
俄かには信じられないが本当の話
先日もブログに書いたが、実家にひとりで暮らす義姉のミチコさんは、冷蔵庫のことで片付けに忙しい。とばかり思っていたら、もう一つトラブルを抱えていた。それは、野良猫のことで、猫友のひとりが引っ越しをすることになったので、猫をどうするかで相談を受けたのだ。その人は市営住宅に住んでいるにも関わらず、部屋で猫を飼っていた。それだけでなく、外にいる野良猫にもエサをやって面倒を見ていた。だが、引越すとなると、外にいる猫たちは一緒に連れてはいけないし、これからますます寒くなるのにどうしたらいいのだろうと頭を悩ませていた。
ある時、外にいる野良猫がお腹が大きいということに気が付いた。スワ、大変だ、生まれてくる仔猫たちをどうすればいいのだろうと気をもんでいる間に猫は仔猫を3匹生んだ。今回、引っ越しで一緒に連れて行くのは部屋で買っている猫2匹で、外の猫をなんとかしなければならない。そんな話を聞いたミチコさんは、誰かがネコを欲しがっていた、と思わず口に出してしまった。確信のない話だったが、相手はそれならとその気になってしまった。そうなると、ミチコさんも後には引けなくなって、あれよあれよという間に、避妊手術の費用まで出すことになってしまった。猫友の人は生活保護を受けている人で、要するにお金がない。それで、ミチコさんはお金持ちではないが、「それなら、私が出す」と言わざるを得なくなったのだ。
都合のいい女であるミチコさんは、乗り掛かった舟だからということで、仔猫2匹の貰い手を捜す羽目になった。冷蔵庫のための片づけと野良の仔猫の問題で、頭も身体もフル活動の状態だった。だが、ミチコさんはちっとも不機嫌ではなく、それどころか、とても嬉しそうなのだ。なぜなのか、面倒臭くて嫌で嫌でたまらなくなってもおかしくない状況にあって、どうしてそんなに嬉々としていられるのか。
その謎はすぐに解けた。「今、目の前にある檻に猫が二匹居るんだけど、すごくかわいいよ」と私に向かって、その喜びを叫びたくて仕方がないらしい。可愛くて可愛くて、どうしようもない、誰かに話さずにはいられない猫たちとはいったいどんな猫なのか。それは何と、シャム猫だった。ブルーの目を輝かせて、おとなしくしている仔猫たちは、誰が見ても可愛いに違いなかった。
それなのに、家にいる猫2匹ときたら、フウ~ッとばかりに威嚇するものだから、ミチコさんは憤慨している。これまで家の猫はフレンドリーで性格がいいとばかり思っていたからだ。その唯一の取り柄がなくなったものだから、「いい加減にしないと、この2匹と取り換えちゃうわよ」と心にもないことを平気で言ってのける。シャム猫と比べられたら普通の猫は不細工で、その美しさ、可愛さには遥かに及ばない。すべてにおいて、見かけがいいのは得だなあと、認めざる得ない。だが、見かけだけに囚われていいのだろうかとも正直思う。
私の意見はともかく、この2匹のシャム猫のうちの一匹は貰い手が決まっていた。でも、どうせなら2匹一緒にというわけにはいかないだろうか、と本心では思っているようで、目の前にいる猫は2匹仲良く檻の中でくっついているからだ。こんなに仲良くしている猫を引き離すのはいくらなんでも可哀そうすぎる、とミチコさんは気をもんでいる。でも、果たしてそんなにうまくいくのだろうか、と内心思ったのも事実だ。
さて、昨日シャム猫がどうなったのか、ついでに冷蔵庫はどうなったのかを聞くために電話をした。すると、シャム猫の方は2匹とも無事貰われ、冷蔵庫も家の玄関の戸を外して、やっとのことで家の中に運び入れたとのこと。2つのミッションは見事に完了した。でも、私の頭の中にはある疑問が渦巻いていて、ミチコさんに質問せずにはいられなかった。それは、どうしてシャム猫なのに野良なのかということで、その答えに仰天せずにはいられなかった。要するに、可愛すぎるシャム猫の母親はトラ猫で、父親がシャム猫だということなのだ。さらに、驚くべきことに、シャム猫の兄弟はロシアンブルーで、こうなると、ミチコさんと二人で思わず、「一体全体どうなってるの?」と叫ばずにはいられなかった。
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