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義姉のミチコさんからの電話

電話中は暫し足の痛みを忘れる

 義姉のミチコさんから、御中元が届いたことを知らせるお礼の電話があった。よく話を聞いてみると、まだ食べていないとのこと。どうしてすぐ食べないのかと訝しく思って尋ねると、「そんな贅沢をしてはダメ。すぐに食べたらもったいない」などという返事が返ってきた。電話をしている最中にもう一つの御中元のモンブラン大福が届いた。ネットで注文したのだが、「冷凍」との但し書きは何もなかったはず。6個で3千円だが、まあ、なんといっても栗を使ったお菓子なので、それくらいはするかと納得して買った商品だった。初めての注文なので、どんなお菓子なのか、味はどんななのか一切わからない。送り主としては実際の感想が聞きたくてたまらない。

「どんななのか、開けてみてよ」と促すと、「貼ってあるテープがきつくてなかなか開けられない」などとぶつぶつ言っていたが、やっとこさ「開けられた」とホッとした様子。「ねえ、冷凍だから、カチコチじゃないの?食べる分だけ、冷蔵庫に入れて、残りは冷凍庫に入れてきなよ」とアドバイスするも、そのままで一向に動く気配はない。「大丈夫みたいだよ。柔らかいから、このままでも食べられそう」と箱を抱えたまま電話をしている。後で分かったことだが、電話をしながらも、大福のモンブランの部分だけ食べて味見をしていたとは恐れ入った。いつの間にと感心するくらいの早業である。

 考えてみると、どんな味だかわからないが、もっとも私はモンブランの味には興味がないのだが、大福6個で3千円は高すぎると正直思う。それでも、ミチコさんは栗が大好物だからさぞかし気に入るのではないかと言う勝手な想像に導かれて、贈ろうとしたわけだ。なにしろ、1年に1回あるかないかの贈り物をする絶好の機会なのだから、それを逃すなんてことはあり得ない。何かの名目でもない限りミチコさんは「こんな高い物を買うなんて、もったいない」と怒るに決まっているからだ。

 例えば、帰省すると毎日のように通う喫茶店のショーケースにあるケーキは一個500円もする。見るからに細くて、ケーキの角が突き刺さるくらいの角度になっている。喫茶店で会計する際に、ケーキを見初めた私はモンブランとショートケーキも買った。その時はミチコさんは何も言わなかったが、後で、「こんな高い物、もう買わなくていいからね」と困惑気味に言われてしまった。まあ、たしかに、どう見ても500円のケーキは美味しいが、その幸せは長くは続かない。だいたいがケーキそのものが小さいのだから、大事に一口ひと口味わって食べても、そう時間はかからない。要するに、虚しいのである。この時もミチコさんはモンブランが好きだから、喜ぶだろうと思って、喜ぶ顔が見たくて、この時とばかりに奮発してケーキを買った。なのに喜ぶどころか、もう買わなくていいと釘を刺されてしまった。今さら昔のことを持ち出しても無意味だが、以前は普通にケーキを変えた日常があったはずなのだ。今のご時世では、もはやケーキは贅沢品になって、我ら庶民の手の届かないものになったようだ。

 以前と言っても去年あたりだが、パティシエが主人公のドラマを見ていたら、たまらなくケーキが食べたくなって涎が出た。だが、現実には家から飛び出してみたところで、どこにもケーキ屋さんはない。昔は確かにあったが、現在では皆消えてしまった。そこで、たちまち意気消沈し、どうしても食べたいという熱い思いは一瞬にして冷却する。ケーキのことは無理に忘れようとしなくても、すぐに時間が解決してくれるから何の心配も要らない。たいして痛みを伴うことなく、「ケーキなんて、どうでもいいか」と自分を納得させることができるのだから。

mikonacolon

 




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