
どうしても買わざるを得なかった理由とは?
ポーランドに1週間ほど滞在する予定なので、言葉の勉強を始めるにあたって、図書館のサイトで検索をした。なぜすぐに大型書店に飛んで行かなかったかというと、昨今の大型書店は品揃えがあまりにも悪くて、敬遠していたからだ。それに、外に出るのが嫌になるくらいの猛暑に恐れをなし、あわよくばタダで済ませようと良からぬことを考えていた。何か適当な語学書がないものかと目を皿のようにして探すと、何冊かあったので、予約するとすぐに取り置きメールが送られてきた。ラッキーとばかりに手に取ると、それは『1冊目のポーランド語』というタイトルで、書店のウェブサイトから音源がダウンロードできた。パソコンで好きな時にいつでも、音声を聞くことができる。肝心のテキストの方はというと、家のプリンターで、ほとんどのページを印刷し、もうこれで完璧と思っていた。ところが、テキストの内容をひととおりやってみると、それだけの内容では情報量が足りなくて理解できない。単元ごとに練習問題もあるにはあるのだが、当然のことだが、ポーランド語のイロハも知らない私には付いて行けるはずもない。だいたいが、単語の発音さえわからず、勉強の羅針盤とも言えるものが何もなかった。何か、そう、例えば、動詞の活用や単語の意味をすべて網羅してある辞書のような助けになるものが欲しかった。本当いって、まだこの時はそんなことを考える余裕がなかった。
次は『ゼロから始めるポーランド語』というタイトルのテキストで、CDが付いていたので早速、ICレコーダーに音源を転送した。これで音声も聞けるし完璧かと思いきや、またもや、内容がいまひとつで初心者用のテキストにしては、役に立たないことに気が付いた。一通りやってはみたが、簡単な文さえも頭に入っていないことに愕然とする。文法はもちろん大事だが、簡単な文や決まり文句を覚えなければ意味がない。残念ながら、やっても無駄だと判断した私は、また図書館のサイトを検索し、もっと他に何かいい語学書はないかと探した。その時見つけたのが、『ニューエキスプレス ポーランド語』で、他にポーランド語辞典もあったので、ついでに予約してみた。
考えてみると、語学の勉強に辞書は欠かせない。ましてや、右も左もわからない未知の言葉となるとなおさらだ。言葉の意味はもちろん、発音だって知りたくてたまらないのだから。幸運なことに、2019年に出版されたそのテキストは、CD付きで内容が充実していた。3冊目にして、やっと思うようなテキストに出会えた。わからない言葉は辞書で調べたら、知識のない私でもなんとか理解できた。ただ、それは図書館の本であって、自分のものではないので、書き込みはできないし、辞書だって、折り目が点かないようにそっと捲らなければならない。当然フラストレーションが溜まらない訳もない。
最初のうちは図書館の本で自分の懐を痛めることなく、首尾よくやるつもりでいたが、そうもいかなくなった。まさか、テキストをすべてコピーすることなど想像もつかない。1冊目のテキストをコピーした時、かなりの量と重さになったことに困惑したことも確かだ。それに、折も折、実家への帰省の日にちが近づいてきていた。そうなると、こうなったら、お金は掛かっても、自分のものにした方が、つまり買ってしまった方が話が早いと思った。
図書館で本を借りた時、いつも思うのだが、当然のことながら、公共の物だから、汚してはいけないことは重々わかっている。家に帰るとすぐに適当なカバーを掛けて保護するのだが、肝心の中身はどうかというと、読むときに気を使うことが多い。飲み物を飲んだり、物を食べたりしながらでは、絶対に読めないのだ。その事がいつでも心に引っかかるのだが、お金を払っていないのだから、仕方がないと諦めている。何と言っても無料なのだから、少々の不自由さは受け入れなければならない。
だが、今回は少しばかり話が違った。辞書ばかりは汚さないように、そっとは捲れないのだ。思うように動けないのが、もどかしい。だいたいが辞書とは手あかに塗れる物と相場が決まっているのだから。要するに、図書館においてある辞書は、”お試し用”との見解に達したのである。
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