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【リサイタル】中村恵理ソプラノ・リサイタル

2024年11月5日(火)19:00公演

浜離宮朝日ホール

中村恵理ソプラノ・リサイタル

お世話になっております。

三島でございます。

 

この日は数少ない本物のオペラ歌手のリサイタルに行って参りました。

www.asahi-hall.jp

リサイタルだと今年1月の奈良公演ぶり、オペラを含めると今年5月の新国立劇場『椿姫』(ヴェルディ作曲)ぶりの中村恵理さんです。『レクイエム』(ヴェルディ作曲)にてソリストも務めていましたね(行ってない)。今年は日本でもたくさん歌っているようです。嬉しい。

 

それでは感想いってみよー。

1月の奈良公演との比較が多く入る感想文になる予定です。

(以下敬称略)

 

正直な話

今回も奈良公演同様に幸せな気持ちに満ち足りた感想を持つことになると思っていましたしそれを期待していました。が、そうも上手くはいかない。今回は全体的にコントロールが行き届いていない印象を受けました。上手なんだよ。上手ですよ。失敗はしないし曲の完成度も高い。歌の内容やキャラクターの心情を客席に伝える技術もある。新国で『蝶々夫人』(プッチーニ作曲)ではないタイトルロールに起用された実力を証明するリサイタルであったことは事実です。

 

でも1月の奈良公演を思い出すと荒削りというか発展途上というかお勉強中なところが伝わってしまい素直に楽しめなかったし大きな感動もなかった。ほぼ全ての曲を手の内で転がしコントロールの行き届いた歌唱を思い出すと今回は「中村恵理が頑張っている」で終わってしまい中村の本当の価値や実力を確認するには至らなかったです。繊細な歌声にこちらが苦しくなるくらい意味を乗せる歌唱ができる人なのに表面だけで頑張っている感が強かった。

 

劇的歌曲パート

劇的過ぎやしないかい?やりすぎ感ではないのかい?歌曲だってオペラと同様に歌詞の内容や物語はありますが形振り構わず歌っているように聞こえたし見えた。1曲1曲の中身を濃く仕上げてくるのは良いことですが歌唱技術が置いてきぼりでした。曲の中に入り過ぎて技術が追いついてこないことがあるタイプの歌手なんだろうけれど(なんていうのこういうの?憑依型?)もう少しまとめておくれ。凶暴だった。高音は口を大きく開けて吠えるように歌うし低音は喋り声になってしまう。

 

中村は口の中のスペースを広く保つことができる人なので多少吠えたところでいわゆるシャウト系歌手のようにはならないのですがお持ちの軽く芯のある高音をあまり聞けなかったのは切ない。

 

フランス語になると少し声が暗くなることに気づいた。理由はわからないけれどイタリア語の開放感とは違う面白さがあった。

なんとかなったオペラパート

休憩を挟んでの第2部はオペラアリアとテノール客演(工藤和真)との重唱を披露。オペラパートになると劇的でも歌曲よりはなんとかなっていた。歌曲をオペラアリアっぽく歌ってしまうのはオペラ歌手あるあるですが歌曲は歌曲なのでそこあたりは棲み分けをしていただきたい。オペラアリアだからどうとか歌曲だからどうとかっていうのも違うのですが全力熱唱になるとこれまた違う。アンコールを含めドラマチックなものを選曲していたのは幸いです。ある程度力を抜いて聞くことができた。

 

マノンもトスカも全幕で見たいたい聞いてみたいと思うようなことはなく「こういうのがやりたいのか」と思う程度でした。言葉を選べなくて申し訳ないけれどソニア・ヨンチェヴァの真似っこにしか見えなかった。全体的に暗めな選曲になってしまったので中村自身も背負いこむものが多過ぎてこのような仕上がりになったのかな。お芝居の内容としての苦しさではなく技術的な苦しさがあった。

 

プログラム最後の"Chi il bel sogno di Doretta"(『つばめ』プッチーニ作曲)は奈良公演の方がまだ自由に歌っていた。硬さの残る歌唱でした。高音も悪くはなけれどギリギリ感が否めなかった。

 

媚びない伴奏者さま

木下志寿子は奈良公演でも伴奏をしていました。シュトラウス(リヒャルトの方)を弾いてくれるピアニストには感謝をしなければならない。(今回は弾いていないけれど。)

 

歌曲パートでは着実に弾いているな真面目だなと思うくらいでしたが『Nuit d'étoiles』(ドビュッシー作曲)で木下の手腕を知った。音がキラキラしている。フランス歌曲のひたすらに美しい音楽を味わえた。優劣を決める気はないけれど単体の美しさを求めたらフランス歌曲が筆頭なんだろうなと思う今日この頃。

 

一番印象に残ったのはテノール客演でお届けされた『マノン』(マスネ作曲)の伴奏です。2人がばちばちに盛り上がっているなか涼しい顔して自分の演奏をしておりました。「強いな」と。浮ついている舞台上を木下が引力を働かせているように繋ぎ止めているのが面白かった。木下がいなければ私はテンションについていけなかったと思う。情感豊かに演奏するのではないけれどかっちりとした演奏が音楽全体を引き締めるのに役立っていた。

 

さすがだなと思うところもある

第一声の軽く輝く抜ける声はこれぞ中村恵理の声といったところで大変に美しかったです。これが最初で最後になったしまったのだが。“u”の母音が毎回毎回深いところはさすがだと思います。どんなときも深い母音で確実に処理していきます。また『Rosa』(トスティ作曲)のサビ(とは言わないらしい)”fugge”や”fuggon”がまあまあ高い音ながら”f”を正確に発音しているところも好きです。声を出すこと考えたら”f”消滅しがち。全体的に音楽の流れは薄かったもののブツ切れや息を吸うための間などは存在しませんでした。そこらへんのレベルの高さは素晴らしいです。

 

上手ですよ。さすが中村恵理だしこれぞ中村恵理なんですけれど。何が言いたいかというと「そんなもんじゃないでしょ!あなた!」というところなんですよ。もっともっと良い声と恐ろしいほどの表現力を持っている人なんですよ。多くの人が満足した公演であると思いますが(願望)満足じゃなくてショックを受けるべきなんですよ。せっかくの東京公演。また挑戦してほしいものです。

 

次の公演で手のひら返しをさせてください。

お願いいたします。

 

おしまい

ソプラノ:中村恵理

ピアノ:木下志寿子

テノール(客演):工藤和真




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