今週のお題「自分で作った◯◯」
20数年来愛用している旅の良き相棒
私が海外旅行用の貴重品ベストを作ろうと思ったのは、貴重品、特にパスポートをバックに入れて持って行くなんてことは恐ろしくてできなかったからだ。皆なぜああも無防備に洋服のポケットやら、ポシェツトからパスポートを気軽に取り出せるのかその行動がさっぱり理解できない。万が一パスポートを失くしたら、楽しい旅も一瞬にして悪夢に替わってしまうではないか。ガイドブックに「パスポートを失くした時のために、パスポートの写真の部分と写真一枚を持って行きましょう」などと親切に書いてあるが、本当にそんなことになったらどうすればいいのだろうか。途方に暮れることは間違いない。それで私も大真面目で、大使館の場所を確認しておいたものだ。
だが、その前にそうならないための万全の対策をしておかねばならない。石橋を叩いて渡るがごとく、自分の命が危うくならない限り、絶対にバスポートを失くさないためための最強のアイテムを作るしかなかった。それが自分で作った、これ以上信頼がおけるものはないと思える、手作りの貴重品ベストだ。もちろん、私も「地球の歩き方」のトラベル用品のページを見て、首から吊り下げるタイプの貴重品入れを買おうかどうか迷った。よく考えてみたら、あれは大事なものがここにありますよと教えているようなもので、皆が良く利用しているウエストポーチと何ら変わりない。となると、考えるまでもなく、即却下である。
私が海外旅行に行き始めた頃はまだインターネットなどない時代で、もちろん、HISなどあるはずもない。旅行を計画するのに、頼るべきものは地球の歩き方に載っていた旅行社だけで、そこでホテルも列車予約もすべてお願いするしかなかった。ホテルもクーポン券で泊まり、イタリアのローマもフレンッエもアオスタもすべてそれで何とかなった。何しろ、海外旅行初心者なものだから、外国ではおっかなびっくりで、警戒心だけは相当なものだったが、それでも満足の行く旅ができた。それというのも、手作りの貴重品ベストのおかげで、自分の身体に身に着けているせいか、ちゃんとパスポートの存在を確認できるから、安心できた。
以前、イラストレーターの益田ミリさんが、朝日新聞のエッセイの中で、「キャミソールのポケットを縫い付けて、パスポート入れにしている」と書いていたが、私のはもっと大掛かりなもので、ポケットが上下2つあって、ちゃんとそれぞれにファスナーがついている。自分で言うのもなんだが、世界中で一番の優れ物であり、何処にも売っていない唯一無二のものだ。当時は100円ショップができたばかりで、あんなものもこんなものも100円で買えるとあって、目を輝かせてワクワクしながら毎日のように通っていた。すると、偶然にメッシュのポーチを見つけて、「これなんか、ポケットにちょうどいいのではないか」と一瞬閃いた。そうなると、ユニクロで見かけた男性用のランニングシャツが頭の中に浮かび上がり、そうだメッシュのポーチ2個を縫い付けたらいい、となった。これで、貴重品ベストの大体のプランが出来上がり、後は実行に移すだけだった。
ポーチの大きさは縦25㎝、横18㎝ほどで、このサイズならパスポートはもちろん、A4サイズの書類も楽に入れられた。しかもチャック付きだから安心安全である。ランニングシャツにポーチを2個縫い付けて悦に入っていたが、よく見るとメッシュなので中身が丸見えである。これではいくら何でもまずい。それで、家にあった白い布を押し入れから引っ張り出してきて、メッシュのポケットの中身が見えないように縫い付けた。これで一件落着し、傍目にも立派な手作り貴重品ベストの出来上がりだ。
いつも、上のポケットにはパスポート、クレジットカード、現金などを入れて使っている。ホテルなどでパスポートを要求されたときなどは胸元を開けてすぐに取り出せるので便利だ。下のポケットにはホテルの予約確認書や列車のチケットをすべて入れて置く。大事なものはすべて身に着けているという感覚が、外国を旅しているという緊張から私を解放してくれる。
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