以下の内容はhttps://mgkkk.hatenablog.com/entry/2024/10/09/210812より取得しました。


「あらくれお嬢様はもんもんしている」を最新話まで読もう関連

 皆さんは、あらもんを読んでいますか?あらもんとは「あらくれお嬢様はもんもんしている」という漫画のことです。今めちゃくちゃアツい漫画だと思っているので、その話をします。

 

comic-days.com

 

 この漫画は、あらくれお嬢様こと口無椿さんと、風紀委員の起立匡史くんのもんもんラブコメ漫画です。椿さんは自分にセクハラをしてきた男を退学に追い込むなどをしていた理事長の孫娘で、起立くんはそんな椿さんの色仕掛けには乗らない生真面目過ぎる男です。

 この物語は、そんな起立くんのことを椿さんが好きになってしまう物語で、椿さんの起立くんに向ける性欲が空回りしてもんもんしてしまう、というようなお話です。

 

 起立くんにも性欲はあって、そこには少々特殊な癖もありますが、そんな欲求を自分は風紀委員として正しくあるべきだという信念によって色仕掛けには引っかからずにコントロールしようとしています。

 この物語は、ラブコメ的なよくある構図を用いながらも、それがフェアであるかどうか?であったり、そこにある歪さに対する目線を持つ誠実さがあり、そして、バカみたいでエッチで楽しく、泣いたり笑ったりできるお話です。

 

 さて、この物語では、自分本位な勘違いと空回りを繰り返していた椿さんが、自分のこれまでの色仕掛けや嫉妬による嫌がらせ行為の愚かさを自覚し、起立くんへの謝罪とともに好きだという告白をし、そして、起立くんもとっくに椿さんを好きになっていたという自分の気持ちを素直に表現することができたため、二人は付き合うことになります。

 

 でも、付き合ったら終わりではありません。ここにまだ残るのは非対称性です。椿さんはエッチなことをすごくしたくてたまらないのですが、起立くんはそんな風紀が乱れることをしてはならないと思っています。前述のように起立くんにも性欲はあり、あるからこそ、それを強く自覚してコントロールしようとするのです。付き合い始めた2人の物語は、エッチなことに対する両者のすれ違いの領域に入っていきます。

 

 この物語の根本の建て付けには、男女の性の非対称性があると思います。世の中において男の性が「求める性」であり、女の性は「求められる性」であると捉えられがち、という非対称性です。つまり、男側には女側の意思に関わらず性的に求める加害性があり、女側は男側に加害的に求められるためにそれを被害と捉え得る、というようなものです。

 この物語は、そもそものそれを逆手にとり、女側が男側を性的に求めることは今はまだ加害的だとは思われにくい、なぜなら、男側はそれを喜ぶものなので…ということを利用したコメディです。つまり、その背後には、女から男へのセクハラは今は許されがちだが、本当に許されるべきものなのか?という問いと、同時に男が女を性的に求めることは、ただ加害的とだけ言っていいのだろうか?という問いも隠れているのではないかと思います。

 

 ややこしいことを書きましたが、そもそもの話この物語は、性をテーマにしたコメディとして可愛いし楽しいし面白いんですよね。そして、その面白さには、かつては男⇒女で気軽に描かれていたセクハラ的なものと通じる表現も多く、そして、そういった男から女に向けたセクハラ的要素の含まれたコメディは、現代の倫理観では楽しみにくいものになっています。

 僕も子供の頃は特に気にしなかったセクハラ的な話を読み返すと、今の自分が持ち合わせている観点では無邪気に楽しめないな、と思ってしまうことも多いです。今は価値観の過渡期な気がするんですよね。

 

 さて、そんな中、今週無料公開された連載の話では、「男の性は加害的である」という話におけるひとつの節目が描かれていると思います。ここから未読の人に対するネタバレが含まれるので、物語をまず楽しみたい人は今から読んできてください。1巻から6巻までを読み、単話売りを買って最新まで追い付いてください。

 

 読みましたか?では続けます。

 

 起立くんは自分の中にある性の部分を「加害的なもの」と捉え、嫌悪の対象としています。そこには、椿さんが抱える男性嫌悪を知っているからということも関係しているでしょう。椿さんは多くの男たちに性の対象としての目を向けられてきたことを嫌悪してきました。そんな椿さんが自分を好きだと言ってくれたのは、自分が風紀を重んじる人間であって、性的な対象として彼女を見ないことがその理由だある、と起立くんは思い込んでいます。

 確かにそれ自体はひとつの事実だと思いますし、椿さんが起立くんを他の男たちとは違うと思えたことにはそうであった部分があると思います。

 しかし、その事実が起立くんを縛ります。自分が椿さんに対して感じてしまう性欲は、彼女が嫌悪したもので、自分はそんなものを抱えているやつらとは違うと思ってたはずなのに、結局のところ自分だって同じだと思い知らされてしまうからです。

 

 そうなれば、自分の持っていたはずの「好きな女の子に性的な目線を向けない」という良さが、棄損され反転して自分を責め立ててきます。だから、起立くんにとって、椿さんに性的な接触をすることは、自分自身を追い詰めてしまうものとなってしまいます。そのせいで起立くんは、椿さんに積極的に接触をすることができません。

 

 一方、逆に椿さんは、もっとエッチなことをしたいと思ってもんもんしています。

 

 起立くんは、椿さんに好かれ続けたいとおもうからこそ、自分は下劣な男たちとは違う人間だと示したいために、自分自身の抱える性欲の表出を抑えよう抑えようと思います。そのために努力をします。しかし、45話のラストを読みましたか?

 椿さんをハグしたときに起立くんは勃起しちゃうんですよね。「勃起をする」ということがこんなにも悲しいことってあるか??と思って、読みながらうめき声をあげてしまいました。

 

 それは、起立くんの主観において、自分の性欲に対する敗北で、自分が嫌悪してきた男たちと自分は同じであるという悲しみで、そしてこんな自分は椿さんに嫌われてしまうだろうという恐怖です。

 自分の理性が至った正しいことを体現することができない自分自身のなさけなさと、結局肉体の持つ性欲を、自分には制御できなかったという無力感がそこにあるのだと思います。そうなってしまった、それを椿さんに気づかれてしまった起立くんの気持ちを強く考えてしまいます。

 

 でも幸い、起立くんは自分をそんなに責めることはないよ!!!となっていくお話だと思うので、これはたぶん良いきっかけの出来事になるとも思うんですよね。

 

 さらに安心なことに、単行本の巻末オマケでは、結婚していちゃついている二人が描かれているため、この二人の関係は将来的には盤石であるということも示されているわけですし、そもそも椿さん側は性欲がずっと出ているので、お互い様だし、それを相互に受け入れられる関係性も作っているだろうと思うので、でもこの二人の揺れ動く気持ちがどのように揺れ動いていくのかということに目が離せません!!

 46話前編の先読みをしましたが、先読みもめっちゃいいところで終わるので皆さんも先読みしてもんもんしましょう。

 

 「男の性欲は加害的である」ということについては、実際それが加害に結び付くことがあるので、事実を含んでいると思います。

 一方で、性欲が互いの関係性の中で、加害以外の役割を果たしていることもあるはずです。だから、「あらゆる性欲が加害的である」と考えるのは、とても大雑把な捉え方なのではないかと思っています。性欲の何がどのようになると加害的で、何がどのようになればそうではないのかについて、もっと分け入って踏み込んだ考えがあるのではないか?と僕が感じているため、あらもんはそういう領域の話をしてくれていて面白いなと思っています(僕が勝手にそういう話だと思い込んでいるだけかもしれませんが…)。

 

 小難しいことを書きましたが、僕は起立くんが苦しんでいることに対してかなり気持ちを寄せており、椿さんも起立くんも、自分の抱えている欲求の空回りで笑える状況になったり苦しんだり悲しんだりしている様子を見ながらも、それがどこかの落ち着く場所に辿り着くことを願っていて、だから次の更新が楽しみだなと思っています。

 

 なので、みんなも読もう!!

 

 あと恋愛感情と加害性というテーマは自分の中に前からあって、読み切り漫画も描いているので、よかったらこっちも読んでみてください。

shonenjumpplus.com

 




以上の内容はhttps://mgkkk.hatenablog.com/entry/2024/10/09/210812より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14