
面倒臭いと言いながらも、せっせと自炊
最近、なぜかご飯が美味しいことに気が付いた。今食べているのは、実家の義姉のミチコさんが、帰省の荷物を送り返すときに入れてくれたお米で、銘柄は「初霜」という。兄の葬式以来、ずうっとそのお米を貰っていたが、これまで何の感慨も湧かなかった。普段スーパーで買う他のお米とたいして変わり映えしなかった。それが今、急に「美味しい」と思えたのはどうしてなのだろう。我ながらとても不思議でしようがない。ミチコさんが送ってくれた初霜を食べる前は、北海道産のななつぼしを食べていたが、そんなに美味しいとは思えなかった。それなのに今どうして、感激するほど「美味しい」と思えるのか、理由は定かではないが、とにかく幸せなことは間違いない。
それで、思わずミチコさんにショートメッセージで、「ご飯が美味しいです。ありがとう」と送ってしまった。すると、すぐに反応があって、電話が掛かってきた。メールを見たら、「ご飯」が一体全体、どのお米を指すのか、その辺のところが気になって、知りたくなったので、かけ放題ということもあって気軽に電話をしたらしい。だが、こちらとしては、「ありがとう」とちゃんと感謝の意を表しているのだから、わかりそうなものなのにとしか思えない。その流れでお米の話になり、兄が生きていた時はいつも玄米を30kg買っていて、その都度精米所に持って行き食べていたと知らされた。だが、もう兄はいないので、そんな大量のお米は要らなくなった。
だが、「私はケチなので・・・」とミチコさんは前置きし、一人なのだから、10kgも要らないのに、5kgで買うより安いのでついつい10kgのお米を買っている。気になってお米の値段を聞いてみると、やはり物凄く安い。ミチコさんでなくても、私だって10kgの方を買うだろう。ただ、私が住んでいる地域では5kgがほとんどで、10kgは売られてはいないから、現実的ではないのだが。ミチコさんに言わせると、以前は安かった10kgの米の値段が、あれよあれよという間に跳ね上がり、現在では2倍近くにもなっている。目の玉が飛び出るくらいの変化にこれからどうなるのか恐怖心が募るばかりだ。
年金生活者のひとりであるミチコさんは身を守るべく生活防衛に余念がない。「これから、どうしょうしゃん(どうしよう)」と嘆くが、そこは呆れるほどの楽天家のミチコさんことだから、内心はそれほどでもないことはわかっている。お米の話から、近頃の野菜の葉物の天文学的な値段の話に及ぶと、キャベツは高いからと敬遠し、もやしをよく買うそうだ。とにかく、もやしは安くていいとやたら褒めそやすので、こちらは「もやしなんて、どうするの?」と疑問だらけになった。以前、ドラマで「もやしは地球を救う」とヒロインが感激したこともあり、ミチコさんもそのタイプだとははじめて気が付いた。
だが、そこでどうしても疑問が残るのは、私が帰省すると、「面倒臭いので、何もやりたくない」と豪語しているのに、料理なんてするのだろうかというということ。よく聞いてみると、どうやらそのなんとも自堕落な言葉は、私が帰省した時だけなのだと知って仰天した。「あんたが、猫と遊んでいるのに、どうして私だけが色々とやらなければならないの?」などと宣うのから呆れる。どうしてそういう思考になるのか。はっきり言って、私は猫と遊ぶために帰省するようなものだからだ。「猫と遊ぶのも、飼い主の役目でしょう?と訴えても、「テレビのドラマを見なければならないから、忙しいので猫の相手はできない」などと言ってのける始末。ミチコさんを説得するのは一朝一夕というわけにもいかないようだ。ミチコさんは私の言動に引きずられやすいのだと改めて気づいた。思えば、昔からそうだった。ミチコさんをダメにしたのは、何を隠そうこの私だった。
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