現在、大阪の心斎橋で三宅乱丈さんの漫画「イムリ」の原画展が開催中です(開催期間:6/7~7/6、水曜木曜は定休日)。
先日、いつも参加しているWebラジオに「好きな漫画を応援する方法って何がありますか?」という問い合わせが来たので、「原画展を開催する」という答えをして「そんな普通はできないことを言うな」という感じになったのですが、僕は今実際にそれをやっています。
この文章ではそれを実現させるための方法について書きますが、おそらく誰の参考にもならないでしょう。
「イムリ」は僕の人生においても重要な漫画で、この漫画で描かれていたことに生き方への影響を受けています。「イムリ」は累計100万部以上売れている漫画ですが、僕の感覚ではその面白さに対してまだまだ全然少なく、もっともっと読まれるべき漫画だと思うので、ほんの少しでもいいので読む人に増えてもらいたいと思っています。
なので、既に読んでいる人にその話をする機会を得て貰うためにもと思い、原画展を開催することにしました。
実現に際してのポイントは2つあります。「場所と仲間」、そして「許可」です。
場所と仲間は、大阪の心斎橋に昨年オープンしたばかりの画廊、ベアトラップギャラリーに客として訪問したところで、原画展の企画提案をするチャンスを貰えたことで解決しました。それなりの期間の開催を行うには、僕自身の稼働では実現不可能です。ベアトラップギャラリーのノウハウがあり機動的に動いてくれる有能な皆さんの協力が得られなければ今回の開催は絶対に不可能であったでしょう。
許可は、昨年、札幌まで三宅乱丈さんのサイン会に参加しに行ったときに、同じコミックビームで描いているよしみで連絡先を交換させて貰えたことにより、かなりスムーズに進みました。さらには、現在担当編集さんが同じなので、編集部に話を通すのも早かったです。
この2つがクリアできたことで、「イムリの原画展を開催できる」ということになりました。
本原画展の企画コンセプトは「僕が見たいものは皆も見たいだろう」というファン目線の原画展です。まずはファンの皆さんに喜んで貰いたい。でも、ファンのみの楽しみで終わると広がりがないので、初めて見る人にもお話の流れが分かるような展示にしたいと思いました。
そこで、前期展示は宿命編と題し、主人公のデュルクとその双子のミューバがどのような宿命に翻弄されていったかの物語を感じられる展示にし、後期展示は群像編と題し、その周辺に存在した様々な立場の様々な人たちの生き様を感じられる展示というコンセプトにしました。
展示される原画は全体からするとごく一部ですが、そこで物語の流れが感じられるような圧縮を行うことを考えています。
原画は100枚程度、カラー原画は単行本の表紙だけでなく雑誌の表紙に使った絵も全てお借りしています。本当はこの何倍も原画を借りて展示したかったのですが、展示スペースが限られているため、血の涙を流す気持ちで厳選していきました。
それを札幌の三宅乱丈さんの仕事場まで行き、一枚一枚確認しながらお借りしてきました。これが本原画展の裏の目的で、漫画家と企画者であることをいいことに、展示されないものも含めて、見たいものを見たいだけ見てくることができました。しかも三宅乱丈さんと丸二日お話をしながら。この時点で自分への報酬はプライスレスに入ったので、自分自身に対してはコスパが良すぎる企画です。
さて、今回の展示の大きな目玉は、門外不出の設定ノートを展示してもいいと三宅さんに許可をもらったことです。NHKの漫勉でイムリの執筆風景が放送されたときに、チラ見せされていたノートです。僕はそれを見たときから、「これの中身を見てみたい」という欲望を抱えており、その欲望を叶えること、そして、イムリのファンなら同じ気持ちだろうという思い込みのもと、他のファンの皆さんにも見れる機会を作りたい!と思いました。
三宅さんが言うには、設定ノートは人に見せるようのものではないとのことでしたが、札幌までやってきた僕の熱心な頼みにより、「ピエール手塚がそこまで言うのなら…」という感じに許可を出してくれました。そして、その抜粋をグッズにしてもいい許可も貰いました。
最終判断をする人の許可を得られているので、あとは筋を通していくだけです。幸い、窓口は担当さんですし、ベアトラップギャラリーの人たちは過去、コミックビーム編集部とグッズ作成のやりとりをしたこともあり、そこをお任せすることができたのは幸運でした。
さらにはベアトラップギャラリーのデザイナーさんはとても腕がよく、僕の曖昧な希望を汲み取って、いっぱつでいい感じのグッズデザインを出してくれます。僕の役割はコンセプトや名前を決めて、あとは出てきたデザインに喜ぶだけで済みました。
僕は関東住まいなので、展示されたものを写真で送ってもらい、実際に額装されて展示された原画の並べ方について意見を出して、無事会期を迎えることができました。
先週、大阪まで行ってきましたが、僕が選んだものと、あと会場の一部に僕の漫画の展示コーナーとグッズがあるので、自分の頭の中をギャラリーに再現できたようで実際に見ると、嬉しすぎてヤバかったです。
ただ、本番はここからです。少人数で開催されている小規模な原画展です。内容は好きな人は喜んで貰えると思いますし、ここでしか見れないものが展示できたという満足感もあります。しかし、それをより多くの人に見てもらえなければ意味がありません。
なので、この文章も少しでも多くの人に原画展の開催情報が伝わればと思って書いています。
自己満足だけのために始めたわけではないので、会期終了まで人に知ってもらい、一人でも多くの人に見て貰うこと、そこからイムリの話をしたり、新たに読んで貰ったりすること、原画展は入場無料なので、グッズを買って貰ってギャラリーにとってもメリットがあるものとして終わることなど、まだまだ様々あります。
これを読んでいるアナタ!実際に原画展に足を運んでみませんか?もしくは、グッズ通販を利用してみてはいかがでしょうか?グッズ通販は基本会期終了後になりますが、設定ノートを抜粋した冊子「古代ルーン秘録」は地理的に来れない人でも欲しい人が多いだろうと思い、既に買えるようになっています。よろしくお願いします!!
最後にまとめると、好きな漫画の原画展を開催したいと思ったら、原画展を開催するための仲間を得ること、そして、その作者に許可をとることがまず必要です。
僕は日頃から漫画の原画展に足を運び続けるオタクで、その作者と同じ雑誌で連載している漫画家であるという立場からそれらの条件をクリアしました。なので参考にならないと思いますが、手段は違っても同じ効果のあることができればできることではあると思います。
さあ、皆さんも好きな漫画の原画展を開催してみましょう!!