2024年11月24日(日)14:00公演
藤原歌劇団創立 90周年記念公演
NISSAY OPERA 2024
ガエダーノ・ドニゼッティ作曲
ピーア・デ・トロメイ

お世話になっております。
三島でございます。
この日は藤原歌劇団の公演を見に日比谷へ行きました。
日生劇場は好きな劇場の一つです。規模が大きすぎず小さすぎないので。有楽町方面にあるものいいよね。新国立劇場も引っ越してくれいいのに。席の前後間隔狭すぎて笑うけれど。東京宝塚劇場並みに狭い。
前置きは特にないので感想いってみよー。
(以下敬称略)
舞台の謎
ニュープロダクションとのことでおめでとうございます。この演出の謎は3つございます。
1つ目は1幕で舞台を半分に区切っているのに片方をほぼ使わないという謎。下手側はピーアの部屋になったりロドリーゴが捕まっている(脱獄する)牢屋になったりと活用されていましたが、上手側は通路扱いです。戦地を表現しているのでしょうか。だとするとほぼ用無しですよね。幕中に大掛かりな舞台転換ができないからはじめから二面にしているのだと思いますが活用しないならいらないくない?2幕でもう半分も使うのかと思っていたら舞台転換が行われていたので益々謎になった。(演出ノートを読むと「文明化」と「自然」を対比させているとのこと。意味はわかるけれど使ってくれよ。)
2つ目はほとんど舞台の前方でのお芝居と歌唱になっており日生劇場の広いとはいえない舞台をさらに狭く使っていたところです。セミステージ形式で十分間に合うような使い方。マイクなしの公演ですので声のことも考えなければなりません。でも後方どころか中央も使わないのが謎。全体を使えないものか。お金がないからか舞台装置もシンプルなので余計に余白が目立つ。
3つ目は沼地レジャーシートです。これは謎というか面白かったところになりますがピーアが服毒する場面に入る前に合唱団が何かを引っ張りながら舞台を歩いております。レジャーシートでした。薄暗い照明の中レジャーシートを引っ張って沼地ピクニックの準備です。場面転換できないにせよレジャーシートはどうよ?
演出は昨年のローマ歌劇団の来日公演『トスカ』(プッチーニ作曲)にて再演演出を務めていたマルコ・ガンディーニです。だからといってどうもこうもないです。登場人物の心境を丁寧に描きたそうな感じは伝わりますがいかんせんお歌がお歌だったのでそこまで入っていけず。物語としてはよくあるイタリアオペラですが各々の心境を丁寧に描き出せば面白いとは思うので方向性には納得できた。
お歌
キャストも作品も2月の『ファウスト』とは違うのに感想が同じです。どういうことでしょうか?劇団の趣味でしょうか。『ファウスト』はイタリアオペラではないしベルカントでもないので妥協できなくはない(したくはない)ですが今回はドニゼッティの作品とのことで藤原歌劇団の得意な部分だと思っていたので拍子抜けと言いますか地味にショックと言いますが。切ないです。
男性合唱は俺の声飛ばし大会を相変わらず開催しておりました。暴力的な歌い方でハーモニーなんてものはない。合唱で個々の主張をするな。女性合唱は胸上の浅い発声で歌う。深みや広がりはなく頼りない細い声が束になっているだけだった。「響きって何だっけ?」と考える機会をいただけました。ありがとうございます。
ソリストの男性陣も俺の声飛ばし大会開催中でした。ギーノを歌った藤田卓也は出だしからよく飛ばしてくる。俺の声飛ばし大会であれば優勝ですが残念ながらオペラなのです。最後まで声に疲労を感じさせなかったのはすごいですね。喉がお強いのでしょう。声は強いけれど音楽の流れはのっぺりしてメリハリのない歌い方だった。一つ一つの音の扱い方が同じでリズムやアクセントなどがわからない仕上がりだった。また、音が上がるときに若干こぶしが入っており西洋音楽っぽく日本人の心を掴みにきていた。
ピーアの伊藤晴は先日の新国立劇場公演『夢遊病の娘』(ベッリーニ作曲)で聞いております。印象はそこまで変わらないけれど今回は主役ということで歌割も出番も多いのでいろいろわかりますね。
まずみんな大好きな高音域は良く出ます。しかし伊藤も女性合唱のように浅い発声で歌うので声が出ているだけで声の豊かさや美しい響きはない。喉からそのまま出てきてどこにも共鳴することなく消えていく幸先短い高音だった。声の硬さも終始気になった。歌声がまろやかになれば高音の質が上がりそう。よく歌っているのはわかるけれどそれだけで終わってしまいせっかくプロの歌唱を聞いているのに「何もないな」となってしまう。”i”の母音が更に硬くなるのが良くわかった。細かい音型はよく転がっておりますが声が前面に当たりすぎてしまい広がりがないのが惜しいところです。
ネッロは井出壮志朗は良かった。口の中の空間を感じさせる声を聞けたのでとりあえず安心。一人いればよいという低い目標。低音を無理矢理押し出すのではなく口の中を豊かに使った尖のない声だった。声量に任せずに丁寧に歌っているように聞こえ好感度UP。ただ低音以外は俺の声飛ばし大会参加してしまう傾向があったのでなるべく不参加でお願いしたい。イタリア語の発音にも余裕があり母音の長さや深さが唯一わかった人だった。
ロドリーゴの星由佳子も発声が浅い。ずっと浅いのに上昇音型になると更に浅くなっていく。音楽の流れがなくまた歌詞もほとんど聞き取れない。ピーアとの重唱は場面にも歌にもメリハリがなく何をしているのかわからなかった。同じ母音で細かい音型を歌うときに伊藤はほとんど下顎が動かないのに対して星は下顎が良く動いていた。顎や口で操作せずに歌えるかって大事ですよね。
これは何が原因だかわかりませんが星が歌っているとノイズが入る。マイクと布が擦れるような音を3〜5回くらい聞き取りました。他の人のときはなかったです。気づいてないだけかもしれませんが。ノイズで思い出したのですが男性陣の衣装で誰かが腰につけてる飾りがぶつかって音を立てているのがとても気になった。時間としては合計しても数秒ですが音楽ありきの公演に雑音って駄目じゃね?特に金具が当たる音だとオーケストラの音と間違いかねないと思うので危ない。舞台転換の音や扇風機の音とは訳違うと思うので外すか当たらないか工夫をお願いいたします。
以上です。
これからも懲りずに藤原歌劇団を見ていきたいと思います。
めんどくさい客でごめんね!
おしまい。