
どうしても欲しいので、躊躇は微塵もない
ひょんなことから、ポーランドのガイドブックの新装版が出たと知った。もしもあの時図書館のサイトにアクセスし、もう一度ガイドブックを借りようと思わなかったら、と思うと、まさに虫の知らせだというしかない。ポーランドのガイドブックの最新版はたしか2020~21年度版だったはずで、其れさえも、書店では手に入らなかった。となると、私にできることは、ガイドブックに載っている必要な記事や地図をコピーすることぐらいしかなかった。そんなことだから、ちゃんと読み込んでいなくて、今のような土壇場になって慌てるのだった。情報の確認のために、再度借りようとしたのが、棚からぼた餅のような幸運をもたらした。
降って湧いたような幸運を手にして、是が非でも最新版のガイドブックを手に入れようと本屋に飛んで行った。近所の本屋なら歩いてすぐだが、残念なことに一足先に閉店した後だった。もっともそれぐらいは最初からわかっていたので、迷わず歩いて20分の中規模書店にすっ飛んで行った。本屋に向かいながらも、私の心には一抹の不安があったことは否めない。それは以前に、九段理江さんの『東京絶望搭』や朝比奈秋さんの『サンショウオの四十九日』を買う気満々で行ったのに,裏切られたことがあったからだ。お金を握りめてウキウキしながら行ったのにも関わらず、喉から手が出るほど欲しかった本はどこにもなかった。そこで、私は心の中で思った、「この店は所詮”使えない本屋”」でしかない」と。
なので、たいして期待もせずに一応行ってみたら、案の定、旅行ガイドの棚に「地球の歩き方 チェコ・ポーランド・スロバキア」は見当たらなかった。別にがっかりもしなかった。この展開は十分予想出来たことだったからだ。そんなことはどうでもいいが、それよりこれからどうするかだった。それについてはもう決めてあった、都心にある大型書店に電車で行くことに。いつもなら40分ほど歩いて、散歩がてら行くのに、今はそんな時間はなかった。電車で行って、本屋に直行し、ガイドブックを買ったらすぐにまた駅に戻って家に帰って来ようと決めていた。
まずは、3階の旅行ガイドの棚に行き、本当に最新版が出たかどうか確かめた。嘘ではない、本当にガイドブックはちゃんとあって、しかも何冊もあるではないか。よりによって、これから現地に行くぎりぎりのタイミングで発売されたことに、どっと幸福感が押し寄せて来る。もう少し早くてもよかったのにだなんて、贅沢なことは言うつもりはない。何より、コピーではなくて、現物を手に入れたことに勝る感動はあるはずがない。電子版を利用するだなんてことは考えもしなかったのでなおさらだ。
ガイドブックの最後のページに、「4年ぶりの改訂」と書かれていて、出版年月日は、2024年9月10日だった。もう書籍は出ないのではないかと恐れていた私としては、小躍りするくらい嬉しい。考えてみると、ガイドブックの最新版が出たことを知るのは、本当なら書店でのはずだ。それが図書館のサイトとは、いったいどれだけ本屋と疎遠になっているのだろう。我ながら呆れてものが言えない。以前は、いや、敢えて昔と言った方がいいだろう、新刊の情報を知るのは、本屋で以外なかった。それがいつからか、本屋に面白そうな本を探しに行くのが億劫になり、面倒臭くなった。時間がもったいないからとか、大型書店に行く時間がないからとかと、あれこれ言い訳して、自宅でゴロゴロしていた。そうやっていると、楽することに慣れてしまい、ついつい動画サービスに嵌って、本屋のことなどすっかり忘れてしまった。そうやって、自然と、いや、何ごともなく、本屋のことを忘れ、捨てたのだった。
先日の天声人語にも書いてあったが、「疲れている時、本を読むより、スマホで動画でも見る方がラク」なことは言うまでもない。だからと言って、心に栄養は不可欠で、知らず知らずのうちに心が空虚になるのを感じるのは否めない。本を読む行為は心に栄養を与えることに他ならないのだから。
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