今年もRegional Scrum Gathering Tokyoが無事に終わりました!
ご参加くださったすべての方々に感謝です!
データで見るRSGT
エントリーを分けました。
やったこと
何年も前から、実行委員の中でも先頭に立って学生や海外からの参加者を巻き込むということを続けています。
純然と存在する壁や、ときには自分自身でさえ気づかない壁を低くして、外縁をじわじわ滲ませるということが自分のテーマなのかもしれません。 その実装が学生優遇であり、ナイトセッションであり、情報保障であり、英語話者への対応であったように思います。
学生チケット
通常の参加費用が値上がりしたことにより、学生チケットはなんと64,900円引き(税込)という破格のお値引きとなりました! 3日間ランチを食べたらお釣りがくるぞ。
とはいえ学生チケットはたった10枚で抽選制です。*1
卒業しても、就職先の会社を説得して参加しに戻ってきてほしいです。
そのためのヒントを得られているといいですね。
ちなみに社会人は "学生に教えてあげる" んじゃなくて、"学生から学ぶ" んですよ。そのあたりはこちらを。
ナイトセッション
関連して、外縁をなじませる活動をしているとみおさんと、くまごろーさんをモデレーターにナイトセッションをやりました。 事前の打ち合わせともまた違う話になった気もしますが、そのライブ感も含めてお届けできたようでよかったです。
とても楽しいセッションでした。 お二方ともありがとうございました!
Agile PBL祭りはスポンサー、登壇者ともに募集中です!
コミュニケーションのバリアを解く
わたしたちの周りにはさまざまなバリアがありますが、主に聴覚障害と言語障壁という2つのバリアに主体的に取り組みました。 元々英語セッションには日本語通訳(Zoom)をつけていましたが、そこに文字起こしと手話通訳が加わりました。
新しい試みをするにあたって、他の人の負荷を上げない限りは見守ってくれるのも、スクラムギャザリング東京実行委員会の好きなところです。

情報保障
前回のRSGT2024から実験的に始めていたのですが、聴覚障害者に向けた情報保障として文字起こし(修正あり)と手話通訳を提供しました。
文字起こしについてご存知ない方に簡単に説明すると、自動文字起こしされたものをリスピーク(言い直すこと)したりキーボード入力で修正したりして、間違いのない正確な文字情報として字幕を提供するという仕組みです。 AIでかなり精度が上がったとはいえ、自動文字起こしは、同音異義語や固有名詞、早口や滑舌の悪さ、切れ目のない長文などが苦手です。 7割は自動で正しく起こせても、そこに誤りや抜けがあることで、一気に全体の意味が通らなくなります。 これを正しく修正して文字情報として提供するのが文字起こしです。
起こした文字はZoom画面、UDトークアプリから配信しました。 今回はホールの2会場で提供し、会場内に設置したスクリーンにもUDトークの字幕画面を投影していました。
また副次的に、正確な日本語文章からの自動翻訳で英語字幕を表示することができ、正確性はやや劣るものの英語話者の助けになったように思います。とくにクロージングキーノートでは音声翻訳に慣れていなかったりデバイスを使うのが面倒な英語話者にとって役に立っていたように思います。
自動文字起こしの精度を上げるために、ホールの登壇者には事前に資料提供をお願いしていました。 そこから固有名詞などを取り出して辞書を作成しておくのです。
ちなみに、こんな感じのがズラーとならんでいます。 今回使用した単語辞書はなんと2,970語でした! ご協力いただいた方々、ありがとうございました!
| 文字 | 読み |
|---|---|
| "約1,000人規模" | やくせんにんきぼ |
| トールボーイ | とーるぼーい |
| どう感じた? | どうかんじた |
| どう感じた? | どーかんじた |
| 経験主義 | けいけんしゅぎ |
| 経験主義 | けーけんしゅぎ |
| コロナ禍の中 | ころなかのなか |
とくに手話通訳周りを担当して情報保障を一緒にがんばった 森谷くん のブログはこちら。
新しい試みなのでちょっとがんばってしまった感じはありますが、一度やったことで勝手がわかり、次は負荷を減らして対応できる自信がつきました。 次回も同様のサービスを提供する予定ですので、チームや社内に聴覚障害者の方などがいらしたらぜひ教えてあげてください。
筑波技術大学*2の学生さんたちも引き続き参加してくれると嬉しいです。
英語
今年はボランティアに英語話者が増えたこともあり、通訳を入れづらいオープニングトークをことねさんがフォローしてくれました! かわぐちさんに二か国語芸の負担をかけずに済んだし、結果的にとてもよかったと思います。 個人的には、スポンサーセッションに関して名探偵コナンのコンテキストを英語で説明する応用力の高さに痺れました。
受付でダラダラしながら登壇者のAngel(Marotoさん)とボランティアの森野さんという非英語圏の3人で話しているときに、どこで英語を習ったかという話題になりました。 英語圏での生活体験があった2人に対して、そういえばわたしは完全ドメスティックな体験しかないことに気づきました。 海外カンファレンスに行くようになってから上達した、というかインチキ英語でも臆せず発言する度胸がついた気がします。 来年はもっとがんばるぞ。
ちなみにAngelはスペイン人なのですが、スペインのカンファレンスもスペイン語ばかりで英語セッションをやるのは自分ぐらいでみんな英語を避けたがる、もっと英語話者と交流してほしいのにねーという話で共感しあいました。 英語を母語としない国はどこも似ているんだなぁ。 ちなみにスペイン語と英語は語順が同じだから1:1で訳せるのかと思ったら、やはり表現が異なるので全然そうもいかないらしいです。
そうはいっても、同じようにボヤいていた5年前と比べて実に多くの人たちが英語を忌避せずコミュニケーションしていて、とても頼もしかったです。 過去にRSGTに海外から参加した人たちが各国のコミュニティでRSGTをよく言ってくれていて、その評判がじわじわ伝わっているように思います。 今回はScrum Allianceのエグゼクティブやボードメンバーも12名参加していたのですが、とても関心して興味を持っているようでした。
事前のメールやりとりなどは生成AIにずいぶん助けられました。 非常に知的で理路整然としたメールを送っていた人が、実際に会ってみると「コニチワ」みたいな感じだったのは面白かったことでしょう。
English Speakers' Dinner
恒例になりつつある英語話者のための英語ディナーをDay2の夜に開催しました。 登壇者に限らず、一般参加者やスタッフも含めて、英語で喋りたい人たちが集まる公用語が英語のディナーです。
参加者募集はサインアップボード方式にしました。 これは、RSGT同様にわいわいした雰囲気を持つらしいAgile Testing Daysの飲み会がそういう方式で行われていてとてもよいとてっぺーちゃんに聞いたからです。 幹事が場所を確保したら時間や予算や人数を提示して壁に貼り、参加したい人がサインアップしていくという方式です。 connpassで募集をかけている参加者の自発的な飲み会も見つけました。 サインアップボードも活用してもらって、こんな動きが増えていくといいですね。*3
最終的に、寄せ書きみたいでカッコよくなりました!


そのあとは半ば恒例化しつつある英語カラオケ、今年はJeff Pattonの "Fight for your right" (Beastie Boys, 1986) で開幕しました。 当然サビは全員で拳を突き上げてシンガロングです。 その後も御大がRamonesだのBlondieだのブチ込むのでpunk好きの血が騒いでしまいました。 ちなみにChris LucianはCreepy Nutsに挑戦して散っていました。そりゃそうやろw
カラオケ店の設備とサービスに問題があり、会計時に "Fight for our right" してしまったのはよい思い出になりました。 あースッキリした。

Day4
海外から参加して日本に残っている人たちを非公式にディナーに招待しました。 わたしもそうなのですが、旅行者の行くところじゃなくて、ローカルのガイドがいないと行けないお店とかに連れて行ってほしいんですよね。
Jeff Pattonの音楽の嗜好と合致するところがあり、日本の中でもかなりオブスキュアな案内をしました。 結果、共に寄稿している『スクラム実践者が知るべき97のこと』(日本版)にもらったサインがこれです。

『ユーザーストーリーマッピング』の扉に長文のメッセージを添えてサインをもらっている人たちは見かけましたが、波長の一味違うメッセージをもらってしまいました。 やったね!

運営のチーミング
ボランティアの人がたくさんブログを書いてくれているので、ぜひ読んでみてください。
スクラム
スクラムとは?という感じですが、こんなところがスクラムを体現しているなーと思っています。
- 会の成功という強いコアの周りに人が集まっている
- やらなきゃいけないことのリストがない
- やるべきことのリストはある
- 誰も "全体" に対する進捗がどれぐらいかなどと言っていない
- 誰も "稼働率" とか "平準化" とか言っていない
- 誰が何をやっているのかを把握している人はいない
- 誰が何をやっているのかは誰かがなんとなく知っている
- 誰が何をするか制御したり指揮命令している人はどこにもいない
- 役割は固定されておらずその時々でリードしたり説明責任を果たす人がいる
- 終わったことはすぐリリースされ認知される
- 問題は芽のうちに摘むため致命的な問題として発現することがほぼない
- 問題の芽が見つかると誰が解決したかわからないが解決されたことが認識されすぐに忘れられる
- 誰もがするべきことをしている自信がある
- 何をしても否定も批判もされない
- すぐ尊敬される
- 情報がメッシュのように同期されていてチームという有機体に投げ掛ければ答えが得られる
- 結果としてやるべきことが実現されている
- 結果として実現されないことがあっても、それはそれである
- このチームでやれば次もうまくいくという確信が強く持てている
ダイナミックリチーミング
RSGT2024ではダイナミックリチーミングについての基調講演がありましたね。その観点で運営を眺めてみます。
部屋担当になる当日ボランティアには事前にどのセッションを聞きたいかアンケートをとり、実行委員がおおよそのシフト表を作ります。
当日仕事や用事が急に入ることもあるでしょうから、あとは臨機応変にお互いに都合しあってもらいます。
そのほかにカメラやコーチズクリニック、オンライン担当、Zoom配信、受付、外部業者との連携などがあるのですが、いつの間にかふわっと決まり、あとは流れでやっています。
チームトポロジー
チームトポロジー風に言うと、運営というストリームアラインドチームを支えてくれるコンプリケイテッドサブシステムチーム、イネイブリングチーム、プラットフォームチームがいます。 以下の方々にお世話になりました!
- コンプリケイテッドサブシステムチーム
- イネイブリングチーム
- オンライン日英通訳のISSさん
- 現地日英通訳のSethさん
- 文字起こしのカプセルアシストさん
- 手話通訳の東京手話通訳等派遣センターさん
- プラットフォームチーム
- 会場のソラシティカンファレンスセンターの皆さん
とくに会場のソラシティさんは、大崎から移って6回開催してきて次回は場所を移すこともあり、小学校卒業ぐらいの感慨がありました。
代表も涙ぐんでいらしたとのことで、よい関係性を築けたことを大変嬉しく思います。
Agile PBL祭りなど、また別のイベントが成長してここを使えるぐらいになるといいなと思います。
この場を借りてお礼を申し上げます。
次回はチームの安定を第一に据え、会場以外のチーム体制は変えずに新たな場所で成果を出したいと思います。

「対話したいわ」
英語をもっとがんばろういう気持ちををさらに強くしたのは、2019年にマレーシアで行われたこのリトリートに参加してからでした。
右下にRSGT2025で「Cowtopia」というワークショップをやってくれたMichaelもいますね。
この時にリトリートに参加していた仲間のShivaが年明けに亡くなりました。奇しくも私の誕生日でした。 言葉の壁を越えて深い議論をするのが難しく彼にイライラをぶつけられるわたしを、周りの人たちが庇ってくれました。 亡くなった彼も含めてこの時の出会いが今につながっています。 RSGT2025に参加してくれた国外参加者の何人かはこの時の縁でつながっているのです。
前回のRSGT2024では、15年以上前、わたしにアジャイル開発を教えてくれた第一の師である中佐藤麻記子さんの訃報に接し悲しみに暮れました。 追悼セッションもありましたね。 人と会う一瞬一瞬を大事にしていきたいなーと思いを新たにしたときにふと浮かんだギャグは「対話したいわ」でした。
対話したいわ。
対話してもいいよって人はぜひお声がけください。
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

余談:Day5
秩父宮ラグビー場で行われた、NTTジャパンラグビーリーグワン 2024-25 DIVISION1 第4節「東京サントリーサンゴリアス vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ」の試合を見に行きました。 今期1勝もあげていないホームチームが終盤で追いつきコンバージョンを決めれば逆転初勝利という激アツ展開の試合で、とっても楽しかったです。 アジャイルの文脈でスクラムについての知見が深まることはとくにありませんでした。
