
お金から自由になるために、お金への執着を手放す
図書館から2週間近く借りていた本『シン・ファイアー』をそろそろ返そうと思う。この本はアフロヘアがトレードマークの稲垣えみ子さんと大原扁里さんの共著だが、お二人の対談がとにかく面白くて、興味深かった。例えば、お二人は富裕層の知り合いなど滅多にいないそうだが、それでもたまにはその階層の人たちと話をする機会がある。そんなとき、「ドラマや小説に出てくるような意地悪な富裕層という人種に会ったことがない」と言うのだ。富裕層の人たちはすべてに余裕があり、なので、他人とのいざこざを避ける傾向がある。厄介事を回避するために、お金を使うことを惜しまないのだ。世の中のことはすべてお金で解決出来ると思いこんでいる節があって、その事がお二人にはどうしても違和感があるそうだ。考えてみると、この世の中において、お金で解決できないことの方が多いのだから。
また、稲垣さんは、確かに電気を最小限にしか使わない生活をしているが、お金を使わない訳ではないのだ。そりゃあ、朝日新聞の記者をしていた頃よりははるかにお金を使わなくなったが、それでも、カフェ代は惜しまない。稲垣さんの一日は5時に起きたら、ヨガをして瞑想する。9時になると、行きつけのカフェで12時まで仕事で、朝ご飯はそこでモーニングを食べる。お昼になったら、家に戻り、メシ、シル、漬物というシンプルなお昼ご飯を食べる。午後にはまたカフェで3時間仕事というから、日に2軒もカフェに行っている。そのあとは銭湯に行くのだが、これは2日に一度程度だ。こんなふうに判で押したような生活をして居るのかと思ったら、とんでもない。稲垣さんは日本酒のイベントに行ったり、講演をしたりと、とにかく人とかかわる仕事をしていた。人とかかわれば、それが自然と仕事に繋がり、収入に繋がるのだ。もちろん、ボランティアですることもあるが、それもこれも全て、稲垣さんに仕事をもたらす受け皿になってしまうのだ。
ご本人はテレビ出演が苦手だが、それでも寄付をしている国際団体の子供たちのためだと思えば、「お母さん、あなたたちのために頑張るからね」と思えると言うから凄い。エリートサラリーマンをやめてから、他者を思いやるようになり、稲垣さんは優しくなれたと言う。稲垣さんと大原さんの共通点は、人に優しくをモットーとしていることだ。自分さえよければいいと言う考えは、かえって自分で自分の首を絞めてしまうことになりはしないかと危機感を抱いてもいる。周りの皆が幸せでいてこそ、自分も幸せでいられると言うスタンスで、この思考法には目から鱗だった。
さて、もう一つ図書館に返却しなければならない本がある。それは稲田豊史さんの『ぼくたち、親になる』で、この本の内容は父親になった男性たちのインタビューで構成されている。新聞の広告で目にした途端、彼らの切実な本音が知りたくて、思わず図書館サイトで予約を入れた。読んでみて、ある男性の本音に仰天した。なぜなら、彼は「子供が仕事の邪魔になる」と発言したからで、よく聞くのは子供が煩くて困るとかだが、その本音は可愛いから仕方ないけどくらいのものだった。だが、彼は本音で子供が自分の仕事の邪魔になり、このままでは自分はお終いだぐらいに真剣に悩んでいるのだ。そう思うきっかけになったのはコロナ禍で、週4日リモートワークになったことだった。彼の仕事は編集者で、没入しないと、仕事にならない。それなのに、家にいると、洗濯物を取り込んだり、子供の世話などをしなければならない。それで、思考が一旦途切れると、すぐには戻れなくて、相当に時間がかかって悶々としてしまう。
でも、そんなことぐらい容易に想像できたのではないかと私などは思うが、驚くべきことに、彼は子供が生まれる前は想像だにしなかったと言うから、これには2度驚かされた。
mikonacolon