
C○○○ SHOPはカフェに違いない?
実家に帰省すると、毎日お気に入りのカフェにモーニングを食べに行くのがいつもの習慣になっている。そこのカフェの何がいいのかというと、まずは店内が広く、客席のソファがゆったりしていること。都会のカフェのように、すぐ隣に人がいる気配を感じないでいられる。義姉のミチコさんは、思いっ切りソファの背もたれに身をゆだねて、このまま寝たら気持ちいいのにねえとご満悦だった。そんなことをしたら、きっと怒られるんじゃないかと、私がヤキモキするほどだった。特筆すべきはカフェの建物の外観で、あんな田舎町にはふさわしくないヨーロッパを連想させるとんがり屋根が際立っている。まあ、私の生まれた町は子どもの頃から喫茶店があちこちにあって、その外観は多種多様だったので、そんなに驚くべきことではないのだが。
ここでは外の世界とは違う空気が流れていて、コーヒー一杯でも穏やかな雰囲気に身をゆだねることができる。580円のコーヒーを注文するだけで、モーニングが付いてくる。プレートにミニサンドイッチ、ミニトースト、ミニ卵焼き、ミニサラダ、オレンジが乗っていて、どれも美味しい。小さいから美味しく感じるのか、その真偽は定かではないが、兎に角、モーニングセットをお代わりしたい衝動に駆られる。ついついそんな欲望を口にしたら、義姉のミチコさんに、いい加減にした方が良いとたしなめられた。
私が楽しみにしているのは、正月3が日だけモーニングがスペシャルになることで、この時だけは1200円と高くなるのだが、これがまた美味しいので私は大好きだ。レタスとハムを挟んだクロワッサンサンド、ソーセージにひき肉のソースが掛かったホットドック、いつものモーニングの2倍の大きさの卵焼きと、超デラックスになっている。ただ、欲を言えば、卵焼きに小エビが入っているのだけはあまり好きではないので、これはミチコさんにあげることにしている。あのプチプチ感がどうしても好きになれないからだ。
さて、ある日のこと、お気に入りのカフェからの帰り道、なにやら見慣れない灯りが付いているのを発見した。あの灯りは一体全体なんなのだろうと、ミチコさんも私も興味津々になった。好奇心の赴くままに車を真昼間から赤々としている建物の前まで行くと、そこは元は機織り工場で、昔は朝から晩までガッチャン、ガッチャンと煩い音を出し続けていた場所だった。駐車場には何台か車が止まっていて、その光景を見た途端、ここはおそらくカフェかなんかなのだろうと早合点してしまった。建物の前のあった看板にC○○○ SHOPと書いてあったのもいけなかった。てっきり、COFFE SHOPに間違いないと思いこんだ。
この時は新しい喫茶店を見つけた喜びで気分は高揚していた。明日は絶対この店?に行こうと決めていた。さて、翌日、私達は車を走らせて、お目当ての喫茶店の前まで行った。駐車場に車を止めようとすると、空きスペースがなくて戸惑ったが、すぐに奥にも駐車場があることに気が付いた。「なあ~んだ、ここは結構広いんだ」と安堵する。それに駐車場にはまあまあ車が止まっているので、ここの店はけっこう人気があるらしい。だが、まじまじと店の前の看板を見ると、「CAMP SHOP」と書いてあるではないか。あれ、何かが違う、またやらかしたか。それでも、怖いもの見たさで、私達は引き戸を開けて中に入る。するとそこはガランとした空間で、それもそのはず、機織り工場なのだから、大きな機織りの機械が何台も置いてあったのだろう。戸惑いながらもどんどん進んでいくと、ガラス張りのブースに、キャンプ用品の椅子やテントが並んでいた。だだっ広くて暖房もない寒々とした空間なのにも関わらず、皆熱心に話し込んでいる。要するに、この場所では、空き家、ここでは廃工場を利用したショップを運営していたのだ。まだまだスペースは無限にあるのだから、店をやろうと思えばいくらでも可能性はある。
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