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ひとのいいネコ

ひとのいいネコが堪らず逃げ出す、とっても怖い話

 以前南部和也さんの絵本『ネコのタクシー』について書いたが、ネコのタクシーの話があまりにも奇抜で面白かったものだから、ついつい他の本も読んでみようかと言うことになった。それで、またまた図書館のサイトで『ひとのいいネコ』を予約して借りてみた。最初は題名がひとのいいネコなのだから、てっきりほのぼのとした話かと思いきや、椅子から転げ落ちる程の衝撃を受けてしまった。話の内容はひとのいいネコがノミを助けるのだが、一度ぐらいはよかったが、2度、3度となると、身の毛がよだつほど怖い話になった。ホルスという名前のひとのいいネコが「死にそうなので、助けてください」とノミに懇願され、一口だけ自分の血を吸わせてあげた。ホルスはそれで終わりだと思ったら、今度はノミのお母さんが子供たちを連れてやって来て、「子供たちに一口だけ血を吸わせてやってください」とやって来た。ホルスは断り切れず、また人助け、ならぬノミ助けをするのだが、その数がどんどん増えてきて恐ろしくなった。最後にはなんとその数千百十一匹までになり、さすがのホルスも、もはや「いいですよ」とは言っていられず逃げ出してしまう。

 巻末の南部さんのあとがきによると、本当のノミの繁殖力はこのお話よりももっとすごいとのこと。「ノミのお母さんは、毎日30個の卵を産み続けます。条件が良ければ1か月でも生きますから、1匹のノミが900個の卵を産むことになります。その卵からふ化したノミは1か月ほどで卵を産み始めますから、その数は大変なものです」

 でも、どうして南部さんはこんなおかしいのに、よく考えてみたら、ぞっとする話を思いついたのだろうか。その答えは「いつもネコとノミを見ていたら、いつの間にかこんな話になってしまった」そうで、いやはや南部さんの発想力に脱帽せざるを得ない。南部さんのお話をさらに怖いものにしているのは、挿絵を描いている田島清三さんのダイナミックとも言える画力で、何千匹ものノミの襲来は身の毛がよだつ。いくらホルスが人助けが好きでも、自分の命を懸けてまで、ノミを助けるわけにはいかない。当たり前である。この絵本の教訓は一体何なのだろう。ホルスはひとのいいネコであろうとしたが、ノミの要求を最後の最後には聞いてあげられなかった。その点で、ホルスはもはや『ひとのいいネコ』ではあり得なかった。何だか身につまされる話だが、よく考えてみると、最初に「一口だけ血を吸わせてください」とノミに懇願されたとき、きっぱりと断ればよかったのだ。なのに、お人よしのホルスはこれくらいならいいだろうとばかりに気軽に応じてしまった。それに付け込んだノミは次第に要求をエスカレートさせていった。自分の子供たちや孫たちのことしか頭にないノミのお母さんはホルスを犠牲にしようとしたが、さすがのホルスは命の危険を感じて逃げ出した。それでいいのである。ホルスは自分の限界までノミに尽くしたのだから、もう解放されてもいい。いや、最初からノミを助けるべきではないとさえ私は思う。ひとのいいのも考えものだ、ホルスの行動は度を越している。”何事も過ぎたるは及ばざるがごとし”でお人好しも楽じゃない。

 さて、こんな恐ろしい話を子供たちはどう受け取るのだろうか。周りに小さい子供がいないので、想像することしかできないが、今の子供たちは意外にドライで案外笑い話としか思わないのだろうか。私もホルスがどうなるのか、ドキドキしてページを捲る手がどうしても早くなってしまったが、ノミの大群に追いかけられるホルスを見て、笑うどころか戦慄した。浅薄な私なら、何も考えず笑ってしまってもおかしくない状況だが、なぜか笑えなかった。

mikonacolon

 




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