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ミチコさんは眠らない

 

一体いつ寝ているの?

 ミチコさんは眠らない。ここでのミチコさんとは実家にいる兄のお嫁さんのことだ。7年間前に兄が肺がんで亡くなって以来、気儘で誰に遠慮することない自由な生活を送っている。時折、こんなに好き勝手でいいのかしらと、不安を口にするが、それが本心でないことはわかっている。思えば、ミチコさんの人生は波乱万丈で、傍から見ても大変だった。結婚生活も思ったほど順調ではなかったし、義父の看病も経験した後、結局離婚してしまった。アパートでひとり自活しなければならかったが、その後腐れ縁なのか、兄と再婚することになった。ミチコさんなりの思惑があったのだろう、そこらへんの事情は聞かなくても容易に想像はつく。

 不仲だった兄が亡くなって、ようやくミチコさんに本当の意味での幸せが訪れた。ひとりになったとき、私は不用心だからと心配したが、今ではすっかり慣れたようだ。「自分の人生にこんな幸せがあるなんて、思ってもみなかった」とミチコさんは私には正直な気持ちを伝えてくれた。世間に知れると、何かと問題があって大きな声では言えないが、内心はホッとしていた。ミチコさんにとって、兄は怖い存在だったからだ。だが、そのホッとした安心感が、今のようなこの上ない幸せに繋がるとは最初は考えてもいなかった。

 子供がいるわけではないから、誰からも自分の行動についてとやかく言われることもない。部屋が散らかっているとか、台所が汚れているとか、もっと掃除をきちんとしたほうがいいのだとか、そんな余計なことを言われずに済んでいる。それに、兄が大嫌いで飼いたくても叶わなかった猫だって2匹飼うことができた。犬しか飼えないとばかり思っていて諦めていた。そう、猫のことは眼中にもなかったのに、かつては喉から手が出るほど欲しかった猫たちが向こうから勝手に舞い込んで来た。何たる偶然、こうなると、たんなる偶然ではなく、もう運命と言ってもいい。

 考えてみると、犬はミチコさん自らペットショップで選んで買った子だが、猫たちは運命の子たちだ。世間では高齢者の一人暮らしは孤独だと言われているが、ミチコさんの生活にその気配は一切ない。犬や猫のトイレの世話で結構忙しい。帰省するといつも思うのだが、ミチコさんは驚くほど眠らない。私が隣の部屋で夜中寝ている時、ミチコさんはいつも居間でテレビを見ている。テレビを見ていると言っても、横になりながらそのまま寝ている時もあって、その一方で、すぐに目覚めてまたテレビを見ている。どうやらミチコさんの眠りはことのほか浅く、ぐっすりという状態からは程遠い。

 かと言って、昼夜逆転というわけでもなく、私が隣の部屋で朝目覚めると、ミチコさんはもう起きていて、7時からのBSのドラマを見ている。「いったいいつ寝たの?」と驚きを隠せないが、ちゃんと夜の不足分は相殺されていた。というのも、昼間ミチコさんはこたつに入って座ると、すぐに目を閉じる。そして、そのまま寝入ってしまうことが多く、いびきをかいたり、口を開けてとろけるように気持ちよく眠る。私が睡魔に耐え切れずに隣室に逃げ込んだ後も、ミチコさんは夜中に活動してひとりを楽しんでいる。そんな様子はまるで、私が海外旅行に行って、規則正しい日常生活から解放された瞬間取る行動に似ている。

 時間の縛りもなく、誰からもとやかく言われない状況で、私はこれ以上に無いくらい自堕落になる。時間の感覚がなくなり、夜なか中、電気はつけっぱなしで、テレビもBGMのごとく流しっぱなし。おまけに好きな時に浴びるシャワーも、日頃の鬱憤を晴らすかのように、まさに湯水のごとく使い倒す始末。本当に見境がなく、SDGSの世の中に逆行するがごとく暴挙に出てしまう。まるで一気にタガが外れてしまったかのようになれるのも、一人の海外旅行ならではの気の緩みで、個人的には”楽しみ”という言葉で置き換えられる。

mikonacolon

 

 

 




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