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幻のダイヤ

毎日同じ電車に乗っている。帰りの電車はともかく、行きの電車は毎日同じだ。

そんなに電車の本数があるわけではないし、朝早く行ってまでするべき仕事もない。始業時間を考えれば、事実上一択だ。毎朝代わり映えのしない時刻にやって来る電車に、代わり映えのしない姿で乗り込んでいる。

そんな時刻が変わるタイミングが年に一度だけある。それはダイヤ改正だ。よく考えたら遅延した日も時刻は変わっているんだけど、それは見なかったことにする。

 

ダイヤ改正。年に一回3月頃に行われるものだ。劇的に変わることは滅多にないけど、行きの電車が少し遅くなったり、帰りの電車が少し早くなったりすると、ちょっとだけ嬉しい。例えそれが1分とか2分でも、なんとなく得をした気分になるものだ。

そんなダイヤ改正が今年もあった。もう4ヶ月も前だけど、あった。「今年はどんなもんですかな」と思いながらサイトを覗いてみたら、朝は4分遅くなっていて、晩は3分早くなっていた。

1分2分でも喜ばしいのに、この代わりよう。なんて素晴らしいことなんだと思った。思わず職場の人(車通勤)に報告してしまった。朝は4分もゆっくりできるし、家に着くのが3分も早くなる。嬉しいなあと思っていた。

 

そしてダイヤ改正があってから初めての出勤日。意気揚々と4分遅く家を出た。4分あったからって何かをするわけでもなく、ただぼーっとしていただけなんだけど、それでもルンルン気分で家を出た。

電車は今まで通りの時間に来た。僕が思っていたより4分早く来た。本当にギリギリ飛び乗れた。帰りも今まで通りの時間だった。今までと同じ時間に家に着いた。

ダイヤ改正の日付を勘違いしていたのかなと思ってそこから何日か過ごしてみたけど、特に変わることはなかった。それから4ヶ月経った今も、ダイヤが改正する気配はない。

あれはなんだったんだ。夢だったのか。JRのサイトも、改正された時刻表も、周りの人との会話も、全部引っくるめて夢だったのか。

 

夢だったらもう少し夢のある内容がよかったな。




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