2025年2月6日(木)18:30公演
新国立劇場オペラパレス
アレクサンダー・ツェムリンスキー作曲
フィレンツェの悲劇
ジャンニ・スキッキ

お世話になっております。
三島でございます。
この日は再び新国立劇場へ行って参りました。
今シーズンも残り少なくなりました。公演数が少なすぎるよね。
本日もチケット発券を忘れていたので爆速発券爆速入場待ったなしでした。電子チケット導入希望。それでも忘れるかもしれいいから忘れない方法求む。
本公演はダブルビルでございます。休憩前後で作品が変わると休憩時間をちゃんと休憩できるというかいい感じにリラックスできるので好きです。共に1時間弱の上演時間で夜公演でも21時頃に終了という大変良心的な公演となっております。さっさと帰りましょう。
前置きは特にないの感想いってみよー。
(以下敬称略)
ドイツ語が聞こえるドイツ語のオペラ
先日の公演『さまよえるオランダ人』(ワーグナー作曲)では数々の由々しき問題がありました。そのなかの一つにドイツ語で歌っているはずなのにほとんどドイツ語が聞こえないということがありました。まじ事件だった。しかし本公演のダブルビルの1作品目『フィレンツェの悲劇』(ツェムリンスキー作曲)ではドイツ語がそれなりに聞こえました。推定ネイティブが3人中2人です。ドイツ語の美しさを楽しめる仕上がりは嬉しい。ある程度発音には妥協しなければなりませんが綺麗であるに越したことはないので本当に感謝です。
歌手3名は感動するような上手さはないもののオペラ歌手としての責務は果たしており当たり前が当たり前に披露されることへのありがたみと毎公演でこの当たり前が存在しない新国立劇場公演の安定感のなさを今一度思い知ることになりました。『さまよえるオランダ人』反省会はまだ続く。
シモーネを歌ったトーマス・ヨハネス・マイヤーは新国常連さんのよう(プロフィールより)ですが私はお初にお目にかかりますでした。レパートリーのわりには声量は少なめでオーケストラが元気になっちゃうとほとんど聞こえない。しかしオーケストラが大人しかったり無音になると発音の美しさと澱みのない声が響き渡るのでその辺りは聞き応えありでよかった。
母音の伸びと子音の鋭さが良いです。子音と母音がごちゃごちゃごちゃにならない。音に対して母音の長さと子音の位置が整理整頓されている歌い方だった。特に”Wer spricht vom Tod?Vom Tod soll keiner sprechen!”部分”Tod”の母音の深さが美しかった。ここから物語の空気が詰まっていくと思っているので一つの転換点みたいになり私は気に入っております。
帰宅したときにさっきまでビアンカとグイード・バルディが寝ていたテーブル(兼ベッド)をゆっくり触る様子が怖かった。
ビアンカを歌ったナンシー・ヴァイスバッハはダークな声が大変魅力的。マイヤーと同じように的確な発音も美しい。言葉がべちゃっとならず常に縦に響いているのが大変に美しかった。無理矢理つくっている暗い声ではなさそうなので聞いていてここちよいです。感情を出さないヴァイスバッハのビアンカはミステリアスでした。お持ちの声の良し悪しの話をするのはあまり好きでは無いのですが、ヴァイスバッハのような声の持ち主にツェムリンスキーはもちろんベルクやR.シュトラウスなどの作品を歌って欲しいです。完全に私の好みです。
グイード・バルディのデヴィッド・ポメロイは不安の残る歌唱だったけれど頑張っていたとは思う。『トゥーランドット』(プッチーニ作曲)のカラフをレパートリーに持っているそうなので強靭で突き抜けるような声を期待していたので。
芝居面はよく言えば上品、裏を返せばパンチがなくつまらない。舞台上に緊張感をつくりだせないものか。心理戦ってほどでもないけれど誰もが探り合っているような空気感が欲しいよね。最終的に一人いなくなるわけだし。物語の重さを追求してほしい。音楽づくりも無難な仕上がりになっていたので作品の個性や面白さが伝わりにくい。イタリアオペラ専門の演出家のイメージがあるのでこのような作品の面白さを伝える演出は難しいのでしょうか。合う合わないってやつです。ダブルビルの2作品目の演出はいいんですけれど。お得意でしょう、プッチーニ。
軽快な犯罪オペラ
休憩を挟んで公演されるのはみんな大好きプッチーニ作の遺言状を書き換えちゃおう!という趣旨の大変に明るく軽快なオペラです。
プッチーニ作品にはハ長調がどうとかモティーフがどうとかじゃなくて、誰にでもわかりやすい物語と物語を進行する音楽の速度の良さがあると思います。もちろん掘り下げれば難しい音楽の話もできるのでしょうが「わかりやすい!」って大事ですよね。全員が難しい話がしたいわけじゃないし興行公演ならわかりやすさって大事でしょう。そこらへんは新国さんも国立の劇場といえど金稼がないといけないし。特別好きな作曲家ではないですがプッチーニ最強説には納得です。そんな説あるのかは知らない。
ジャンニ・スキッキの感想はラウレッタを歌った砂田愛梨の感想になってしまいます。上手。本当に上手。前評判がいい人って期待値上がってるからそれを超えてきてくれない(勝手にハードル上げてごめん)人が多いのですが砂田は楽々と飛び越えてくれました。ありがとうございます。
たくさんの歌手がいる中で声が全く埋もれない。埋もれないを飛び越して全員の声をかき消すような響きの良さ。声の大きさで周りの声をかき消していのでなく響きが本物だから周りの声がついていけない。天井の高い声とはこういうことですね。
歌っているときに上唇が全く動かない。広角を上げた状態で声を口の中の良いポジションに当て続ける。命中率100%です。顔面に当てすぎるのもなく奥まってしまうのでもなく徹底して上顎に当てている。素晴らしいコントロール力。だがしかしキープする代償として表情が固まってしまうのは少し悲しい。でも上手だからOKです!
とにかく自然に歌うんですよね。出だしのオーケストラがヌルって入ってきたのに影響を全く受けることなく素晴らしく軽い歌い出した。ずっと声が軽い。重力がない。優しい響きだけれど芯は太くか弱くはない。柔らかいと強いは両立するし。強いと軽いも両立する。
テンポを揺らすことはせず面白くないほどに普通に歌う。面白くないはずなのに砂田の声で聞くと満足感がある。響きが完璧なのでどうでも良い。途中で溜めたり速めたりはないけれど終始走り気味だったのでもっとたっぷり聞かせてくれたらなお嬉しい。
イタリア在住(プロフィールより)とのことなのでイタリア語の発音も期待していたのですが発音は結構緩めでした。ラウレッタはちょっとしか歌わない(全員そうだけど)のでもっと出番が多い作品で聞いたときにどういう感想を持つかわかりませんがこの日はとにかく上手だった。
その他の歌手もわちゃわちゃ頑張っていた。さまよえるオランダ人も頑張っていた。ジャンニ・スキッキを歌ったピエトロ・スパニョーリは歌唱力の高さは伝わりにくいもののお芝居がよくできる人なことはわかった。朗々と歌う役で聞いてみたいものです。(2017年のフィガロの結婚』のアルマヴィーヴァ伯爵(モーツァルト作曲)で聞いているはずですが記憶にないです。ごめん。)
以上です。
砂田はイタリア在住とのことで日本でどれだけ活動してくれるのかわかりませんが次の機会が早く訪れることを祈る。
ちなみに演奏会あるそうです。
都合つかず!
新国立劇場オペラ公演の次回演目は『カルメン』(ビゼー作曲)です。
たぶん行かない。蝶々さんも微妙。セビリアもいいかなー。
8月のも怪しい。
あれ?シーズン終わる?
おしまい。