2025年1月19日(日)14:00公演
旬の名歌手シリーズⅪ
バンジャマン・ベルナイム
テノール・コンサート

お世話になっております。
三島でございます。
火曜日(14日)に引き続きバンジャマン・ベルナイムさんのコンサートへ行って参りました。
複数回行きたいと思ったら素直にチケット買った方が良いよね。結果一回でよかったなと思うこともあるけれど。
NBS様へ、いつもありがとうございます。
ソニア・ヨンチェヴァさんを召喚してください。
それでは感想いってみよー。
(以下敬称略)
帰って寝てくれ
開演前にアナウンスにて「ベルナイム調子悪いけれど頑張るってよ!」とご案内がございました。14日より良いものが聞けると思っていたので残念ではありましたが「頑張ります」とのことなので大人しく聞きましょう。
14日と比べれば危なっかしいところが多かったです。何度か掠れた声を出していました。次の音に行くときに変なところに空気が入るような感じです。でもひっくり返ったり声が出なくなったりというようなわかりやすいミスはありませんでした。流石プロですね。
アンコール前に少ししゃべったときの声がガサガサすぎてもう帰って寝てくれと思いました。調子悪いっていうか完全に喉痛めてるじゃん。そんな声でよく歌ったな。てかよく歌えるな。「アンコール1曲だけ歌うよ」って仰ってますけれどいらないので帰ってください。そんな無理しないでください。大事にしてください。センシティブなので。本当に。今後に影響でたら困るので本当に大事にしてください。予定通り歌わずにショートカットバージョンでもよかった。レンスキーのお歌とフランス語のお歌だけでよかった。払い戻しもいらない。また来てくれれば良い。まじで大事にしてくれ。
バイオリンバラバラすぎて
オーケストラは多少の改善を見せたと思います。もしかしたらサントリーホール先生の力かもしれません。もしかしなくても先生のおかげかも。『ドン・パスクワーレ』(ドニゼッティ作曲)の序曲の出だしは速すぎてびっくりした。速いことはあっているのですがただ急いでいるだけで転びそうな音でした。後ろから押された衝撃みたいな。この曲は踊り出したくなるような軽快さがほしいのです。
『エフゲニー・オネーギン』(チャイコフスキー作曲)の序曲は14日よりかは遅くなった気がします。でも速めではある。速いことが悪いわけではないです。ただ「とりあえず進みたい」ではなくオペラ作品の序曲ということを大事にして演奏してほしいのです。同じ音型を違う楽器で順番に演奏していくところは次々に速度が上がっていくのが面白かった。焦っているように聞こえる。この曲ではバイオリンのバラバラ具合が一番気になりました。フレーズの出だしが揃わない。一番後ろに座っている人の耳に届く頃には音がまとまっているのかな。
全体を通して指揮者が「静かに」「抑えて」のような指示を出していることが多かった。わかる。どんな曲でも元気に演奏しちゃうからな。
やはりオーケストラのみの演奏曲が多いですね。無理しているよね。曲が多すぎて一つ一つの完成度が下がるくらいなら曲数を減らせば良いのに。この公演はベルナイムが王道オペラソングを歌ったからまだよかったのですが(多少は慣れているだろうから)珍しい曲ばかりだったら恐ろしいことになっていたと思う。なんとしても約2時間公演にしたいのか。1時間30分ではダメなのか。
ロミオ
ロミオ歌っているときの熱量高めだな。あなたがロミオでよいです。「ウェルテル」(マスネ作曲)と「ロメオとジュリエット」(グノー作曲)は母国語のおかげもあって自由にそしてよく動きながら歌っておりました。押し気味だった声も多少改善するし何より響きが集まっている。フランス語歌っていると一段響きが上がるんだよね。うまく言葉が繋がったときの流れは最高に美しい。"ô souffle du printemps?"(『ウェルテル』)の次の音に行くまで適切に母音が伸びているところがよかった。
逆に”Una furtiva lagrima”(『愛の妙薬』よりドニゼッティ作曲)の最後の方の細かい音型は低いポジションのまま音を上げていくので無理矢理上げているような仕上がりになってしまった。
前半の慎重さは14日と変わらないかそれ以上です。一生懸命というか余裕がないというか。真面目なのはよくわかる。
“Куда, куда”(『エフゲニー・オネーギン』よりチャイコフスキー作曲)の”Скажи, придешь ли〜”の声量コントロールが良いよね。フレーズのつくりがかなり綺麗になる。ただ”Что день 〜”が飛ばし気味だったのが気になった。広げすぎではないけれどもっと絞って歌えてた気がする。ギリギリコントロール内といったところか。
14日は『エフゲニー・オネーギン』でこの日は『愛の妙薬』でオーケストラとのテンポ感の相違を強く感じた。最初に歌詞の入れ方おかしかった?リズム間違えた?ヒヤッとしました。高速演奏にこだわるオーケストラ(というか指揮者)とゆっくり歌いたいベルナイム。この日は指揮者が完全に見守りオカン状態だったので全力で合わせていたけれど様子伺いすぎじゃね?様子伺いすぎてオーケストラ演奏止まりそうだったよね。加速も困るけれど失速も困る。打ち合わせはしないものなのか?ベルナイムが本番自由人なのか?
口の開き方が変わる
14日は唇や口周りに力が入らずに歌っていましたがこの日は口周りと喉に力が入っているのがよくわかった。平べったくなることはなく口の中の空間を感じる声ではありましたが口周りが硬いので声も響きも硬くなる。下顎の力みがわかりやすく力が抜けていた14日とは大違いだった。喉への負担を最小限にするために口周りで頑張ったのかなと。
全部の音が硬くなることによって柔らかい部分と硬い部分の差がないのは不幸中の幸いってやつ。イタリア語での歌唱はとにかく声量に頼って頑張っていた印象。逆に喉に負担をかけていないか心配。こういうとここそソット・ヴォーチェというやつを使うべき?
tuとかpiùとか?
ベルナイムの歌唱は母音の深さがそこまでない。これだけ書くとマイナスポイントですが最低限やっているというくらいで浅いわけでもない。イタリアオペラ屋さんに怒られるかもしれないけれど執着しすぎて悪目立ちするよりサラッと通り過ぎるくらいでもいいのかもしれないなと思った。
世界の著名な歌手たち全員が完璧な発音や完璧な母音の深さを持っているわけでもないし。柔らかい声をお持ちのベルナイムであればそのあたりは引き算をしていく必要があるのでしょうね。深さを気にしちゃうと柔らかさが減りそう。逆にいうとそこそこの歌手たちは母音やらアクセントやらを律儀に守っていく必要があるということです。世知辛いね。
以上です。
次はぜひオールフランス作品プログラムで来てください。ピアノ伴奏で歌曲も素敵だろうな。芝居しているところよりピアノ伴奏の中小規模なコンサートの方がよいです。NBSさまお願い致します。
とにかくまた来てくれ。
お行儀の良い日本の聴衆の一人として待っております。
幕間には先日に続き茅野先生にお会いできました!
嬉しい限り!またお話ししたいです!
先生の初日分の記事です。読み応えあり。細かい気づきが素晴らしいです。
次の旬の歌手シリーズは眩しい眩しいグリゴーロさんですね。楽しみだ。
おしまい。