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読書の年代別効能

 日本の上空に強い寒気が居座ったのがもう一週間くらい前でしょうか。私の住む南関東相模湾に面した場所でも確かに寒いです。天気はおおむね晴れています。上の写真は今日2/8の午後4時ころの富士山です。フルサイズ換算600mmの超望遠レンズで撮っています。雪が積もっている範囲は、たとえばひとつき前と比べると、ずいぶん広がりました。

 岸本佐和子著「死ぬまでに行きたい海」という単行本(エッセイ)を読んでいます。半年ほど前にとある本屋で出会い、そこでは買わなかったのですが、後日にアマゾンで程度のよい古本を購入していました。だけど結局いつもの通り積読タワーのなかに埋もれていました。ところが最近になり文庫化されたらしく本屋の平積み新刊コーナーに置かれているのを発見。なんだ、文庫化されるなら文庫で買いたかったな、とも思います。電車のなかやカフェで読むためにバッグに入れて持ち歩くにはやはり軽いことは大事ですね。まぁ、そんなことはさておき、文庫化されたことがなんだか刺激になり、さっさと読みたくなったため、積読タワーの読書予定順序を入れ替えて、いま読んでいます。順番を待たずに先に読むわけです。この本、するするとページが進みます。読みやすいです。ひとつのエッセイに一枚づつ写真が添えられています。写真を大きく見ることができるので単行本は、これはこれでいいと思います。

 順番を飛び越えることを書いていたら、医院の順番待ちのことを思い出しました。私の父は内科の循環器科の医師でした。たぶん終戦直後、昭和20年か21年頃に医学生になったんだと思います。生前、父に聞いた話によると、いまは医学部は難関学部だけれど、当時は工学部と医学部は同じくらいの難易度でどっちに行きたいかで、選んでいたとのことでした。詳細は不明ですし、本当にそうだったのかどうかは知りませんが、そう聞いたことはよく覚えています。父は生涯、総合病院に勤務している勤務医でしたが、同じ総合病院に勤めていた仲間の医師のなかにはその後に開業独立する先生も多かった。皮膚科のT医院のT先生も、以前は父と同じ総合病院に勤めていて、総合病院に勤める医師の家族が住んでいた社宅の、私の家の二軒隣がT家だったこともあります。Tさんには二人のお嬢さんがいて、下のH子さんは私と同学年でしたね。大人になってから、皮膚科に行く必要が生じたときに、ほんの数回ですが、T医院に行ったことがありました。すると待合室に大勢の患者さんがいて、本来なら、わたしは一時間かもっと待たなければ診察の順番が回ってこないはずなのに、すぐに呼んでいただけた。ほかの患者さんには申し訳ないですが、総合病院時代の医師仲間の息子ということで特別にそうしてくださったわけです。いつの話かっていえば1990年代頃です。いまはたぶんT医院はないですね。先生が健在なのかすでに鬼籍に入られたのかはわかりませんが、ご存命なら95歳くらいでしょうか。

 順番を飛び越えて呼んで診察していただけて感謝とともに、ちょっと2020年代の感覚では「ずるい」ですね。いくら私的なつながりがあってもそこに私情を挟んで個別にサービスするようなことに対するNOは、いまは当時より厳格な気がします。

 読書順番をそんな風に優遇して、読んでいますが、武田百合子さんが書いたエッセイのような冷静沈着な視線を感じさせるエッセイですね。そのなかに岸本さんが子供のころの夏に、お父さまの故郷の丹波篠山で満天の星を見上げたことがあると書いてありました。

『空がびっしり星で埋め尽くされて、背中がぞわぞわした。きれいよりも不気味が先に立った。地球が宇宙とじかに接していることがわかってしまって恐ろしかった。』(引用)

ここを読んだときに思い出しました。小学生の頃に、上記のT家が二軒となりにあり、私の母とT家の奥さん(わたしにとってはT家のおばさん)が仲良しだったこと。夏休みの夜、T家のおばさんと母が暗い家の前の未舗装の袋小路で話していて、そこに私や、同じ年のTさんの二女のH子さんが、なんとなく一緒に外に出ていた。そのときに誰かが真上を見上げて、すっごい星の数!と(いうようなことを)言い、それにつられて真上を見上げたら、本当にすごい星空が見えました。そんなことを思い出しましたね。

 本を読んでいて、そこからなにか読者の個人の記憶がずるずると引っ張り出される私のような年代と、本を読んでいてまだそれ相当の経験がないけれどまずは新たな知識として本から学び、それが今後に生かされる年代がありますね。ここを読んで、そういえばそんなことがあったなと思い出す。そんな空は見たことがないからこんど丹波篠山って場所まで旅行して星空を見上げてみようとは、私は思わなかったけれど、誰かより若い世代の人はそう思う人もいるだろう。そっちが大事ですね。読書の効能ってわけです。

 

 




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