今週のお題「ドラマ」

男同士の友情が素晴らしい
最近の私はドラマ視聴の沼にどっぷりと浸かっている。以前は気分転換のひとつの手段だったドラマが今では一日の大半を占めるようになった。こうなると、ドラマ中毒とも言える症状が出て、好きだった読書を押しのけて我が物顔に居座るようになった。気が付くと、テレビの前、あるいはパソコンの前に座って、動画サービスのアイコンをクリックしている。たいして、好きでもない、おもしろくもないドラマをぼんやりと見るようになった。その理由は現在の私がそうするしかない状況に置かれているからだ。今年の1月の中旬に左足を骨折して、歩けなくなった。いや、歩いてはいけないと医者からは厳命を受けている。骨折は自然治癒でするものであり、動かないことが何よりの治療になるとのこと。要するに、間違いなく私は引きこもりの状態だ。
長い一日を安静にして過ごすことがミッションになった。トイレと食事以外は動かないように意識して努力している。以前から比べると、ほぼ何もしないに等しい。動きのレベルを数値で表すと、以前が10なら、今は3ぐらいだろうか。だが、予想外に実際の私は動いていて、正直言って、病院レベルに近い生活を目指すと、これはもう"廃人”レベルになる。どういうことかというと、動かないと体力がなくなり、普通に座っているだけでも辛い。腰が痛くなり、すぐ横になりたくなる。時間は膨大にあるのに、机に向かって何か、例えば勉強をすることなど全く考えられない。それに何より、足の痛みで集中力が麻痺しているためか、すぐに投げ出してしまうという体たらく。
前置きは長くなったが、今の私にとっての気晴らしはドラマを見ることで、唯一の慰めと言ってもいい。目に前にある何かで痛みから気をそらさないと、ロクなことを考えかねない。ぼうっとしていると、頭に浮かぶのはネガティブなことだらけだからだ。そんな禁足状態にある私のお気に入りのドラマは、『君、花海棠の紅にあらず』で、このタイトルには見覚えがあった。たしか、以前動画サービスでやっていたドラマだったが、見るのを躊躇したのは、主演のファン・シャオミンに偏見があったからだ。だが、彼のドラマ『郎耶坊2』を見て、目を覚まさせられた。今では完全に根拠のない誤解は氷解し、なかなかいい俳優だと思えるようになった。
このドラマの何がいいか、何が魅力的なのかというと、男同士の友情の素晴らしさで、利害を超えて、あくまでも純粋なところだ。二人共生き馬の目を抜くような世界に身を置いているのにも関わらず、人に対して物凄く優しい。ドラマのオープニングのテーマ曲の歌詞にも「かつてないほどの尊い出会い」とあるが、まさにドラマの内容を暗示しているかのようだ。京劇の役者であるシャン・ルーシイは才能豊かだが喧嘩っ早くて、怒ると手が付けられない。頑固者で性格の悪さが評判だったが、蓋を開けてみたら、実際には彼ほど純粋で優しい人間はこの世にいないのではないかと目を見開かされる。天才肌で生まれながらの役者である彼は芸も一流なら、喧嘩も人一番強い。町を歩いても、嫌がらせを受けている人を見たら、躊躇なく人助けに奔走する。
一方のチョン・ファンタイは運送業を営んではいるが、運んでいるのは主に軍関係の武器だった。姉が軍の司令官の側室ということもあり、その人脈もあってか羽振りがいい。たいていはそんな人間は強欲で嫌な奴だと決まっているものだが、彼もまた京劇の役者、シャン・ルーシイと同様に純粋でとても優しい。外からは絶対想像できない彼らの真実の姿に心がほどける思いがする。彼らが身を置く厳しい世界とは対極にある、彼らの純粋さと優しさに毎回救われる思いがする。
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