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高台の公園

 神奈川県中郡大磯町は太平洋(相模湾)に面し、明治の頃には、その海が見渡せる場所に、大隈重信西園寺公望伊藤博文の邸宅(別荘)が建てられた町。日本で最初の海水浴場が開かれた町でもあり、最近では村上春樹氏の家も、あるとかないとか。その大磯町で第18回目の「オープンガーデン」が開催されていたので、行ってみました。駅前でマップをもらい、そのうち大磯駅エリアを回りました。このイベントに協力している個人宅やカフェや歴史的建造物の庭に咲き乱れている花々などを見て回れるイベントでした。快晴で暑い日。五月って、平均気温通りの日なんか滅多になくて、暑い初夏の日と、季節がひとつきふたつき戻ったような寒い日が、交互にやってくるから、気温の分布棒グラフを作ると、平均気温を中心とした正規分布ではなくて、寒いところと暑いところにふた山が出来る分布になっているんじゃないか?

 写真はオープンガーデンに参加している場所ではなくて、そういう場所を辿っている途中にあった高台の公園で撮っています。シロツメグサが咲いている、海が見える、写真には写っていませんが富士山も見えました。たまにひとりかふたり、人が来て、しばらくしていなくなる。風が吹くと木々も草も揺れる。

 するとなんだかとても懐かしくなる。この場所が具体的にいつかのどこかの場所に似ているってわけではないんです。エピソード記憶を呼ぶわけではない。もっと抽象的にこの場所の全体が五感に働きかけて来る。全体が漠然としていて確たる懐かしさを呼ぶのです。あぁ懐かしいな、と思いました。そう思いながら、カメラのファインダーをのぞく、古いレンズを付けてあります。古いレンズはオートフォーカスじゃないから、ピントリングをぐるぐる回して、その目の前の懐かしい光景のピントをぼかしてみたり合わせてみたり。オートフォーカスだと瞬間でぴっと合ってしまう。あるいは、オートフォーカス機構には判断を迷うような被写体だと、今度は思いもしない高速迷走をする。その様子をファインダーで見せられると、なんだろう、まぁ普通列車でゆっくりと車窓風景を楽しみ、ときには駅弁を食べたり昼寝をしたりしながら旅をするのではなく、もう、分刻みのスケジュールをこなすために、高速移動手段(飛行機や新幹線)を使う感じ。しかも移動中にも仕事が出来る席でノートPCを開いているような。時間かかっても、手の動かしたピントリングの動き通りにファインダーのボケが動くのを見るのが、こういうときは楽しいです。普通列車の旅のように。

 良き土曜日でした。




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