
眠れない悩みを救ってくれたのは
最近私はずうっと夜眠れなかった。というよりも、いつもの寝る時間になっても来るべきものが来なかった。来るべきものとは、睡魔で、夜の9時を過ぎると、もう起きていられないほどの眠気に襲われるはずなのに、どうしたことかそれが来なかった。夏の暑さが原因なのか、あるいは足の痛みのせいなのか、いや、違う。いくら暑くても、睡魔は必ずやってくるはずだし、それに足の痛みは睡眠を邪魔するほど酷くはない。それなら、どうして睡魔はとんと姿を現さないかという疑問が頭の中を駆け巡るが、理由がわからず戸惑うばかりだった。
ところが、昨日は違った。以前の感覚が蘇ったのか、夜の9時近くになると、不思議なことに抗えないような睡魔に襲われた。私としては、久しぶりの感覚で少し驚いたが、やっと来たかあとホッとした。夜眠れないとどうなるかというと、昼間やたらと眠くなり、招かれざる客のような睡魔を振り払うのに苦労する。少し休もうなどと横になろうものなら、たちまちうとうとして、朦朧となる。いつぞやなど、はっと気が付いたら10分程度眠っていた。座ると、どうしても横になってしまうので、立ちあがって部屋の中を歩き回るのだが、睡魔は消えてはくれない。自然の摂理に逆らうのは良くないと、眠くなったら迷わず寝るなどと悠長なことを言っていたら、悶々と長い夜を過ごさねばならない。おまけに、そんなときは決まって、昔の苦い経験を思いだして、精神衛生上すこぶる悪い。足が悪いのに、さらに鬱になるなんてことは絶対避けたいのに。
なぜ、突如として睡魔が蘇ったかというと、考えられる原因は、水中ウォーキングを40分もやったことだろうか。普段は30分程度に抑えているのに、その日は調子に乗って10分延長した。いつも足が痛くなってやめてしまうのに、その日は割と平気だったので自然とそうなった。あまり歩きすぎると、帰りの足に影響を及ぼすのではないかと心配だったが、私の今の足なら大丈夫なようだ。おまけに、プールの帰りに銀行、郵便局、スーパーと梯子し、家にちゃんと帰って来れた。だが、足が痛いのは相変わらずで、時々やたらと叫びたくなることがある。「私の足は一体全体どうなっているんだ?誰でもいいから何とかしてくれ!一体いつになったら良くなるんだ?水中ウォーキングなんて、ちっとも効かないじゃないか?これ以上どうやって耐えろというんだ、どうにもならない現実を」などと愚痴りたくもなるのが本音である。
先日棋士の渡辺明九段の休場のニュースをネットでも見たし、新聞の記事でも読んだ。昨年の12月からフットサルで痛めたじん帯がなかなか良くならないとのこと。今年の1月に足を怪我して未だに療養中の私としては人ごととは思えず、一日も早い回復を心より願わずにはいられない。
自分のことだけで精一杯の私だが、見ず知らずの人を心配する気持ちの余裕があることに改めて驚く。健康な時の私は傲慢で、人の痛みには鈍感で無関心だった。足を怪我し、病院の先生に勧められていやいやプールに通うことになった。最初は足が痛くて難儀しているのは私だけだと思っていた。ところが3か月間通ううちに、皆元気で、どこも悪いようには見えないのに各自身体のあちこちに何らかの問題を抱えていることがわかってきた。傍目には元気そうな人も、よくよく話を聞いてみると、開いた口が塞がらないこともしばしばだ。どう返していいのか、どう慰め励ましていいのか言葉を探しているうちに相手との時間が終わってしまう。私は自分で言うのも何だが、毎日不機嫌極まりない日々を送っている。家から外に出ると、特にプールにおいては、私の不機嫌さが周りに伝わらないように、用心し、気を使っている毎日だ。
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