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3回目【オペラ】椿姫(2024年新国立劇場)

2024年5月29日(水)14:00公演

新国立劇場オペラパレス

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲

椿姫

 

お世話になっております。

三島でございます。

 

新国立劇場今シーズンの椿姫の千秋楽の感想でございます。

19日、22日と合わせて3回観劇したので過去を思い出しながらの感想を書きます。

 

それではいってみよー。

(以下敬称ほとんど略)

 

最高音の話をしておけばいいのでしょう?

1幕のヴィオレッタのお歌(“Sempre libera”)の最高音は出しませんでした。本人に聞いたわけではないので真相は分かりませんが最初から出さないと決めていたのではなく最高音の数小節前に判断した気がします。出すつもりではいたと思う。

 

リサイタルやコンサートなどオペラ本編以外で歌う場合は最高音を出さないとこの曲を歌う意味がありません。しかしオペラ本編なら出さなくていいと思っているので出さないこと自体に対して不満はないです。

 

しかし中村は19日、22日と2回は質が良いとは言えないけれど最高音を出していました。25日は知りませんが初日も出していたそうです。今まで出してきたのに千秋楽だけ出さないのはちょっといただけない。調子が良くないですと言っているようなもの。

 

無理矢理出すことは正解ではない。ただ千秋楽は無理してでも出さなければいけなかったのではないか。ブロックで公演している劇場(=毎日演目が違うのではなく演目の期間を決めている)なのでブロック内で今日は歌う今日は歌わないという選択が腑に落ちない。大物歌手ならそれでもいいのですが。プライドというか意地というか根性というか、そういうものが必要だった。ヴィオレッタとしてではなく歌手としてソプラノとしてやらなければならなかった。

 

出さないことを選んだ本人が一番悔しいだろうし後味も悪かっただろう。最高音を出せることを知っているからこちらも苦しい終わり方となってしまいました。

 

千秋楽ですけど?

中村は最高音を出さなかっただけではなく全体的に技術レベルが安定しなかった。

 

低音を美しく出すことができる貴重なソプラノなのにこの日は押し気味でした。特に3幕はヴィオレッタの心境が伝わってこないくらい声が乗っていない。乗らないから力技で押し出す。力技で解決する。そういう人ばかりだけれど中村はそういう人ではないからこそ乗らない声が気になった。

 

22日同様、手紙を読むとき(といっても丸暗記)の発声のポジションが良くない。無駄に低くかすれているような声になっていた。歌うときと同じポジションで読むことができるのですが22日と千秋楽はポジションが落ちてしまった。歌との声質の差が顕著。曲の中で声質が変わるのではないので気にしなければいいのですが声の統一性を持たせることができる人なので悔しい。

 

1幕の“Sempre libera”の”Nasca il giorno, o il giorno muoia”の音の移動は響きを保ったまま歌えていたのは良かったです。その前の“Ah,se ciò è ver, fuggitemi〜”の高音ジャンプが軽く綺麗に響いて良かった。これぞ中村恵理と言いたくなるような丁寧で軽い上げ方。コントロールが行き届いた軽い高音は素敵。

 

“Follie!follie delirio vano è questo!〜”のスムーズな言葉運びが良い。歌に入る前にエンジンかけてきた。歌うと喋るが融合していて聞いていて楽しかった。しかし曲が進むにつれて細かい音型が流れだす。最初はそんなものかと思っていたのですが、どんどん音の粒がはっきりしなくなってしまった。そして最高音でず。悔しい。

 

3幕の”Addio del passato”も乗り切らないですね。フレーズ最後の高音へのジャンプが上手くいかない。寄り道してしまう。ただやはり中村もプロなので終幕はきちんと納めました。ヴィオレッタの最期を丁寧に描き切った。この演出の終幕かっこいいんだよね。かっこいいけれど同時に意味のわからない終幕だなと思う人の声にも大いに賛同します。

 

男性陣

アルフレードを歌ったシュッカは千秋楽が一番ヘロヘロしていた。2幕1場のアルフレードのお歌の”Io vivo〜”と何度か繰り返すところは入りがいちいち安定せずヒヤヒヤしました。1幕の“Sempre libera”の舞台袖からの歌唱は最初のフレーズの歌詞がはっきりせず裏でご飯食べながら歌っているのかと疑いたくなった。

 

シュッカの素晴らしいところは高音ジャンプのときに何も変えずに高音に辿り着けるところです。口の形が横になることがなくそのまま上がってきます。音だけが上がります。歌詞をはっきり発音しないのでこのように歌えるという見方もありますがほとんど力まずに高音を出す技術力は素敵です。

 

ジェルモンを歌ったカスティーリョは千秋楽が一番力技歌唱でした。ピアニッシモは不在。ただ圧は過去一強い。ピアノ叩くし書類のファイルをパーン!と音を立てて閉めるし。怖いんだわ。カスティーリョのつくりだすヴィオレッタのことを死ぬほど見下しているジェルモンはめちゃくちゃ好きです。露骨すぎて怖い。そしてロールデビューでこれだけ歌えるのは素晴らしいです。またきてね。

 

オーケストラ

千秋楽は私が物足りなさを感じていた2幕1場のヴィオレッタとアルフレードの暫定一生のお別れ場面の演奏をとってもエモーショナルに仕上げてくれました。ありがとうございます。しかし中村がついていかなかったので結局のっぺりしていた。

 

扇子の扱い

新国立劇場へ、フローラを演じた杉山由紀の仰ぎ方が美しかったから合唱団に真似させてください。

 

手首の動かし方と扇子の先に伝達させる速度の違いかな?手首の動かし方は綺麗な人もいましやが先端をバサバサさせてしまう合唱団。新国合唱団は歌以外の稽古を充実させた方がいいのでは?すでに充実してたらどうしよう。

 

杉山が2幕2場のアルフレード登場前に合唱団と一緒に歌っているときの表情がすごく好きです。力強い表情。ことオペラではフローラの人生に焦点は当たらないけれどフローラもフローラで社会的な自分の立ち位置について色々抱えながらも楽しく生きようとしているんだろうなと勝手に感じた。

 

中村ヴィオレッタにお別れを

中村へのインタビューの通り新国立劇場で日本人が正規キャスト(=代役ではない)でヴィオレッタを歌うのは初めてだそうです。

 

インタビューは下記↓

(無駄に媚びない無駄に感謝しない無駄に自分を下げないインタビューすごい。)

www.nntt.jac.go.jp

すごいことをやり遂げました。そしてキャスティングしたであろう和士くんもよくやりました。ソプラノのスーパー花形なヴィオレッタを自分のものにして歌い上げたことは本当に素晴らしいです。

 

カーテンコールを見てると中村は招かれた側ではなく招いた側のように見えました。日本人だし新国の研修所でお勉強していたので劇場側な気もしますが招聘歌手として歌わせてあげてほしい。抱えるものが多かったんだろうなと思いました。2022年の方がゲスト感あった。今年は難しい立ち位置で仕事をしていたのではないでしょうか?

 

今回わかった中村の弱点は動き出すと日本人になってしまうということです。3幕の具合悪い死にそうお芝居は良いのですが、1幕や2幕2場で突然具合が悪くなるところはとってつけた感があるし体調が悪いというより突然刺されたみたいな動きになってしまう。その動きは全体を邪魔していないか?と思っていました。2022年はソーシャルディスタンス公演なので動きの制限がありました。ソーシャルディスタンスがあった方がいいです。動きがあることは過労ですね。

 

パフォーマンスに関しては色々思うところはあったけれど中村の演じるヴィオレッタは好きです。1人で戦い1人で死んでいく。異国のお話なのにどこか侍魂を感じるヴィオレッタにまた会いたい。

 

以上です。

 

ヴェルディのオペラを連続観劇も結構体力を使いますね。

さて、新国立劇場の今シーズンのオペラ演目も少なくなって参りました。

間を空けずにコジ・ファン・トゥッテ(モーツァルト作曲)が始まりました。こちらもメインキャストに日本人の名前があります。素敵!

 

今後も中村恵理が素敵な歌手人生を自分の手で切り開いていけますように。

 

おしまい。

 

指揮:フランチェスコ・ランツィロッタ

演出・衣裳:ヴァンサン・ブサール

ヴィオレッタ:中村恵理

アルフレード:リッカルド・デッラ・シュッカ

ジェルモン:グスターボ・カスティーリョ

フローラ:杉山由紀

ガストン子爵:金山京介

ドゥフォール男爵:成田博之

ドビニー侯爵:近藤 圭

医師グランヴィル:久保田真澄

アンニーナ:谷口睦美

ジュゼッペ:高嶋康晴

使者:井出壮志朗

フローラの召使:上野裕之

合唱:新国立劇場合唱団

合唱指揮:三澤洋史

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団




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