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プール友だち

不機嫌な私に話し掛けてくれる人たち

 カレンダーを見たら、プールに通い始めてからまだ1カ月も経っていないことに気が付いた。先月の13日に痛い足を引きずりながら嫌々市民スポーツセンターの玄関に辿り着いた。その時の私は、「どうして、こんな痛い足なのに、プールで歩かなければならないのか」という疑問だらけで、悶々としていた。外科クリニックの先生は水中ウォーキングは膝痛軽減に効くからすごくいいですよと勧めてくれたが、半信半疑だった。膝痛を何とかするために、痛い思いをしてプールに通うのかと自分を納得させたものの、それならもう少しましな足になってからの方がいいのではなどと、怠け者の言い訳をしたくなるのは性格か。今の自分にできることは、もはや水中ウォーキングぐらいしかないらしい。

 3カ月の安静生活で失われた体力を取り戻したいのに、まともに歩けないから運動などできるはずもない。水中ウォーキングをする以外はたいして身体を動かしていないし、また今の不自由な身体では無理な注文だ。それでも、あんなに馬鹿にしていた水中ウォーキングのおかげで、少しは体力がついてきたかなあと感じられるようになった。まずは、30分以上座っていられること。少し前はドラマを見ていても、途中で座って見ていられなくて、横になることが多かった。それが今ではちゃんと最後まで見ていられる。3か月の空白を取り戻すには、同じくらいの時間が必要なのだとは覚悟の上だが、今では少しの変化も愛おしく感じる。

 今でもそうだが、さっぱり良くならない足のことで頭がいっぱいの私はいつも不機嫌そのものだ。自分で言うのも何だが、「私に話し掛けないで」のオーラを常に放ちながら水の中を歩いていた。ところが、そんな狭量極まりない私に、気軽に皆話し掛けてくれるのだ。左足を引きずってしか歩けない私に、「足、どうしたの?大丈夫?」などと話しかけてくれる。「全治3か月なんです」と絶望的なことを言うと、皆同情してくれるが、その後決まって「大丈夫、プールに通っていれば絶対良くなるから」と励ましてくれる。

 一番最初に声をかけてくれた年輩の女性はとても感じのいい元気な人で、30年来そこのプールに通っていた。でも今はバスで通っているらしく、よく話を聞いてみると仰天した。なんと彼女はバスを乗り継いでプールに来ていた。昨今は昔よりだいぶバスの本数が減っている。なのにバスを乗り継ぐだなんて、そんな面倒で時間もかかることなど私には考えられない。おまけに家の近くにはちゃんと、プールがあると言うのに。ではなぜそこのプールに通わないかと言うと、プールが狭苦しくて、雰囲気が悪いからだ。それに近所の知り合いに会うのも気が引けるからという理由もある。今のプールは大きな公園の中にあり、プールからは公園の緑が見えて心が洗われる思いがする。つまり、森の中のプールに居るかのような錯覚に陥って、心が落ち着くのだ。

 フレンドリーでエネルギッシュな彼女だが、外見からは知る由もない悩みを抱えていた。それはある日、プールで泳いでいた時、バタフライをしていた男の子に耳を蹴られて、鼓膜を損傷してしまったこと。鼓膜は破れても、耳は聞こえるから問題はないが、それ以来、耳に水が入ると、激痛に襲われるようになった。もう、泳げない、そう思ったそうだ。もういいかなあと明るく笑ってはいるが、本当のところはどうなのだろうか。なので、今は以前のように泳ぐことはやめて、水中ウォーキングを何周かした後、プールの端っこで平泳ぎの足の形を熱心にやっている。私がプールで見かけるのは、たいてい彼女がプールの端っこに居る時と決まっている。

mikonacolon




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