が決まっているのでよろしければどうぞ。
以上です。
面白い作品です。
定期的に公演してしまうと収益が見込めなそうだけれど(珍しいからいいのだ)もっと機会があればいいのにと思った。