以下の内容はhttps://memushiri.hatenablog.com/より取得しました。


重要な夢の競演のお知らせ。

どうも、こんばんは。
それはともかく、アイドルファンは重要なお知らせという言葉を、お笑いファンは夢の共演という言葉に苦い思い出を持つといいますが、当ブログより重要な夢の競演のお知らせがあります。
「俺だって日藝中退したかった」というブログをしばらく書いていたのですが、特に、コラムの執筆依頼が来ることもなく、売れる気配がないので、本にして売ることにしました。いわゆる、同人誌ですね。

ラインナップは


(1)君は『Qさま!!』での吉木りさを目撃したか。
(2)「2013年のラジオたち、これからすごいことになるぜ」
(3)中国人の罠にひっかかった話と、お金の話。
(4)『泣くな、はらちゃん』は一話が100点
(5)深夜に届いたラブレター
(6)ここは忙しいけど、迎えに行くぜ。
(7)妻の名は希望
(8)『超落語!立川談笑落語全集』は悪書である。
(9)頭をデザインする番組『考えるカラス
(10)伊集院光の「同窓会に行った話」
(11)コサキンが『ウチくる!?』DEワァオ!
(12)3本の漫才
(13)アルピーだって決勝行きたかった。
(14)『ダイノジ大谷のANNR』〜ぼくがブロガーになった理由〜
(15)お笑い界のPerfumeを見に行ったら、ももクロに会えた。
(16)種市死ね
(17)いつも心に加藤浩次を。
(18)ボクらの想像力の時代
(19)テレビを体感する番組『リアル脱出ゲームTV』
(20)政見放送かと思ったら、長井秀和の漫談でした。
(21)僕達は「恋するフォーチュンクッキー」が名曲だということと、指原莉乃のアイドルとしての正しさを混同すべきではない。
(22)くりぃむしちゅー上田の天下取り宣言
(23)『安堂ロイド』は電波豚ブーブくんの夢を見るか
(24)古美門研介の捲土重来を期せよ。
(25)グランジ遠山の、見る前に跳べの精神
(26)深夜ラジオ流行語大賞13&ベストラジオ13
(27)死にたい死にたいって言いながら生きていくからな、ずっと。
(28)異形のコント師日本エレキテル連合
(29)それぞれの「実存のゼロ地点」
(30)小説を応用するために、筒井康隆『創作の極意と掟』を読もう。
(31)JAPANESE PARTYバスツアー日誌『愛の渦』
(32)三四郎の、オルタナ漫才絶対頑張ります!
(33)スポットライトの中に立っていてね。
(34)「愛は愛でいつかどこかにたどり着くさ」


以上の34本です。
全部で10万字くらいあります。元記事は、ブログの中にありますが、かなりの加筆修正を加えました。自分でいうのもなんですが、かなり読み応えはあると思います。ほとんどが、上記のタイトルで、このブログに散らばっているので、気になる方は、読んでみてください。もし面白いと感じてもらえれば、今回の本は満足してもらえると思います。2011年から2014年上半期までのテレビラジオの感想と、年齢分の業を詰め込みました。
よろしくお願いします。


☆『俺だって日藝中退したかった』通信販売の流れ

①BOOTHでの購入

(1)下記サイトをご確認ください。送料の分、直接購入より高くなっています。また、送り主にも住所が分からないようになっております。

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ツイッターやっています。
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サンプルです。

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M-1グランプリ2025感想「今年のM-1が、めちゃくちゃええですねな大会だった理由」

 本題から入りましょう。いつまでお正月気分でいるわけにもいきませんのでね。M-1グランプリ2025でかけられたネタの感想と、好きなくだりたちです。

 

1組目:ヤーレンズ

 恥ずかしながら、決勝3回目にして初めての漫才コントではないという指摘がなされているのを見て、確かにと膝を打ってしまったわけだが、気づいていましたよ感を全面に出して話を始めよう。漫才コントは、コントでもある以上、そこから降りることが出来ない。反して、しゃべくりであれば、出入りが自由となる。この制度上の縛りがなくなったからなのか、今年のヤーレンズは肩の力が抜けているようにも思わせながらも、一点のミスも生じていないように思わされるネタだった。それでいて、どこまでも、軽く、意味がない。

 そのことが、今大会の全体的な点数の高さ、楽しさを一気に運命づけたと言っても過言ではない。

 つまりは、言うことなし、なわけなので、揚げ足を取るかのように、ネタに組み込まれた客いいじりについて考えてみたい。

 ヤーレンズの二人の掛け合いは、それぞが好き勝手に喋っているにも関わらずたまたま会話が成立しているような、アルゴリズム体操のような美しさを感じる瞬間があるが、その反面、あまりにネタを繰(く)っている、二人で完結していると思わされる瞬間、つまりは観客不要のゾーンに入ってしまう危険性を孕んでいる。例えば、盗み聞きしているという心持ちで聞いているのが一番正しいミルクボーイの漫才については、観客不要のゾーンに入った方が面白い。ではなぜ、ヤーレンズにおいて、観客不要なゾーンに入ってしまうとあまり良くないのか、台本をなぞっているように思えてしまうかというと、それは二人の声が楽しすぎるからに他ならない。ミルクボーイの漫才は、二人とも声が低めで、ボソついているから良いのである。

 今回の客いじりは、この弱点を補完するためではないかと思案する。客いじりをもって、舞台の奥行きを演出していたのではないか。事実、上手側の今田耕司、下手側の海原ともこ、そして客席側と、全方向へのいじりが挟まれている。これはもう戦略だと言っても良いだろう。これ自体は、だから何なんだという気づきに由来する与太考察なのだけれど、そこまで緻密に構成が考えられているわけである。おそらく、構成とボケの配置については、今大会で一番練られていると言って良いにも関わらず、あの軽さを醸し出し続ける凄すぎないか。会話が流れるように流れていくわけである。だから、ヤーレンズは自分たちのことを乱れ打ちと述べていたが、決して、乱れてはいない。エンドレス・ウザではある。

 配置で言えば、楢原が「アンガーマネジメント」と怒鳴りながら出位の胸ぐらを掴んで揺するくだりは、その唐突さに一番笑ったのだけれど、まさか、あの脈絡なく入れられていた、2回挟み込まれた楢原の「まずは、ありがとう」はもしかしたら、アンガーマネジメントだったのではないのか。そう考えると、唐突に、アンガーマネジメントとキレた理由も分かってくる。そうだとしたら、恐るべし配置である。

 そのほかにも、日英同盟により破棄されるまで80年以上続いた「栄光の孤立」と、鉄の女と呼ばれるマーガレット・サッチャーによるサッチャリズムにおける小さな政府と、獅子舞の後ろをやることが決まっている母親、本国初の女性首相を産み出すために暗躍していたとされる麻生太郎、これらが42歳で独身である楢原の口から溢れることに、何らかの政治的メタファーを見出したいところではあるが、アルゴレリズム体操における「パッチンパッチン、ガシンガシン」くらい、そこには何の意味もないのである。

 本当に、今大会の満足度は、ヤーレンズの大手柄に他ならない。

 好きなくだりは、「決めつけの刃じゃないですか」からの「見たことなさそうです」、「栄光の孤立ってやつなんですけど」からの「19世紀イギリスじゃねえかよ」、「心の声、麻生太郎じゃん」、「ポカリ飲んだら茶柱たってた」からの「ゴミだよ、じゃあ」、「アンガーマネジメント」。

 

 

2組目:めぞん

 良いところを挙げていくと、初見で、やっていることや言っていることが全て分かるという意味において、ダレることのない構成、サンボマスター山口の「行きますよぉ」のイントネーションを完コピ、笑い飯哲夫に褒められる立ち姿と、オーソドックスな漫才の技術だけで言えば、今大会ファイナリストの中では一番高いだろう。このままいけば、一生食いっぱぐれることがない漫才師となるコンビだろうということが容易に想像がつく。そのくらい、早口で捲し立てるところなども聞き漏らすことのないほどの滑舌の良さ、緩急の付け方などが基礎がしっかりしている。技術だけで言えば、間違いなく、M-1グランプリの出場資格を有する漫才師の中では5本の指に入るだろう。そのくらい、国民的な漫才師の萌芽を感じさせる。では何故、点数が伸びなかったのかを考えてみたい。

 大方の意見としては、歌ネタだからという意見が出てくるだろう。確かに、サンボマスターの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を出してくるのは、3月に同期と一緒にライブに行くためにこの1ヶ月ほど聞き込みをしていた自分にとっても、やはり安直な選曲であり、意外性はそこまで無い、という印象は否めない、ちょっと厳しい選曲ではある。そこに加えて、10秒以上歌ってしまうと、めぞんの漫才のBPMと、楽曲のBPMのズレが目立って、中弛みをする印象を与えてしまう。歌ネタがインフルエンサー夫婦の離婚くらい軽視されているということを差し置いても、ただ、ここまで点数が伸びなかったのは、それだけの理由ではないように思えるか。もう少し、別の角度から考えてみたい。

 ネタの大枠をおさらいすると、こうだ。

 女友達に彼氏のふりをしてと頼まれて面倒くさがる原に対して、初手から、本当に面倒くさいと吉野は訝しむ。「ミキのことを女として見てないから」という原の言葉に対しても「強がらないで」と吉野は食い下がるが、本当に強がっていないということが分かってくると、ミキが本当は原のことを好きなのではないかという方向で攻めていく。そこから実は、原はミキに一度告白するも振られているということが発覚する。

 このネタにおいて、いまいち乗り切ることが出来なかったのは、ミキの不在ではないだろうか。いまいち、ミキがどういう女性なのかが分からないため、ドラマに奥行きがないのである。加えて、吉野があまり女性と縁がなかったことを「最後にできた女友達が小六の頃に男子に混ざって遊戯王カードやってくれてた高田さんで終わっている俺への当てつけ?」だけで処理されているため、吉野が原に食い下がる動機が見当たらないのである。

 このネタの重大な欠陥は、歌に重きを置いたことではなく、観客がドラマに没入する理由がないことにある。

 女性が「ミキ」というM-1グランプリにおいて、漫才師を想起してしまうことにも気になった。よっぽどの意味が無ければ、普通であれば避けるべきである。Twitterにて、本人たちがミキじゃないと気持ちが乗らなかったと話していたが、脚本が良ければ名前は何だってよくなるはずだろうって思ってしまう。もしくは、吉野か原のどちらかが、ミキという女性に何かしらの思い入れがあるのであればそのエピソードを落とし込んだ方がいい。たとえば、高田さんとのほぼ実話であり、その名前がミキだったから、ミキという名前に固執しているということであれば、吉野を逃さないことにそれなりの整合性が生じる。

 過去の大会のアキナにおけるネタでもそうだが、M-1グランプリにおいて、恋愛ネタそのものはかなり難しいということが分かってくる。なぜなら、恋愛話について感情移入させるためには、話者のキャラクターを認識してもらう必要があるのだが、限られた4分程度では、かなり難易度が高い。かつ、年齢に合っていないといけないなどその他にも色々とクリアしないといけないハードルが多い。また、昨今の、他者の恋愛というコンテンツ自体が、恋愛リアリティーショーにおけるドラスティックな展開を望む視聴者と、恋愛に興味がないと言われている若者などの視聴者という、恋愛における価値観の二極化が指摘されている状態にあるため、もはや万人受けする素材ではなくなっているとも考えられる。

 実は、恋愛ネタは、タイムパフォーマンスも、コストパフォーマンスもかなり悪くなっているのではないか。封印すべきは、歌ネタではなく、恋愛ネタである。

 最後に、めぞんの漫才の技術はとんでもないので、本当に、次こそはインフルエンサーの脱税くらい色めくネタによって、捲土重来を期す。

 好きなくだりは、紹介VTRにおけるエントリーNo.953時代の吉野のルックからのエレファントカシマシの宮本風を経ての若い頃の町田康みたいな現在、「女として見てないから」に対する「出た最悪な言葉!女として見てない、女と思ってない、いやいや、お前が女と思ってるか関係なく、その子は女の子だから、神様でさえ人の性別を決められないこの時代に、人の性別を勝手に決めるなよ」、漫才終わりお辞儀もせず逃げるようにハケていく吉野、「歌とかで終わるの、今後やめようと思います」。

 

 

3組目:カナメストーン(敗者復活組)

 「あぁー、それはかなり、ダサいんじゃないかなぁーっと。」、「みんなと仲良くやるんだよ、カナメストーンのメンバーだったらぁー」、「イィーア」、「ねぇ、やめてよ、時をかける少女でバカにしてくるの」、「そりゃ出るだろ、オレの中の仲間由紀恵も」、「やめて、その一番興奮した時に出る音」、「なんでお前のお手製の回転扉味合わせたら、機嫌直ると思ったんだ」。

 何周も繰り返されたやり取りの中で産まれてきたようなカナメストーンの笑いからは、東京のライブシーンの良くない匂いがする。そりゃあ、このアクの強さは、ちょっと正攻法では、ここには上がってこれないよと、訳知り顔で苦笑せずにはいられない。とはいえ、捩じ込まれたのだから、こっちのもんである。カナメストーンの漫才は、漫才の現在地を示す今大会にとって必要だったのだろう。少なくとも、敗者復活戦の審査員たちは、異次元レベルの漫才を披露していたミキよりも、乱数としてのカナメストーンを決勝の舞台に押し出した。

 ネタの話に戻ろう。

 カナメストーンの漫才は、基本的には、山口が零士をおちょくっているという構図になっている。「ダーツの旅のロケに行った時、村人と仲良くなれる自信がない」という本当はそんなこと思っていないだろうという設定も、山口が零士を熱くさせておいて失敗を誘うためにやっていると措定した場合、そこでまず、嘘が無くなる。その後も、どれだけリアリティのない展開が繰り広げられても、あくまで山口が零士をいじって楽しんでいるという、中学からのやり取りの延長線上に位置することになる。中川家の礼二が言う、「設定、なんでもいける」というのはそう言うことではないだろうか。この、嘘が絶対存在しないというシステムは、漫才として無敵なんですよね。からかい上手の山口さん。違約金払いの永野さん。

 また、博多華丸の博多大吉は「内容のグロテスクさ」と、「にも関わらず笑える」と講評していたが、これもまた、敗者復活戦でのネコニスズの「ママはいずれ死ぬ」のような観客に、あえて嫌な気持ちにさせるものとは違って、山口が零士の失敗を誘うためだけに向けられたものであることに起因しているからだろう。加えて、感覚的なことを言えば、どこまで言っても、二人の漫才は、ピュアネスに由来するコロコロコミック連載のギャグ漫画チックであり、ずっと、部室の、教室の端っこのノリが続いている。だからずっと、カナメストーンはYOU ARE (NOT) ALONEであり、だからこそ、ツカミに敗者復活戦のメンバーを連れてきて、ネタ中に観客とともに零士を攻め立てた。カナメストーンの漫才を見ることは、鹿嶋市立鹿島中学校のサッカー部に入部することと同義なのかもしれない。

 おそらく、今大会で、初めてカナメストーンを見た人は、あまりハマらなかった人の方が多いと直感的に思う。実際、熱心なカナメストーンのファンというわけではないため、そこまで多くは知らないが、「俺の中の仲間由紀恵が」、「時をかける少女」、「観客を味方につける」、回転ドアというカナメストーンによる独自のくだりは、もっと面白いものがあるということが容易に想像がつく。そこまで熱心なカナメストーンの漫才を見ているわけではない自分でも、絶対にもっといいネタがあるだろうとは思わずにはいられなかった。実際、敗者復活で見せていた最高傑作の「手のM-1」だけはどうしても決勝の舞台に持ってきてほしかった。「手のTHE SECOND」が楽しみだ。

 好きなくだりは、テレビで見たことないことを指摘されて泣いてしまう零士、村人にクワが刺さったことに対する「事故だったんだよ」というやけにリアルな弁明、3回見た時のワイプの所ジョージがVTRを見ずに恐らくスタジオにいる若手芸人のじゃない方扱いされがちな方にアメカジをプレゼントしてているところ、フットボールアワー後藤がリリースした「高低差ありすぎて耳キーンなるわ」の新作「声高すぎて日本中のイルカこっち向いた」を聞いた零士の「やばっ」と爆笑して、ハイスクールマンザイの出演コンビがテレビで見ている面白い人にいじられた時ぐらいに、はしゃいでいたところ。

 余談だが、個人的に一番、頭の中で綺麗に絵が描けたのは、「海辺からこっちを見ているイルカ」だった。

 さて、敗者復活組ということは、多分、恒例となったあのコーナーにまいりましょう。

 もはや本家で無くなった文化、敗者復活の3組、誰に入れたかスクショを載せよ~のコーナーです。今年、選んだ三組は、イチゴ、生姜猫、豆鉄砲でした。まず、イチゴ、「こいつ声でけーかも」で心を掴まれて、めちゃくちゃ笑いました。徹頭徹尾、意味が不明。生姜猫は、「チェンソーマンの映画を見た」という話題から入って、という予想していない方向へと持っていってくれるという、技術の拙さもまだまだ微笑ましくパンクバンドの如く、沁みました。豆鉄砲は、あの出立ちで、割と理屈的な漫才を見せてくるんですが、東のあのカクカクとした動き含めて、見れば見るほど好きになっていきます。

 20世紀、「今日から俺がムーニーマン」というツカミ、最高でした。あと、木本のスタイリング、スーツと特に革靴が

 そして、新コーナー。うちの子ちゃんグランプリでは、TCクラクションが、今のところ優勝です。今の所というのは、子ども過ぎるため、少しずつしか見ていないためなのですが、ゴリラが元々好きなうちの子は、ひっくり返って笑っていましたので、これが覆ることはなさそうなので、今年はTCクラクションが優勝です。順調に育っていて何よりです。

 ちなみに期待されていたネコ二スズですが、フリの「ママはいずれ死ぬ」というワードにより、我が家では検閲されてしまいました。

 本題に戻ります。

 

 

4組目:エバース

 真面目に漫才を見ているので「人間に車の代わりになってくれ」って無理がすぎることと、さすがに脳みそが披露しかけていたタイミングで糖分が不足していたこともあって、乗り遅れてしまったまま、漫才が終わってしまったというのが本当の第一印象だった。

 この文章を書くために、何度か見直してみての感想は、やっぱり見事なネタである。ただ、あんまり、心に踏み込んでくるようなネタではなく、もしかしたら、あまり好みのネタではないのかもしれないとも思っている。客席もめちゃくちゃウケており、笑いの量で言えば、冒頭からほぼ全てのくだりで、95点近く叩き出していると言っていいほどにウケている。審査員コメントも絶賛の嵐で、結果として870点という今大会一番の点数となった。ナイツ塙の「僕の師匠の内海桂子が、漫才は言葉で絵を描きなさいって教わったんです。今までの歴代チャンピオンはみんな絵が浮かぶんですよ、でも、本当に今日は絵がどんどん浮かんできて」というのは、とりあえず、エバースの漫才への講評で出てきた言葉だということは何かに使えると思うので記録しておこう。おばあちゃんのお葬式とか、坂元裕二に憧れたのが丸わかりの脚本とかに。

 エバースの漫才は、佐々木による町田へのロジカルな追い込みが軸となる。

「町田に車をやらせる」と設定されたスタートに対して、そのゴールは「町田が車になる」、「町田が車にならない」のいずれかとなるが、基本的に観客は「町田が車になる」というルートが選択されることを望み、想定する。そのため、ネタの展開は「どう町田が追い込まれていくか」に限定されてしまうため、佐々木が町田の逃げ道を塞いでいく方法までは流石に予想出来ないにしても、「町田が徐々に納得させられていく」過程が繰り広げられるということが、設定を提示された時点が決められることになる。これは、カナメストーンのネタの構図とは真逆にあると言ってよく、自由が入り込む余地が失われているのである。これは、エバースのネタが雑談なのかという問いにも通じてくる。雑談というのは、道中の余白もゴールもないからこそ、雑談なのである。本当の雑談は雑談を目指しているのかということは哲学的な問いにもなるが、個人的にエバースの漫才にハマりきれない理由を強いてあげるとすれば、それと同様に、論理の動線の不自由さにあるのかもしれない。いや、真面目に漫才を見過ぎだろう。

 そうこう考えているうちに気がついたことが一つある。それは、エバースはブラックマヨネーズの系譜にあるのではないか、ということだ。ブラックマヨネーズのネタがあまりに完璧すぎるため、少しでも論理のぶつけ合い/攻めぎあいが始まると、ブラックマヨネーズを想起してしまう。少なくとも、復活後のM-1グランプリにおいては、いかにブラックマヨネーズの漫才のフォーマットを換骨奪胎するかが水面下で繰り広げられていた。つまり、ブラックマヨネーズじゃないですよという顔をしつつ二人で言い合いをするかということは、意識の有無を問わず、20年代の漫才における裏試練となっていた。

 吉田からのいかなる相談も「皮膚科の先生に相談をする」としてしまうというゴールが決まっているため、徒労に終わることを知りながらも小杉は、吉田の主張に代替案を提示する。吉田も「最終的には皮膚科の先生に相談すればいい」と思っているにも関わらず、小杉の代替案の穴を指摘する。そんなブラックマヨネーズが敷いたレールを、いつの間にかエバースは爆走しかけているのではないか。少なくとも、エバースとブラックマヨネーズの類似性が指摘されているのを見たことはない。

 この見立てが正しければ、誰かが言っていた、『LEON』のゲイリー・オールドマンの悪役を、あらゆる日本の若手俳優が模倣をするも、模倣にとどまっていたところ、『十三人の刺客』にて稲垣吾郎が到達したと話していたが、それに似た感動を感じる。

 エバースのネタが、本当に雑談となった時、とんでもないことになるのではないか。

 好きなくだりは、神奈川県民が言う「えのすい」、「車の免許持ってたらレンタカー借りるだろ」への町田の本気でキレかけているように聞こえる「あ?」が『アナザーストーリー』で放送されていたかなりピリついていた演技指導の賜物だとわかるくだり、「思われねーよ、実際は」、町田からジープへのアハ体験、「人として後ろに下がってんのよ」。

 注意しないといけないくだりは、レンタカーを借りた場合「わ」ナンバーとなってしまうためその時点で車を所持していないことがバレてしまうことと、「なぜならこいつを裁く法律はまだないから」と町田は言うけれど、警察は、明確に違反している法律がない不審者を逮捕する時、とりあえず、一般的に考えられる目的とは異なる目的でその場にいたとして、住居不法侵入や建造物侵入で逮捕するらしいというところ。

 

5組目:真空ジェシカ

 「もう一個上の階かと思ってた」

 ヤーレンズ評でも確認したように「舞台を大きく使う」ということは、漫才のテクニックであるが、上手側、下手側、観客側ではなく、上方にまで舞台を拡張した例は寡聞にして把握していない。ツカミ一つとっても、このクオリティであるため、もう、ボケの面白さや、真空ジェシカがどう進化しているのかは、もうここで語ることは諦めていますので悪しからず。

 「過去5年間で、初めてと言っていいくらいのツカミでのミスをしてしまっている」とスマホのメモ書きにも残していたが、2回目を見た時に、全体的にテンポは悪くなく、よく言えば、例年より伸び伸び漫才をやっていることで、前半が冗長に映っていたのかもしれない。博多華丸の博多大吉が、ネタ時間の長さを指摘していたことと、1点差で最終決戦を逃してしまったこともあって、あー、やっぱりそうか、と引っ張られてしまったのだけれど、笑い飯の哲夫が91点と一番低いんですが、コメントが振られていないので、どう思っての点数なのかが気になる。

 「負けに不思議の負けは無し」と言われるぐらいなので、ツカミから「ワクワクしてきたぁ」までの前半にある弛みとそのことでギアが入るのが遅くなっていたなど、気になった部分はいくつか挙げることができるが、そこも割愛しよう。そのくらい、真空ジェシカが好きなので。

 好きなくだりは、「車椅子テニスの選手が2連続で車のネタ引いたっ」というガクのアドリブを受けた川北が「名門のペーパードライバー講習には一流のペーパードライバーたちが集まるらしいから」と説明する間の普段なら見せないようなニヤつきを堪えている川北の顔、「栄光?」、転売疑惑への予防線を張る中川シャー子、「いや、初めましての時以外もお願いしなくてはならない」、「走るボタンを押せ」、ファントムに対して思い出が一個しかないところ、何回見てもどう考えても何にもかかっていない青しんごだったというオチのオチてなさ。

 真空ジェシカについては、優勝しても、このくらいの分量になりそうな気がします。

 

 

6組目:ヨネダ2000

 ヨネダ2000もまた、真空ジェシカの漫才と同じで、特に語ることはない。なぜなら面白すぎるし、やっていることは素人目においては、その進化や凄さが分からないからだ。でも楽しい、それだけで本当にすごい。そのため、アンタッチャブル柴田の「100万円、ドリブルで稼ぎましょうって設定で入って、あややが邪魔しにきて、でも、二人であやややっちゃって、最終的にあややがダンクしたんで、10万円もらえるってネタ」という説明以上でも以下でもない、というしかない。

 ただ、めぞんの項目で、漫才とその中に出てくるBPMとの違いから生じる、テンポのズレについて話したこともあるので、ヨネダ2000における音楽について考えてみたい。結論からいうと、ヨネダ2000は、漫才の大半に歌を組み込むということで、ある一つの偉業を達成している。

 ちなみに、AIをネギでひっぱたいてみると、松浦亜弥の「桃色片想い」のBPMは、公式情報として明確な記載は少ないですが、楽譜情報やカラオケのテンポ設定からおおよそ150BPM前後、またはそれよりやや速い150~160BPM程度と推測され、明るく軽快なJ-POPらしいテンポ感です、ということを教えてくれた。

 つまり、ヨネダ2000の漫才は、ほぼ、明るく軽快なJ-POPであるわけだが、ネタに音楽を取り込むことを飛び越えて、音楽にネタを組み込むレベルまで持っていくことで、、関東の女性二人が無理しているように見えることなく、関西の男性二人の、つまりは正統であり始祖とされている漫才のテンポにまで肩を並べているということだ。男性二人がこのBPMの漫才をする場合、得てして、言い合いが生じる刺々しいものとなってしまうが、ヨネダ2000の場合は、ハッピーなものとなっている。

 つまり、ヨネダ2000は、関東の女性コンビでありながら、関西の男性漫才コンビに比肩するほどの、テンポを獲得していることになる。当たり前だが、ヨネダ2000は、音楽にフリーライドしているわけではない。「桃色片想い」のBPMを体に叩き込むこと、ネタが音楽に飲み込まれないために練られて随所に配置された数々の笑いどころなど、そこには、どこまでもネタであろうとする強い意志に溢れている。新しいフェミニズムかと問わざるを得ない。

 構成力の高さも見逃せない。「ルールの説明と実践というチュートリアル」、「応用」、「愛が本気になる」という、三幕構成が用いられている上に、それぞれのが長さも絶妙だ。

 だからこそ、愛が100万円をゲットするために本気になる理由が欲しかった。冒頭で一言、愛が100万円を欲しがる理由を話すだけでも、ネタに奥行きがさらに出ていたと思われる。とはいえ、ヨネダ2000には、そのような理由づけがないことがヨネダ2000の魅力でもあるのでもどかしさはあるのだが。

 好きなくだりは、あややにレスをもらって照れている愛、ふっ飛ばされる誠、少し考えて本気を出す愛、あややと愛の対決を別室で見ているわけではないという無意味な設定。

 

 

7組目:たくろう

 たくろうの漫才のシステムを知った状態で、ツカミを見返してみる。

「メガネのパーマ、木村バンドと」

「裸眼のっ、化け物っ、赤木です」

 木村バンドが喋り始めて7秒で、赤木は、木村に巻き込まれて、勝手に追い込まれて、ずれたことを言ってしまう人である、ということを説明していたことに気が付く。挨拶的な笑いを起こすためのものではなく、本当の意味でのツカミとなっている。反面、木村の「リングアナやりたい」という申し出に対して、「リングアナ?何がええのあんなして」から始まって、終始、赤木は木村に乗ろうとしない。結果、赤木がその設定に入るまで50秒以上の時間を使っている。そこまで溜めてから、木村がリングアナ風に「タイトルマッチを行いますっ」とアナウンスし、赤木を見つめる。そこで初めて赤木もリングアナ風の発声で「お願いしますっ」と乗りはじめる。

 一度、緊張と緩和を経てからは、木村の発言の3文字の英語に反応して、赤木がリングアナっぽく喋っていくという、一見すると、単なる大喜利の羅列のような形式をとった漫才となっていくのだけれども、実は、木村から赤木への大喜利のお題が、明確には提示されていない。赤木は、木村の「リングアナを二人でやりたい」という申し出に巻き込まれ、何も分からないが、でも喋らないといけないというプレッシャーに負けて、勝手に大喜利を出されたものとして、空気を探りながら、都度都度答えていく。大喜利羅列系のネタは数あれど、ボケが迎えうつのではなく、ボケが追っかけるとしか言いようがないタイプの漫才は寡聞にしてすぐには思いつかない。

 大喜利羅列系のネタは、基本的には、外しのテンポを入れることはあれど、後半に向かってグルーヴを生み出すために、直線的に、速度は増していくのが定石である。ただ、たくろうのこのネタは、「たくろうのネタを圧縮した名刺としてのツカミ」「なかなか入らない設定」「リングアナとして木村についていく赤木」「選手の名前を合わせられなかったことでテンポを乱していく赤木」という、超早い、遅い、早い、ちょっと早いという順になっていて、これまたよく分からない。

 本当に、不思議なネタである。

 不思議というか、深く考えれば考えるほど、構成、役割、形式すべてが、既存のネタとは何かが徹底的にずれており、不気味の谷の奥底から拾ってきたもののように思えてきて、怖くなってくる。たくろうの漫才を構成する要素一つ一つは、不協和音の原因なのだけれど、すべてを合わせると、調和しているように見えているだけのような気もしてくる。たとえば、自分が産まれてきてから撮影された写真を、何千枚、何万枚とAIに食べさせて生成させた、今の自分の写真を見た時に、遠目から見ると今の自分なのだけれど、じっくり見てみると、誰だこいつ、となることに気がついたものの、一緒に見ている知人たちは、めちゃくちゃ似てるね、と言い合っているような不気味さを持っている。

 「ミッドサマー」の感想を書いているわけではないので、漫才の楽しさに戻ると、この微細に振動するそれぞれのズレが、漫才中盤以降の、深夜の大喜利で何を言っても爆ウケする状態を生み出しているのではないかとしか考察しようがない。

 好きなくだりは、PCR5年連続陽性、BBQウインナー係、「なんで意地悪するの、意地悪線といて」からの「おじいさんちゃう、おさみさんは」、上戸彩の「まだまだ続きが見たくなりますねぇ」という思い出す限り上戸彩から発せられた中でも最上級の賛辞。

 

 

8組目:ドンデコルテ

 狂騒が明けてから、一部の人々に、読書家、けん玉の技術、人の良さ、革靴が趣味というあまりにも、あまりにもすぎるその人物像に、アラフォー界隈に初めて「メロつく」という感情を芽生えさせている渡辺銀次と、4つ下で宜野湾市出身だったら浦添市出身の40歳の筆者なら、友達の友達の弟くらいで繋がりそうな小橋共作。

 全く想定外の展開を見せたという意味では、ドンデコルテは、間違いなく今大会で一番の衝撃度であった。

 シックなブラウンのスリーピーススーツに、個性的な色使いのペイズリー柄のネクタイとポケットチーフを合わせて着こなしている、やけに清潔感がある男が、朗々と歌い上げるかのように、デジタルデトックスのメリットについて語っていく。その中で、自分はデジタルデトックスはやらないということを、さらりと挟んでいたことに気がついた小橋に、なぜ、やらないのかと問われると、男はこう答える。

「渡辺銀次、40歳独身。厚生労働省の定めた基準によると、貧困層に属します。国も認める低所得。私はこんな自分と向き合うのが怖いんです。スマートフォンを置いて、わざわざ意識をはっきりさせてこの現実を直視する勇気などないんです。」

 ここでドカンと笑いが起きる。サンパチマイクの前に立って喋り始めてから1分かけて先述したセリフに入る。この溜めがしっかり効いていたから、本当にやられてしまった。たっぷりとした緊張からの緩和を皮切りに、後半に向けて畳み掛けていくという意味では、たくろうのネタと構成は似ている。また、ネタ全体を通した、「渡辺銀次」という男にまつわる情報の出し方も、文学的だ。最初に渡辺であることを名乗って、相方からはナベさんと呼ばれ、最後に自ら、渡辺銀次と名乗り、思想を開示していく。ものすごく、文章的なテクニックを感じる。というか、こんな感じのことを、小川哲の「言語化する小説思考」に書いていた気がする。

 他にもテクニカルな部分がいくつもある。例えば「古い小銭がピカピカになる動画」、「年金とか保険料は税金なのに税金って言わない」など、ネタ中に出てくる、あるあるの精度も実は高い。また、「大体あの年金とか保険料ってなんで税金って言わねぇんだよ、味方みてぇな顔で近づいてきやがって。あんなのペテンだからな」と現実に向き合いかけた時の喋り方が、これまでと変わることで、現実と向き合っていない時間が虚構の姿であるということを分からせるなどの表現力もある。

 このネタにおける、表現について、セミナーだ、教祖だと言われていたが、昨年の国民が茹だり切ったあの夏に多く見た政治系ショート動画の影響を受けている可能性が全く否定できないものであることは指摘せざるを得ない。見せ方もそこから持ってきているかもしれないし、ウケた理由も観客がそれらを見てあの独特の喋り方を受け入れる余地が出来たからかもしれない。にも関わらず、「自民党はありません」というくだりについて、イデオロギーの左右を問わずに、なぜこんなにも笑えるのかというと、政治の話をしているようでありながら、銀次が実は全く政治の話をしていないからだろう。銀次の主張をよくよく聞いてみると、ただただ、これは自分が現実から目を背けているという話しかしていない。銀次があまりに個人的な話をしているために、第二波フェミニズムのスローガンである「個人的なことは政治的なこと」への誤配が生じてしまっている。これは本来、業の肯定の話である。

 好きなくだりは、銀次のスーツの着こなし、Vtuberが好きだというだけで現実に向き合っていないとも取られなかねない偏見、「自民党はありません」、「敵ではない」というオチから感じる優しさ、あまりにウチナーグチすぎる小橋の「もういいよ」。

 銀次に期待することは、「アメトーーク」の「読書芸人」への加入、カゲヤマ益田の実家を出る前に居住区画をPOPEYEで特集、アルコ&ピース平子とのスーツ購入動画、「気分は上々」でウッチャンにチャーハンを振る舞う、『ONE PIECE』の好きなキャラを3人あげる、爆笑問題太田光に喫煙所でいじられながらも読書の話をしたという話をカーボーイで聞くこと。

 

9組目:豪快キャプテン

 審査員コメントで、ミルクボーイの駒場が、「聞いた方がええ話と、聞かんでええ話」「ほんまに聞かんでええ話を聞いてみたらめちゃくちゃおもろかった」と評していたとおり、本当に、聞いて何の意味もない会話であると同時に、一番、見れば見るほどこのネタの題材の良さ、嘘の無さ、成立している会話に、ドラミングのような大きめの音が叩かれ続けているようなテンポ、どれをとっても惚れ惚れとしてしまう。

 「小さいカバンを買いに行こうと思っているし、相方である山下にも同様に小さなカバンをプレゼントする」という提案をベーやんが持ちかけると、「いや、いらんよ、俺はそんなんね。なんで俺の買ってくるの」と拒否をする。それでも小さなカバンは良いものだというベーやんに対して、「小さいカバンはいらん」と「大きければ大きいほどなんでもいいと思ってます」と、拒否し続ける。大は小を兼ねる論者である山下が、「簡単にいうたら、俺とお前やったらね、俺の方がええです」と自らの思想を提示することで笑いが起き、漫才が始まる。そこから、小さなカバンを持たずにコンビニに行く山下が、ポケットがパンパンであるということへと展開していく。

そこからの「ポケットパンパンな人とすれ違う」、「どこに何が入っているかはポケットの方が把握しやすい」、「ポケットパンパンな人への偏見とその訂正」

までは、見返せば見返すほどめちゃくちゃ面白い。

 山下のキレっぷりもたまらないけれども、そのキレへの正当性を担保しているのは、ベーやんの表現力だ。山下のキレを無効化するかの如く、どこまでも飄々としているので、「ポケットパンパン同士でご飯を食べに行くことになる」、「ポケットパンパンだとお腹もパンパンか」という、ずれた反応も、ただただ本当にズレたことを言っている人であり、あんまり山下の話を聞いていない人になっている表現力も凄い良い。ここまで他人からの説教が体に入っていない人を演じている姿は、昔のバナナマン設楽の演技を彷彿とさせる。その反面、広島弁で、関西でも受け入れられるであろうテンポの漫才をしているところが凄い。

 エバースが亜種としてのブラックマヨネーズからの系譜であるとすれば、豪快キャプテンは、正統な系譜と言ってもいいだろう。加えて、「どこに何が入っているかポケットの方が把握できますやん」からの財布、携帯、カードケースの位置を説明してからの「ポケットパンパンやん」に対しての「ポケットパンパンよ」を経ての、「そんなんいれよったらどこに何があるか把握できんじゃろ」からの「全部教えたやん」という痺れるくだりはミルクボーイ味もある。

 ここで気がついたことがある。

 山下は、べーやんが小さなカバンを購入する分には「勝手に買うたらよろしやん」だが自分の思想的には小さなカバンは不要であるというNOT FOR MEと、不要なプレゼントはいらないという自己決定権、短気が先であるという性格の受け入れ、ポケットがパンパンでも几帳面な人はいるというルッキズムの否定をしている。実は、山下の主張は、めちゃくちゃ令和の価値観じゃないかということに気がついてくる、山下の敬語も、トーンポリシング対策のように思えてくる。ドンデコルテの1本目のオチ「まっじっで凄い」にも通じる、この。数年前なら、ここから「女性が小さなカバンを持っている」という「あるある」が挟まれていたり、そこに展開するネタだとしても、決勝に上がっていた可能性はある。ただ、ウケているネタは、先述した通りに、自分は自分、他人は他人というバウンダリーについてである。そこにもこのネタには希望がある。素晴らしい。どうしよう、山下ギャンブルゴリラが、フィメールラッパーに見えてきた。

 好きなくだりは、綺麗なダイノジ感のあるルック、ベーやんの広島弁を関西弁の漫才に全くの違和感なく落とし込んでいるところと広島弁であれば落とし込めるという発明、ポケットパンパンやん」に対しての「ポケットパンパンよ」を経ての、「そんなんいれよったらどこに何があるか把握できんじゃろ」からの「全部教えたやん」まで。

 想定されるこのテキストへの批判と応答は、NOT FOR ME、自己決定権、ルッキズムの否定というのが、令和の価値観ではなく元々あったもの/あるべきものであったのであるみたいなやつに対して、あくまで人口に膾炙したという意味なので、うるせえ、文脈で察せられるだろ。

 ちなみに僕は、陰獣のフクロウが好きなので、ポケットパンパンの人に重要な仕事を振りません。

 

 

10組目:ママタルト

 少し、エキシビジョンマッチ感が出てしまっていた空気が、それは、ヤーレンズ同様、ママタルトの漫才が楽しいからに他ならない。ママタルトって、なんでこんなに季節に即したネタが合うのだろう。冒頭から少し失礼なことを言ってしまったので、今大会で一番好きなくだりは、「明けましておめでとう」からの「こんな鳥居のギリギリまでチャリで来んな」からの「チェーンでチャリと鳥居をくくるなよ」という肥満の肥満たるゆえんと二重の意味で体重が乗っかかっているくだりであることは、きちんと言っておこう。ここが一番、脳内で絵が描かれました。

 問題点としては、やはり後半の失速と、舞台が初詣先の神社で完結してしまったところだろう。他のネタと比べると、舞台も小さく、ストーリーも単一動線的に思えてしまった。

 好きなくだりは、チャリに鳥居をくくることを檜原に咎められた際に、不謹慎であることではなく、盗まれることを気にしている肥満、「ここの神様、だいぶ海外の絵本やん」、「なんで俺、鳥居くぐる時、TikTokの新入社員やねん」、「全然もうええわ」。

 

 

 

 

 例年であれば、ファイナルラウンドまで感想を書いているが、今年はあまり書く気が起きない。それは家庭の都合で、子を寝かせつけてから自分が寝るまでの1時間で一本のネタを何回も見ながら、感想を書くということに疲れたからというわけではない。無論、手抜きでも、足コキでもない。今年の大会でかけられたネタの数々の感想を書くのは、本当に楽しかった。生活における余白時間が許されるのであれば、敗者復活戦に出た全組のネタについてまで書きたいくらいだ。イチゴについて書きながら、イチゴが一番好きだと言っていた、あののことを嫌がりたい。あなぜなら、それは、皆が言っているように、過去最高レベルの大会に匹敵する大会だったからに他ならない。

 では、去年はどうだったかというと、個人的に、大会後は最悪な気持ちになっていた。これは、令和ロマンの漫才が好みではないからなのかと、一年ずっと塞ぎ込んでいたが、そうではないということに、今大会の感想を書いていて気がついた。昨年は、令和ロマンが二連覇する/阻止されるのかという、レースになっていたことに冷めてしまっていたのだ。令和ロマンの髙比良くるまは、『HUNTER×HUNTER』のパリストンであるということについては、王位継承戦編が完結したあたりでじっくり語ることにして、M-1グランプリを賞レースとして見ていないということに話を戻すと、じゃあ、何として見ているかというと、漫才の博覧会として、だ。

 現時点での漫才を大きく10種類に分別し、その中での一番となった10組の漫才師がそれぞれのネタを披露する。M-1グランプリは、自分にとって、いつしかそういうイメージとなり、賞レース後のウイニングランのようなものだ。だから、順位も、点数も正直、来週には忘れていたりするので、そこへの語りに全く興味が湧かない。漫才の種類を見ることが出来ればそれでいいのである。だからこそ、今年は本当に見ていて満足だった。今年のM-1がめっちゃええ大会だった理由は、1つ。10種類の漫才を見ることができたから、に他ならない。

 ここまで書いていきたことは、基本的には勝手な解釈を持って社会性を付与して、キャッキャキャッキャしているだけである。それが批評であると言われたら嬉しい限りなのだけれども、ここまで色々と書けるのは、それぞれの漫才師が自由にネタを作ってきた結果である。その自由さが、豊潤さにつながっている。だからこそ、2019年以来の満足度の高い大会だったと言われているのである。

 あー、まっじっで楽しかったっ。

 

 さて、本題に入ります。

 知人と、雑談をしております。社会人の二人が雑談をし、その雑談を稟議によって叩いている、テキストコンテンツです。よろしくお願いします。

 

 稟議ディンドンドン

 https://note.com/ringidingdong2

 

 

 ニュートン!りんごが落ちたところでお時間です!(松尾アトム前派出所)

暮れの元「MAD HOPE」

 今年は、ブログを更新しないという目標を立てておりまして、ほぼ、達成できました。
 それは、充電期間中のようなものを設けるというか、いったん、一人でやることをしないでおこうということが、理由となります。
 去年は、本当に最悪な、半年を過ごしました。ただ、僕のすごいところは、そこで反省し、粛々とフォームを変えることが出来るところであり、それは東浩紀言うところの、訂正する力を有しているということに他ならないわけです。では、なぜ、自分を変えるしかないのかというと、僕は原則的に、人は人を変えることができない、もっと言えば、人は人に変えてもらうことすらできないと思っているからです。だから、自分が意識を変えるしかないわけです。世界へのプロンプトを打ち込むのは、自分自身しかいないので、自分自身を変えるしかない。それは決して、アップデートというものではなく、インストールしていくしかない。幸いにも、僕は、そのキャパシティもまた有する、でかつよなので、どんどん、人生におけるあらゆる要素を、乱数としてがんがんに注水していき、それをまず受け入れるという一年でした。抽象的な話はこのくらいにして、具体的なことを振り返りましょう。
 まず、表に出しているものでいうと、「稟議ディンドンドン(https://note.com/ringidingdong2)」という、小林さんという方とテキストコンテンツを始めました。本当の出発は、小説の新人賞挑戦っていうのがあるので、そこから話したほうがいいですね。先述したとおり、ベースには、一人で何かをやることに興奮しなくなっていることに気がついたということがありまして、そこのあたりは、凛ドン(https://note.com/ringidingdong2/n/n1dc55e9c2cfe)を読んでもらえたら、大体の流れはわかるので、今後はご贔屓によろしくお願いします。手前味噌ではありますが、話している内容も、あんまりインターネットで見ないようなことだと自負していて、かなり面白い/興味深いことをやっていると思います。
 次に、全く表に出していないものでいうと、これまた別の方と「北の国から」を揃えて見ていくということをしました。ほんと楽しい作業でしたね。「北の国から」がそもそも、ここまですごい作品だとは思っていなかったんですが、ドラマシリーズからして、すごかった。何といってもセリフが桁違い。でそれを少しずつ見ては、定期的に感想を言い合うんですけど、これもとても楽しかったです。得難い体験となった理由って、やっぱり、今、「北の国から」を見るってことだと思うんですよね。これが、リアルタイムでドロップされていく、Netflixの最新を一緒に見ましょうっていうものとは味が違ってくる。感想も考察とかじゃなくて、五郎、あんま良いお父さんじゃないですよね、とか、原田美枝子いいっすねとか、あ、あんま僕、顔がピンと来てなかったかも、え、石橋静香のお母さんなんですか、言われてみれば似てるわ、とかそのレベルの話と、その実情は雑談に近いんですけど、誰かに左右されない感想を言い合いえるわけですから、これは本当に良かった。ミルクボーイの駒場の審査くらい、めっちゃええすねな体験でした。その方は、同じ、東京ポッド許可局リスナーでもあるので、夏だかに、関東地方で「北の国から」が再放送されることを知った時に、鹿島さん、これって……、となったのも良い思い出です。ペース的に、見終わるのって8月くらいになりそうですね、真夏じゃんってなる予定でしたが、全然、過ぎて、11月くらいになりましたね。「北の国から」って、人間関係の話なので、人間関係で失敗して干される形で、一年で別の部署に移動した自分には染みました。
 仕事で言えば、そうして、誰から見ても、干されたと揶揄されるような部署に行くことになったんですが、そこでめちゃくちゃ仕事しました。仕事あるんかいって、ツッコミましたからね。同期に現状を話すと、そんなわけあるかい、って言われてたんですけど、自分がそう思ってました。いや、これまでで一番残業してるんかいっていう。とはいえ、仕事自体は、やや炎上案件感があったのですが、何とかやり切り、その中で、いろいろなタスクを得たのと、ちゃんとやる人という名刺を新たに配れたので、首の皮一枚でつながりました。それを乗り越えてからは落ち着いて仕事をしているので、重い腰を上げて、これまで馬鹿にしてきた、ビジネスにおけるマネジメントの本とか読んでます。スッカスカなので、一冊、3時間もあれば読めるんですけど、肯定的な気持ちで読んでいます。結局、上司のやることって、ニコニコして、班員からの突然のフリにできる限り急いで取り掛かる以外の何ものでもないんですね。干されたから、勤め先の場所も変わったんですけど、その流れで、自転車で通勤するようになり、なんか自転車では物足りなくなって、徒歩とランにいつの間にか変わりました。めちゃくちゃ健康になっていて、なんか、干されて飛ばされたことで、干されて飛ばされた感が出ている以外は、万事よし、なんじゃないかと、人生の難しさを感じています。これまでに無いくらい、人生を省みた気がしますね。今はもう、うるせえよ、全てがとなってはいますが、ここを経たことで、ミドルエイジクライシスや、鬱になることを回避できそうな気がします。あと、四十肩は、分割キーボードを買ったので、これも回避できるでしょう。
 家庭の話で言うと、一番のニュースは、今年の頭に、こんまりをやりました。妻が音頭をとってこれが実質、3ヶ月くらいかけたんですけど、これもやって良かったですね。ごみ袋を僕だけでも、10袋以上出しました。本も200冊くらい捨てました。
 妻で言うと、妻の不幸ではない選択により、子をワノペ対応することがめちゃくちゃ増えました。それなりに成長してるので、家にいても勝手に遊ぶ時間が増えているので、昔よりは楽になっていますが、毎週土日がそうなので3ヶ月くらいは大変でしたが、今は何とか掴んでおります。僕のことは、バーソロミューくまと呼んでくれ。じゃあ、自我無くなっちゃうじゃん。すいません、ONE PIECEを空島で止まっている皆さん、ネタバレしてしまって。
 ここでエンタメのランキングとか書くべきなんですけど、なんかすごくダルいのでやりません。 
 お笑いでいうと、今年からは、東京への参拝は避けて、行ったことのないところに行こうということで、トム・ブラウンを見に宮城県に、真空ジェシカを見に静岡県へと行ってきました。参拝っていうのは、いわゆる遠征のことで、そこあたりの経緯は、稟議ディンドンドンの「ポスト・遠征」の回をご一読ください。やっぱり、旅はいいですね。行かないとわからないこと、先達はあらまほしきことなりみたいな。え、仙台城ってもう無いんだ、みたいな。確かに、仙台城をテレビで見るとき、伊達政宗の像しか見たことないかもってなりましたね。そして、その近くで、日本で初めてスケートをした場所みたいなのもありました、はず。
 来年は、あと半年近く、小説の賞の結果を待たないといけないのかなりダルいからもう一本書き始めるかとか、仕事は落ち着きそうだなとか、2月のタイタンライブ30周年楽しみだなとか、そっから先は夏まで参拝できないからどうしようかな、そんときはこれまで見れていなかった話題の配信とか見ればいいかとかありますが、どうにでもなるし、どうにもなりませんからね。

 以上、暮れの元気なご挨拶でした。
 それでは、良いお年を。

M-1グランプリ2025宇宙最速感想

ご無沙汰しております。

今年もまた、ビジネスホテルにてM-1グランプリを見ました。

 

 

 

一組目はヤーレンズ

ヤーレンズは内側にこもってしまうという弱点を、卑怯スレスレで積極的に周りを巻き込むようなくだりを入れていて、ネタに広がりを見せている。その上で、ネタの流れもスムーズで、ボケが渋滞していないように思えるっていう意味では技術面でも進化しているように思える。ここ一年は単独に行けたり、タイタンライブでもみれたりと色々と見ましたが、マジで、ヤーレンズのなかでも完璧な出来だったんじゃないでしょうか。外にも内にも完璧。麻生太郎サッチャーと、こちらも、意味が発生しない範囲なんだけど、引っ掛かりのあるくだりもあって、ただの適当喋っているだけじゃない感もいいんですよね。実は前のタイタンライブでかけていたネタですが、ほんとにボケがほぼ別物になっていて、笑いました。

 


二組目はめぞん

完全に初見のコンビ。展開までがちょっと遅い気はしましたね。こういう、完全にフィクションである漫才ってさらに、裏切りをもう一個入れないとだいぶ乗れないというか、初見では、誰にも感情移入できないから、どこかで見たくだりを組み合わせているようにしか見えなくなってしまう気はします。

 


三組目は敗者復活組のカナメストーン。

中盤、よく聴くとダレた部分もあったんですが、要所要所で、自分たちの持ちくだりを入れまくって、それが綺麗にはまって、持ち直してましたね。ほんっと、無垢な中学生のふざけ合いを純度高めまくった感じと言いますか。お見事でした。

敗者復活で好きだったので、パッと書きたいのは、生姜猫ですね。発想がとてもよかったですね。ツカミで、「チェンソーマンの映画見た?」というもので、そこで、おっとなるわけですけど、そこから、〇〇警察の話になって、そこで終わるのかと思ったら、警察にオラつく若者が入ってくるという展開は予想できなかったんで、この多角的な広がりには興奮しました。それでも、まだ発声が全然出来ていない感じとかが若さであり、見ている中でのフックとなってとてもよかったです。ちなみに、チェンソーマンの映画は、あまりに映画であり、台風クラブ学校の怪談を彷彿とさせる、素晴らしかったです。

 


豆鉄砲。修学旅行のカメラマンの漫才。このルックで、理屈的というか、概念の話をする漫才をしていて、面白いんですよね。同じ感じで言うと、空前メテオが、キヨスクがどーのこーのって漫才をしていて、それも良かった。定義の曖昧さ、グレーさを突いてくる着眼点といえば良いのでしょうか。

 


敗者復活戦のブロック代表はそれぞれ、20世紀、カナメストーン、ミキでした。そして、決勝戦に出場したのは、カナメストーン。この3組で、発想、楽しさ、面白さ、笑いの量、技術、それぞれが何かで突出しているという感じでしたが、審査員が一番掻き乱すであろうコンビを送り込みたいという気持ちの差で、カナメストーンになった気がしますね。

しかし、20世紀の木本のスーツ姿、めちゃくちゃかっこよかったですね。ああいうデザインの革靴ってずっと欲しいんですけど、なんて調べれば良いんですか?

 

 

 

四組目はエバース。前提が、町田を車になってほしいって無茶苦茶すぎるんですけど、その無茶苦茶さが、なぜかリアリティを持ち出すという、で、それが飛躍していればするほど、グルーヴが産まれるってことなんですけど、すごかったですね。個人的には、もうちょっと前半が短くても良いかなって思いましたけど。末締め?的なワードを狙いに行かなかったのも、自然で良いですね。

 

 

 

五組は真空ジェシカ。最初は、スタートのリズムを掴み損なったかなという印象を受けました。だから、本音を言うと、いつもよりは乗り切れなかった気がしたので、ヒヤヒヤの方が勝りました。多分、2本目にさらに強いのを持ってこようとしていた作戦(単独ライブとかでもっと面白いネタがあった)かと思うんですけど、ちょっと、このスタートダッシュ失敗(と思っている)が影響したのかなと思います。初めてのタイプのミスな気がします。

 

 

 

六組目はヨネダ2000。

 


しばんちゃんが、最後にネタを15秒でまとめていたんですけど、図らずもそれが、しばんちゃんのネタの読解力と、ただただおバカで楽しいネタということではなく、構成も展開を入れて、飽きさせないようにしているということが明らかになってましたね。

 


七組目 たくろう

待ってましたよ、本当に。数年前の準決勝で、タイムラインに衝撃を走らせたことを覚えている。このネタについてはまだ感想がまとまっていないので追って。実はこのネタではそんなにハマらなかったので、点数がめちゃくちゃ伸びたのは意外でした。

 


八組目 ドンデコルテ

ダメな鳥肌実と言いたくなるような、政治的的(誤字じゃないよ)な漫才で、技術もあって面白いのに、ここまで名前を聞かなかったというのは、本当に、時代が雨で、芸が車理論を思い出させるほどに、時代にマッチした(これはかなりめんどくさく表現しないといけないので追って)ネタだったと思います。実際、渡辺銀次は、マンキンタンというコンビで、ロケットライブという番組の時に、このコンビが一回見て、めちゃくちゃ面白かったんですよね。だから光るものは当時からあったわけなんですけど、やはり、何かそれ以外のものが降りてきた(ここでいう時代性)と言わざるを得ないと思います。デジタルデトックスというネタ選びも自然な話かと思います。政治的な主張の皮をかぶった、自分の業を肯定してくれという甘えですからね。

 


九組目 豪快キャプテン

点数はあんまり伸びませんでしたが、変則的なネタだらけだったので、喋りあう漫才に久々に会えた感で嬉しくて、シンプルに楽しく見ました。ギャンゴリの人間性を、爆笑問題カーボーイで太田さんに絡まれているのを知っていたので、それがあるかもしれません。審査員が言っていたように、小さなカバンを貰えば良いんだけど、小さなカバンを認めていないから貰おうとしなかったり、ポケットがパンパンでも生活できるという、我の強さに説得力があるルックをしているからそれが強い。

 

 

 

十組目 ママタルト

面白かったんですけど、エキシビジョン的に感じてしまいました。

 

 

 

ファイナルラウンド ドンデコルテ、エバース、たくろう

 ドンデコルテがちょっとだけネタをずらしてきたなかで、エバースの2本目は顔芸を入れたり、比較的笑いが生まれやすいような、初速が速いネタで、一本目とカラーを変えてきて、あーこれはエバースかなーってなっているところに、たくろうが全ボケさらにハメてきて、上回って優勝するという素晴らしいファイナルラウンドになって、久々に、どうなってしまうんだー状態に陥ってとても興奮しました。

 

暮れの元2024「生命体」

広島県でこの文章を書いてます。駅西という区画、ものすごい良いですね。
たゆたってますよ。地方の焼肉屋で、レコ大を見ながら、1人でビールで喉を濡らして、広島でしか提供されていないコウネを縦軸に食べてますが、最終回?
タクシー乗ってすぐ、会話の流れで「アホなんでしょうな」と言ってきて、これか!となったわけですが、とても良い街ということは飲屋街を歩いただけで分かりますね。下品に酔ってない感じ。タバコめちゃくちゃ吸ってますけど。


さて、今年は、ちょっと、色々と変革な感じはありましたね。
なんか40を前にして、かなり意識への揺さぶりがかけられた。
一番は、今年は本をめちゃくちゃ読めました。トータル46冊くらい読めましたかね。あと、映画もかなり見ました。これは、高校の同級生がやっているpodcast沖映社のおかげでもある。 あと、めちゃくちゃアクティブでした。仕事の延長の研修みたいなのを半年かけて達成しましたし、伊集院光に触発されてAT小型免許を取得してバイクを買い替えたり、文学フリマに出てみたり、スケボーを衝動買いしてみたり。
それもこれも、子供が喜ぶだろうなと思っていった明和電機展で「利益は活動資金」という言葉を見かけて、それが喰らってしまったのか、QOLの上昇に使ったり、外食を増やしたり、旅行も出来たし、新しいことに取り組むために、貯金は投資に任せて、お金を使いまくってみた一年だった。結果、とても良かったですね。
もしくは、なんとなくノリで初日の出を見に行ったことが影響しているのでしょうか。
クレイジージャーニーを見られるような余裕が出たのもあるのかもしれない。少なからず他者に影響をバラエティは与えてるので、スタッフは全員、植民地主義的な考えを改める研修を受けてくださいね。頼みますよ。もうイエローカード食らってるんですからね。
あとは、仕事は、パワハラを受けたり、パワハラセクハラをしてしまったりと散々でした。今もめちゃくちゃ干されてるんですけど、その干されてる場の中でまあまあ仕事してるからえらいですよ。このパワハラセクハラをした話は、どっかで聞いて笑って叱ってください。
総じて今年は、これまで1人でどこまで行けるかをやってきたんだなと思っています。ただ今の仕事の役職とかになって、それだけでは全くダメだということにそうそうに気付かされた。これは、ハラしハラされ生きるのさ状態に現れている。まあ、人間関係の再構築は難しくても頑張りますよ。
うちの子はですね、ほんっとにうるさいんですよ。ずっと喋って、毎日おんなじことで叱られている。ただ、保育園での評価が高いから、まあ家では自由にさせようと許されているんですけど。ほんっとにくじけない。そう思ってたら、ふと、あれ俺もくじけないタチなのかもしれないと気がつきました。お店を変えて、桜尾ジンを飲んでるから説明は端折りますけど。
話を戻すと、ユニットを何個か作って走らせたいですね。沖映社が偶然のような感じで走り始めたように。2人以上で始まる化学変化と、進む速度の違いを受容したい。間違いなく、2人以上だと速度は遅くなるんですけど、やっぱ偶然が生み出す、乱数を愛したい。こないだ、賞レースの話をスペースでしたとき、ラブレ塚本とダイタクの2人が生年月日が完全に一緒だと気づいたんですね。こんな、5ファボ以下の面白い情報、1人でシコシコとブログ書いてたら気づかないわけです。
あとは、なんだろうなー。色々ツイートしてますけど、こんまりのメソッドに沿って家を片付けてます。こんまり凄いすよ、売れるだけあって、正しさと危うさが共存してて、立派な思想ですよこれは。これについて、二万字かけますよ。
今年は遠征3回、旅行1回の目標クリアしました。遠征って戦争用語らしいですけどどうしましょうかね。プチ鹿島さんの密航も、望月さんの密航の本とか読んだら使えないし。あと、明後日、原爆ドーム見にいきますけど、写真撮る時、ピースとかしたらダメなんですかね。もう何もわからないです。もうわからないってことを言っていくしかないとは思ってます。
ただ、東京はもう飽きたんで、地方のライブをめがけていきたいですね。トムブラウンの先行は宮城県に出しました。皆さん、仙台駅西口で会いましょう。
さて、これをもって暮れの元気なご挨拶とさせていただきます。
良いお年を。

文学フリマ39参加感想(本買ってねハート)

文学フリマ東京39に初参加してきました。とんでもない情報量を喰らって、翌日は、無意識にガーリックライスと豚骨のワンタンスープを食べ、昼休みに爆裂仮眠を取って、普段は一杯しか飲まないようにしているコーヒーを二杯飲んで、夕飯は、インスタントの味噌ラーメンに、おろしニンニクを小さじ二杯くらい入れて、早めに就寝しました。普段は、かかないいびきもしていたそうです。

この情報量というのは、他者が狂気と情熱を持って作った個々の本と、それらが集合している場としてのエネルギー、買いに来てくれるのかわからない不安と、来てくれた人との会話、売り切れなかった悲しさなどと、シンプルな疲労、あと、前日に、大塚でしこたま飲み食いしたってのもあるかもしれません。晩杯屋の安さ、なんだアレ。チュートリアルかと思った。あそこでお腹を満たしてからの、だいじゅのホルモンと冷麺、スムースな流れでしたね。マジで大塚、飲みやすすぎましたし、普通にホテルの鍵を無くしてて翌朝焦りました。無事、フロントに届いてて、半笑いされながら回収しました。Tさん、次は、Tさんのホームグランドで飲みましょう。

 

改めまして、文学フリマ、来てくれた皆様、ありがとうございました。

SNSのフォロワーさんしか、来てくれないのかなって思っていたんですが、そういうこともなく、目に留まった人が買ってくれたり、どんなラジオが好きなのか話してくれたりしたのが嬉しかった。終わった後で、聞いたら、他にはどんなブース行ったんですか?みたいなことを聞いたりしていて、めちゃくちゃちゃんとしているやんけとなりました。伊達に、10年以上、社会人をしていないんだよ。相互フォロワーも来てくれて、初めて、会えたりする人もいて、とてもよかったです。一番嬉しかったのは、とある見た目から想定すると男性の方に、どの記事が好きですかと尋ねたら、岡村舌禍事件の記事と答えてくれて、何回も読んでくれたそうです。本当にあれは嬉しかった。あと、かっこいいファッションの人が、思っていたフォロワーさんだったり、もう帰らなきゃっていう直前で、フォロワーさんが駆け込んでくれて、とんでもないサプライズプレゼントをくれたりしたのも嬉しかった。あと、アマチュアダックスフンドさんにも挨拶出来たりしました。二人の仲いい友達が来てくれないことが分かった時は、ぴえんで震えてしまいましたが、なんとかなりました。

元々、大塚英志の「物語消費論」にかなり衝撃を受けたんですけど、その流れから、東京ビックサイトへの文学フリマ進出デビューに、文学フリマに参加できて、本当によかった。正直、本当に最近は、ブログを書くモチベーションは皆無になっていたんですけど、いや、これは続けるべきだ、少なくとも文章を書きつづけなければならない、となりました。

正直、売れた冊数は、想定の半分くらいではあったので、そこら辺は、ここ数年のブログのサボりなどに起因するものなので、それはもう、乗り越えるしかない。ただ、それは、空気階段優勝以降の、キングオブコントのつまらなさ、情けなさ、ダメさ、ホモソさに起因するんで、僕だけのせいではないです。

最近知った言葉で、早く行きたければ一人で行け、遠くまで行きたければみんなで行けみたいなのがあって、これを不意に知った時に、グサーってなったんですね。深夜の馬鹿力で話していた、「孤高と孤独」の話にも通じるのですが、仕事についても、かなり早く進んでいた。これ自体はとても自信を持って言えることではあるものの、ふと、隣に誰もいないことに気がつくわけです。ある程度、大人になってはいるので、馴れ合い、くだらねえよって思うことはないですが、そのくだらないことのやり方すら忘れてしまっていることに気がつく。

きっと、今年の下半期の一連の、自分の身に降りかかったことは、そのためで、一生忘れないようにしなければならない。話がずれました。

僕は常々、文章を書くべきだと思っていますし、そう言っています。

なぜなら、そうすることでしか、思考は前に進まないからです。書いて、読んで、反省して、てにをはにこだわって、通読して恥じて、訂正する。これしかない。生きていくことと一緒です。巧拙なんていう尺度を捨てて、ただただ書く。喋る方向に特化しているのであれば、それでもいいのですが、文字を書き起こし、俯瞰する。どうしても生じる矛盾こそが、自分のどうしても生じる個性だと認識し、共存する。

さて、文学フリマに話を戻すと、他の人の同人誌を見て思ったのは、あ、このくらいの文字量でいいんだということ。「俺だって日藝中退したかった」「俗物ウィキペディア」「まん延元年のギャグボール」。推敲してたり読み直す中で、こいつ、どうかしているな、なんで売れてないんだろうと思ってしまう。「出会って3秒でアウフヘーベン」も、いったん何を喋るか、台本レベルで書き出して、それを喋って、喋りながらまた文字にするってどう考えても、面白さと労力と、関心の向かれ方が合ってない。面白さでは、他の売れていた人たちとそんなに変わらないはずなんですよね。ただ、何かが足りてない。好かれてはいても、愛されていないという節すらある。愛されるよりも愛したいと思った結果、誰からも愛されていないというまま、すごい速さで突っ切って崖に落ちていく。面白いことを書いているとは思われるけれども、面白いことをしているとは思われていないと言った方がいいだろうか。だから、「タイタンライブ前ご飯」っていうハッシュタグが広まらない。ただ、今の文学フリマって、割とここが求められているという印象は受けました。昔と比べて、業をぶつける場所では無くなっているんだろうなという。それはあまりにも店側も、来場者も多くて、人混みになっちゃっているから、目当ての人に目掛けて買いに行くということしかない。偶然に出会って、偶然に買ってもらうみたいなことは、当日の開場、1時間以内くらいで終わってしまっていたように感じました。

40近くまで、早く走ることを求められてきて、それなりに結果を出したら、急に、カバディをさせられることのつらさってないわけで、本当に地獄なんですよ。

だから、これからは、もっと、遠くまで行くことを意識しなければならない。

だから、来年は、ユニットを作ります。今のところ、二つのユニットを走らせる。まだ、それぞれの相手には話していないけど、文章に残せればいいなくらいの熱量。もしかしたら、ただ友達が増えるだけかもしれないけれど、それはそれで、良い。

高校でも数少ない、途切れなく付き合いがある友達がいて、彼とは生活圏が一緒なので、よく会い、さらっと喋ったりするんだけど、そういえば忘年会しようとふと提案してみたら、乗ってきてくれたので、先週、開いてきました。あまりにも美味しくなかった中華料理のフォーマットをしているものを、うっすいアルコールで流し込みながら、近況報告もそこそこに、政治、男性学、深夜ラジオ、東浩紀と縦横無尽にお喋りをし倒した。アルコールが薄いという伏線を回収し、ほぼシラフの状態で、あーだこーだ喋る。意見の相違とか、あんまり関係なく、駄々らにお喋りする。友達が増えるってことはそういうことで、例えばその場でも出た話だけれど、ここにいる全員は、選挙に行ってるから、ここで選挙に行こうという話をしてもしょうがないんじゃないかという問題がある。投票率の上昇に限らず、アップデート系の話について、おそらく意識がある人たちだけで話しても意味がない。じゃあ、どうすれば広がるのかっていうと、ただただ、そういうことを言う人が面白くなるしかない。面白い人の面白い話の1割くらいに、政治的な話しているなって、うっすら思わせるしかない。俺、タイタンライブ毎回言っているけど、ネコニスズの赤ちゃんってどのタイミングでどうなって始まったのか、初見時はどう思ったのか何も思い出せないという話から、ウエストランドM-1グランプリにおいて親殺しをなしたという映画的な見方ができるわけだけど、そんなタイタンから、赤ちゃんが産まれるってあまりにも文脈すぎるよなという話になって、ああでも、ネコニスズが話題になったけど、結局敗退したのって、つまるところ、痴漢冤罪というネタの笑えなさが多かれ少なかれ原因にあるはずなんだよね、痴漢冤罪の話って、痴漢っていう言い方してるけど普通に性犯罪で、男側が痴漢冤罪があるということを想起させること自体、バックラッシュ的で加害性を帯びてしまうんだよ、そういえば、赤ちゃん前夜に、ヤマゲンが骨折してタイタンライブの舞台に松葉杖で上がってきたことが合って、それでブチギレてるヤマゲンが異常に面白かったのよ、ヤマゲンの骨折と赤ちゃんががっちゃんこしたら、普通に優勝してたんじゃないみたいな話をしたとする。多分。このくらいの塩梅が、考えさせるを伝播するちょうどいい加減なのではないかと考えている。なんか、昼、10分くらい雨降ってた?みたいな。

パルフェの賞レースのハックの仕方みたいに、日本人が面白さにすぐなびくのであれば、面白くなって、うっすら、他人へ害を加えない思考をするっとインストールさせていくしかない。

おしゃべりを原点回帰させるしかないと思います。

さっっきからぁ、なんっにいうとんねん(ヤマゲン)

ヤマゲンも切れたところでお時間です。

 

 

memushiri.booth.pm

ベストラジオ2023(未完成版)

こんなことは許されませんが、ベストラジオ2023です。

全ては文学フリマに来てもらうためでございます。

 

第20位 『ハライチのターン!』「岩井勇気結婚スペシャル(2023.11.17)」

 猫ちゃんニュースを通常通りに放送した後に、岩井から奥森皐月との結婚に至るまでのストーリーと、その知らせを前日に聞いた澤部サイドの話を、いつも通りの空気で、でもたっぷりと、岩井勇気の結婚トークを聴かせてくれた回。

 テレビで共演者の関係性にあった二人が、ハライチの二人の共通の知人ことサンシャイン池崎とたまにランチに行っていたが、なんとなく、奥森からの好意を察し始めた岩井が、「未成年とは二人で会ったり出来ないよ」と一線を引いたら連絡が来なくなっていたが、しばらくしたら、成人となった奥森からまた連絡が来て、交際がスタートする。もう、ここまでがめちゃくちゃストーリーとしてメロウでドラマチックすぎて、引き込まれていた。

 交際がスタートした後の、奥森家との交流、喧嘩の話を挟みつつ、結婚が決まった瞬間をトークする。

 歳の差もあり、この関係が公になった時に厳しい目で見られるかもしれない、そうなると選択肢は、別れるか結婚か、でも結婚は相手の人生を決めてしまうものだからと、岩井は踏ん切れないでいたら、そのタイミングで奥森から「じゃあ、結婚しちゃう」と言われたと話す。

 そんな奥森からの言葉に岩井は「え、あっ、えっと、あ、おれも、おもってた。おもってた。結婚しようか」と返したことを話すと、澤部は「ださー!」とツッコみ、持ちビルハゲ太郎が爆笑する。

 この回を放送するにあたり、この澤部の渾身の「ださー!」を引き出すために向けて、岩井がトークの構成力をフル稼働させたことが伝わってくるが、それだけでなく、ここで今更、ブースの中だけでなくスタッフの状況も実況し奥行きを出したり、乗っかるところは乗り、一般的な感覚として引くところは、サラッと引いたことを意思表示するなど、澤部のバランサーとしての能力の高さとかそういう分かりきったことをいちいち言うのもダルいが、そこは幼馴染としての強みである関係性を最大限に発揮していて、岩井勇気を守っていたのも良かった。

 エンディングゾーンでは、岩井勇気の母によるリクエストのスピッツで「夢じゃない」。親子でスピッツが好きな二人の、母親から息子への餞としての歌といえば、聞こえはいいが、これまでこのラジオでは、親がリクエストした曲をかけるという謎のノリがあったことで、笑い話になってしまう。さらに、岩井が、母から「岩井の結婚のニュースを受けて澤部の母から電話がかかってきて、赤飯を炊くよ、と言われたという話をし、澤部の母親が作る赤飯は絶品なので、岩井にあげるという話を過去の放送でしていて、それを岩井が断るというノリがあるので、ここにきて、それが回収されるのかと、全く想定していなかった角度からの見事なオチに、リスナーとしては異常な満足感を得られることが出来た。この二つに限らず、サンシャイン池崎、奥森父がロン毛で「奥森家の家族写真がゾルディック家だった」、「焼肉きんぐで奥森家とご飯を食べた」というお店の郊外文学感溢れるチョイスと、狼狽するあまり短歌を送りつけるリスナーと、どこを切っても『ハライチのターン!』から外れていないのも、長年のリスナーとして、安心して、岩井のトークを聞くことが出来た。まるで、岩井の結婚なんて、『ハライチのターン!』の100万回目の放送に向けたただの通常回なんだからと言わんばかりだ。最後の最後に、澤部が岩井に既婚者の嗜みであるところの、個室ビデオを案内することを約束し、澤部の好きなブリのニュースで閉める。心の中の長瀬智也が「その点ターンってすげえよな、最後までいつものノリたっぷりだもん」と言って、大型バイクに乗って去っていった。

 ここまでたっぷりと隙もなくトークされたら、外野は何も言えませんよ。本来であれば、ベストラジオ2位だったんですけど、世間体を考えて、岩井奥森夫婦の年齢差であるところの18、ランクダウンさせていただきました。

  あと、この報告に対して、さまざまな偏見、憶測、決めつけを見かけたのですが、一番ひどかった決め付けは、関係性もある爆笑問題の田中が、『爆笑問題カーボーイ』でこの話題に触れた際に、言い放った「奥森さんは猫好きでしょ。岩井と結婚するくらいだし」という、あまりに猫基準すぎる一言でした。

 他人が人様の家庭に押し付けられることはたった一つ、食洗機は買った方がいい、これだけです。

 

第19位  『TENGA茶屋』「霜降り明星せいや乱入(2023.7.23)」

 我らがケンドーコバヤシが、霜降り明星のZOOMちんぽ事件を風化させないという使命のもとに、ことあるごとに、この事件をネタにし続けることに業を煮やした霜降り明星せいやが、ラジオに殴り込みをかけた回。ダウ90000の蓮見翔とのAuDeeCONNECTでもお馴染みの、紗倉まなが誰ともコミュニケーションを取らないという話で盛り上がっているところに、せいやが凄まじい顔をして闖入してくる。せいやが来たのは、ラジオに留まらず、テレビ番組でも、この事件をネタにし続けるケンドーコバヤシへ異議申し立てを行うためであることが明かされるが、ケンコバケンコバで、会社の有名な社員から「かわいそうやからネタにするな」という、令和6年1月を経た今ではその時以上に怖い話になってしまった「日曜劇場」みたいなことがあったというケンコバケンコバなりの事件の余波があったと、よくよく消えば反論になっていない弁明で迎え撃つ。実は、ケンコバは、せいやの件については、面白すぎて羨ましい、芸人として最高だと嫉妬していると吐露し、話し合いは平行線の一途を辿る。

 とりあえず、今後は、ズムちん事件の話は打ち止めにするという結果になったが、今後も注視ししていこうと思います。

 

第18位 LAUSUBUB「Far East Disco」

 北海道のFM局AIR-G’で放送されている、テクノミュージックユニットのLAUSBUBがパーソナリティを務める「Far East Disco」は、おそらく、今の日本で一番尖った音楽が流れているプログラムだ。ふわふわしたトークをしつつ、「MUST LISTEN!!」のコーナーでは、バッキバキの音楽を紹介するところがめちゃくちゃカッコいいし、本当に音楽が好きなんだなと伝わってくるし、一人が北野武監督の「首」を観に行った話をしたら、誘ってほしかったと返すようなう仲の良さも見せてくるし、今年の酷暑においても、8月が終わった週から、冬の話をしていて、いくらなんでも北海道すぎるトークをしてくる。

 これは、ダウ90000の蓮見と園田にも言えるのだが、歳を重ねたからか、好きだった関係が仲違いしたことによりバラバラになっていったものを見すぎたせいなのか、この数年でお笑いコンビの運命共同体という幻想が完全に解体されてしまったからなのか、若者に対してずっと仲良くあれと思うようになった。これは、おそらく最近のアップデーターがよく口にしているケアの話とも繋がってくるかもしれない。関係性を消費しないように気をつけなければならないが、そんないやらしい視線さえ笑い飛ばすくらいに、適度に休みをとってケアをしつつ、自分達だけの世界を構築し続けてくれ。

 

第18位 「RADIKAKU」

 福岡でやっているcircleという音楽フェスがとてもいいという噂を聞きつけたので、その時の予習のために聴き始めたこちらも音楽プログラム。RADIKAKUとは、ラジオのカクバリズムの略で、メインパーソナリティはYOUR SONG IS GOODのサイトウ”JxJx”ジュンが担当し、月替わりでレーベルメイトのミュージシャンが登場する。番組の基本的なスタイルは、選曲テーマに沿った音楽をそれぞれが流すだけの、スカート澤部渡「NICEPOPRADIO」と同じではあるものの、そちらとは違う素敵な音楽が流れてくるので、仕事や作業をするときのBGMとして重宝していた。音楽の素養がないので、知らない音楽が流れては、ほー、とか、はー、とか、いい曲だなー、とか言っているだけだけれども、楽しんで聞いている。

 ただ、それだけでなく、サイトウ”JxJx”ジュンという人の、ラジオを通して伝わってくる、人としての気持ちよさみたいなものに惚れているからというのもある。とてつもなく、カラッとしていて、ベタな例えだが、南国の日差しのような人なので、少しだけ早いがこういう40代になりたいと思わせる。ワハハという笑い方もなんかカッコよく、設楽統と同い年だそうだが、メチャクチャいい匂いがしそうだ。その先は、ONE PIECEのガープ中将みたいになりたいですね。

 

第17位 『霜降り明星オールナイトニッポン』「せいや一人回」(2023.4.29)

 芸能史において、霜降り明星せいやのような才能は今後、出てこないだろうなと真剣に考えてしまった。粗品の体調不良による欠席に伴い、代役を立てず、せいや一人での放送となったこの回は、粗品のモノマネを交えて粗品が休むことを説明した後、、メールテーマ「◯◯さん、こんばんは」を募集する。せいやは、今日は一人だからリスナーと挨拶をするだけの放送にして、楽をすると話すが、リスナーからは、「武田鉄矢さん、こんばんは」、「アンミカさん、こんばんは」、「上地雄輔さん、こんばんは」とどんどんメールがブースに届き、せいやは彼らのモノマネで、メールに乗っていく。すでにもうワクワクしてくるが、「もうすぐ産まれる人、こんばんは」でぐっと、もう一段上に連れてかれる。元ネタが分からなかったりと、聴いているこちらもだれてくる時間が存在するのだが、突然、そこを抜けてまためちゃくちゃ笑ってしまうゾーンに突入するので気が抜けない。そんな放送の中での白眉は、なんといっても「時そば」だろう。

 親方と若手の二人は蕎麦を食べたいが、お金が足りないと言い合っているが、そんなところに蕎麦屋が通る。親方が、蕎麦屋を呼び止めて、蕎麦を注文する。若手は、手持ちのお金7文では蕎麦代の10文が足りないことを知って焦っているが、親方はまあ落ち着けと嗜めつつ、蕎麦を食べる。そして親方が、会計の際に、お金を払いながら「1文、2文、3文、4文、5文」と数えつつ、「親父今何時でい」と話かける。それに蕎麦屋は「8つです」と答えたのを聞いて、親方は「9、10」と支払いを再開させお店を出て、無事、10文の蕎麦を7文で食べることが出来た。その手口に感心した若手は、次の日、7文を持って蕎麦屋に行って、自分もやろうと試みるが、若手が捕まえた蕎麦屋は、反社の蕎麦屋だった。

 この「時そば」で完全に、せいやの地平に連れて行かれてしまった。真っ白い空間で、せいやが自分だけに向けて、時そばを披露している感覚に持っていかれそうになる。

 

第16位

 

第15位 空気階段の踊り場「もぐら岡山一人旅」(2023.7.18)

 空気階段の単独公演「無修正」の、全国ツアーで、水川かたまりの故郷である岡山への凱旋を行った翌日に、地元のサッカークラブイベントの営業を終えた後、スケジュール的にも本来であれば「踊り場」を収録しないといけないにも関わらず、水川はそのまま地元のサッカークラブの試合を見ていくことになったので、急遽、岡山に番組スタッフが収集し、もぐら一人で番組を収録することになった回。突然の対応の割には、リスナーの寿司屋に行ってお寿司を食べたり、初登場となるワッシーこと水川かたまりの父が出演したりと、その手際の良さから、そういうテイによるダマなのかはさておき、道路を走る音が時折入ってくる感じや、他者の証言を持って、その場に不在の人間のその輪郭を再構成しなおすという様子が、どことなくロードムービーのようで、とても良かった。

 もぐら達がいる飲食店に呼ばれたワッシーがかたまりの子供の頃の話をするなかで、「反抗期らしい反抗期はなかったんですよ。でも言うことは聞かない。普段、けっこう友達と毎日、もー外出て遊んで、活発だったんですよ。でもあのー、唯一、妹にだけ強いんです、あいつ。だから、あのー、もぐらと妹、だけにああいう強い口調。喋るのは世の中でその二人だけです。」が話すと、「あいつ、俺のこと妹だと思っている」というくだりは、めちゃくちゃ笑ったものの、かたまりがもぐらを妹だと思っているという見立ては、妙にしっくりくるものがあった。

 最後に流れた曲は、THE HIGH-LOWSの「14才」。痺れるね。

 

第14位 『伊集院光のタネ』

 とにかく大事件ですよね。ニッポン放送での伊集院光自体は知らないけれども、『深夜の馬鹿力』リスナーからしたら、ニッポン放送での伊集院光を実感できるというだけで、もうベストラジオ入りは硬い。しかも、まさかまさかの、火曜日から金曜日の帯番組なのだから、これはもう聴くしかない。

 番組のテイストは、夕方の番組然としていて、伊集院光言うところの性善説に基づいたトーンでお送りされるので、大陰唇とか、オリジナルの手慰みで恥骨粉砕とか、カントン包茎の対義語は四川ズル剥けとか、そういう類の単語は出てこないような温かいものなのだけれども、タネという名前のメールテーマに寄せられた色々なメールやお葉書にて寄せられる市井の民の体験談などは、ただ面白いだけででなく、捨ておけない良さがあったり、おっと思わせたりするものが多い。

 番組が始まってからしばらくはパートナーがニッポン放送のアナウンサーや伊集院光と旧知の仲で関係性もしっかりしている竹内香苗や、安田美香などが登壇し、安定感を見せていたが、つぶやきシローを皮切りに、タレントや芸人も出演するようになってきて、そのパターンにはそのパターンの良さもあって、番組全体が尻上がり的に盛り上がっていることが聞いていて分かる。つぶやきシローといえば、、この番組で話していた「映画館に行ったことがない」という話は、2023年にラジオで聞いたどの話よりも驚いたし、あんなに映画館あるあるをネタにしているのにって考えるとめちゃくちゃ引きました。

 あと、ラジオの思い出を本にする話ってどうなったの。

第13位 『ダウ90000蓮見翔・紗倉まなのAuDeeCONNECT』 紗倉まなラスト回

第12位 銀杏BOYZサンボマスター山口隆「」

第11位 アルコ&ピース「口DJ()」

第10位 『SAYONARAシティボーイズ

 4月から始まった、シティボーイズの50年近い活動の中で初めての冠番組シティボーイズの3人が揃い、ラジオコントを披露した後、近況を話したり、メールを読んだりするただただそれだけなのだが、めちゃくちゃ味が染みてて、面白い。特に、毎週披露するコントはじわじわと面白いだけでなく、シュールであったり、理不尽であったり、ナンセンスだったりしてとてつもなくたまんなく至福の時間なのだが、メンバーがローテーションで読み上げていく日記のコーナーも捨てがたい。トークは、雑談の極地に到達してる時もあれば、あまりにジジイすぎる時があったりと、普段聴いているラジオとは全く別の次元をふわふわとしている。たまに聞くのを忘れてしまう週もあるのだが、番組とのそんな距離感も、個人的には心地いい。帰り道に寄るコンビニの前にある囲碁所に目をやると、いつもあの3人の爺さんいるなくらいの感じ。

 この番組は一つの希望だと思っていて、例えば、好きで好きでたまらない番組もいつかは終わるわけだが、その時に、まだパーソナリティにやる気があるのであれば、リスナーのために枠を縮小しても続けないといけないですよ、シティボーイズがそうだったようにと言えるわけである。僕は一人だけを想定してこのことを書いているわけだけれど。あんたが辞める辞める詐欺みたいなことをしたって、それは我々リスナーは許さないわけだし、だったらこの番組を前例として、ボロボロの5分番組になるまで、やってもらわないと困るということを突きつけられるという後ろ向きな希望。

第9位 ウッチャンナンチャンのANN

第8位 爆笑問題カーボーイ「オリラジ中田事変(2023.6.6)」

第7位 バナナムーンGOLD「永井ふわふわとバナナマンの出会い(2023.8.12)」

 バナナマンの毎年恒例の夏の単独が終わった週の放送で、構成作家で、チームバナナマンの一人の永井ふわふわとバナナマンとの出会いに関するトークが、唐突にブースに呼び込まれた永井本人の口からなされたのだが、それがもう最高にエモーショナルだった。

 リスナーとしては、永井がTOKYOFMで放送していた『バナナマンの火曜WANTED』の出待ちからバナナマンやオークラと仕事をするようになったと言うことは知っていたが、話はそこに至るまでの前日譚があったという。

 この、タイタン所属の放送作家の野口が、永井と、もともと友達関係にあったと言う、恐らく初めて出た情報にも驚いた。それは、単に野口を知っていたというだけでなく、野口がタイタンに所属するきっかけとなった、永井の話の数年前に放送されていた『爆笑問題カーボーイ』での「田中の弟子募集」をリアルタイムで聞いていたからなのだが、この永井の物語は『火曜WANTED』よりもさらにそこまで遡るのかということに驚き、多層的に絡み合い始めた歴史に興奮が抑えられなくなった。

 これらの、ただただバナナマンと永井の運命的な出会いの話だけに留まらず、『WANTED』という大好きだったラジオの裏で起こっていた事件を今になって聞けただけでなく、そこに爆笑問題と『爆笑問題カーボーイ』も絡み合ってくるという全く予想出来ないような驚きの展開があるトークは、バナナマンの口から聞いても楽しめたと思うが、プロのお笑い芸人の巧みなトークではなく、喋りのプロではない永井本人が、辿々しく喋っていたからこそ、倍、刺さりました。ほんっと、20年以上、ラジオ聞いていたことへのご褒美みたいな回だった。

 

第6位 「神田伯山のオールナイトニッポン(2023.9.13)」

 いまいち、ニッポン放送のお笑いスターウィークに乗り切れないのは、たくさんのお笑い芸人が集められたとして、面白い番組になったとしても、レギュラー化するのは1番組あるかどうかなので、どうにもラジオの点と点を結んで線にしていく良さとは相反しているような気がしているからだ。しかし、神田伯山は、ANNにおいて、『問わず語りの神田伯山』で引いてきた線を、その一点に全てを打ち込むという、逆手を取った戦法だった。『HUNTER×HUNTER』でゴンがネフェルピトーに勝つための手法、今この瞬間で爆ぜることのみを、3秒先のことなど考えていないと思わせる途轍もない放送だった。例年なら、ベストラジオ第1位でもおかしくなかったのですが、今年は層が厚かった。

 「笑い屋のシゲフジくん」から始まり、「伊集院光いじり」、「伯山が青春時代に熱中した格闘家」、「無許可のTwitterからのツイート拾い食い」、「弘中綾香のANNが大爆死」、「爆笑問題太田光いじり」、「石井館長のANN」、「齋藤飛鳥が問わず語りリスナー」と『問わず語りの神田伯山』でこさえてきた荷物を大八車に乗せて赤坂から有楽町にやってきて、一気にぶちまけた冒頭20分を超えて、高田文夫、三村社長、ナイツの二人とお馴染みのメンバーも登場してくるだけじゃなく、お馴染みの古典をなぞるやつもあり、大袈裟ではなく、時間が圧縮されているような放送だった。特に、弘中綾香小島慶子石井館長オールナイトニッポンの55年の歴史における累々たる死屍を拾い上げたエピソードの数々は、真のラジオリスナーでなければ出来ない芸当だろう。

 あと、粗品が神田伯山を嫌ってるけど、多分、あんたたち出会うタイミングが違ったら、最高の親友になってたよ。

 

第5位 脳盗「ハレとケ脳(2023.9.17)」&「玉置一人喋りの回(2023.10.22)」

 阪神タイガースが優勝したことでの道頓堀への飛び込みの話から、なぜ、Taitanの「なぜ、ハレの場、お祭り状態を起こすのか」という疑問から、二人でハレとケについて掘り下げていく。

 最初は野球の話だったので、そこまで興味を持っていなかったが、玉置がジブリの「君たちはどう生きるか」をはじめとした昨今の「生きることについて」コンテンツが増加している風潮や、自身の出身地の島における葬式や祭りの話を例に出し、「体感で、まじか、こんな人が、自分が知らないだけで、同じ街に住んでたんだっていう衝撃を受けるための時間なんだよね。そうすっと勝手になんか解放しなさいって言われなくても、していくっていうような感じがあって。それを誘発する機能が祭りというものにはあるんだなっていう」と話す。

 それを受け、Taitanは「だからこそ主たるコンテンツである祭りの、要はだからさ、それを誘発するためには何かしらのきっかけとかさ、いろいろ理由とかが必要になるわけじゃん。その真ん中にあるものってのはとことんまで虚無、ナンセンスでいいんだって発想になってんだな」と返し、二人は人生において意味を求めがちだが、実は、人生において必要なハレの場の中心の本質は、意味の無さにあるとする。だからこそ、Taitanはマゾヒズム的な感情が発動する「ときめいていたり、凪だったり、絶望したりするという気持ちの閾値を越えさせないケの時間が大事」とも話す。

 Taitanはこの流れで「神田伯山のANN」がいかに凄かったかを語り始める。

 「その放送がすごくて。マジで。もう第一声から、気合が入りまくってる。で、生だから、もう超ノンストップで、普段の伯山さんのTBSラジオの番組以上に、もう、スリリングさを引き受けているような喋りなわけ。うぉゎ、そこまで行くんだみたいな。それに呼応してさ、ふざけたリスナーとかがさぁ、だんだんだんだんお祭り状態を作っていくっていうさ。そう、もうすごい熱狂が産まれてたの。」 

 ここの部分からTaitanの語りもヒートアップしていき、ニッポン放送が羨ましい、TBSラジオスペシャルウィークというハレの時代があった時に生まれたかったと「お祭りがあるって大事なんじゃないのー。」「お祭り欲しいよ、俺」と嘆き、その後ろで、Taitan曰く「これもまたね、お祭りの本質ってものを突いた曲」であるThe Chemical Brothersの「The Sunshine Underground」が流れ始める。曲調と、合間のTaitanのシャウトと語りが相まって、ブチ興奮った素晴らしい回だった。 

 もう一つの回は何の説明もなく、「読点って知ってる?」と、MONONOAWAREの玉置周啓が一人で番組で喋り始めた回。話した内容は、玉置が思考を揺さぶられた、島口大樹『鳥がぼくらは祈り、』という小説と、その作品を彩る不思議な文体を引き合いに、個人としての経験とコミュニティとしての経験、そこから「脳盗」でTaiTanのトークについていけていない時があるというイップス状態にある話をする。そこで、この放送がTaiTanからの急遽出された宿題だったことが判明するわけだが、普段の「脳盗」とはかなり異質な回ではあるし、トピックが散逸でとてもまとめるのが難しいのだが、いや、実はとてもシンプルで、それは玉置が小説を説明した「鳥が飛んでいると。大量の鳥が、群をなして飛んでいるじゃないですか。想像ができるじゃないですか。それが。それはみんなで隊列を組んでいるっていうよりは、それぞれが好きなように飛んでもいるが、決して逸脱はしすぎないっていう状態。バラバラで飛んでいるんだけど、なんか、鳥全体がゴムみたいに、むにゃむにゃむにゃむにゃ動きながら移動しているっていう」の如く、ぐにょぐにょと、うねうねと形が絶えず変わっているだけの紐帯のようなのかもしれない。訥々としていながらも、しかし確実に、誰か、もしくは僕に何かを伝えようとするその喋りの先にある「お前はお前なんだよってお前はいつも言うけど、もっと主語ってムズくて、お前は俺らで、俺は俺らなんだよ!」という叫びと、「Everything Everywhere All at Once」のテーマ曲でもあるSon Luxの「This is A Life」が胸に刺さった。TaiTanの「『さよならドラえもん』でジャイアンに掴みかかるのび太」という見立てもお見事だった。

 「脳盗」はまだまだまだムラっ気があるが、たまにこういうどデカいホームランを叩き出してくるから嬉しい悲鳴をあげてしまう。

第4位 ミキウィーク

第3位 『神尾晋一郎のサクラバシ919』「トム・ブラウンゲスト回(2023.6.14)」

 とあるツイートにて、この番組のこの回を、何も調べずに聞いてくれと暗に含めた形でレコメンドされていたのを見て、これはなんかあるぞと番組を聞いてみたら、凄いことをやっている回だった。「神尾晋一郎のサクラバシ919」のパーソナリティであるのは声優の神尾晋一郎なのだが、後々知ったことだが、構成作家はあの、福ちゃんこと福田卓也。ここで、濃いラジオリスナーは、何か仕掛けがあるのだろうと襟を正すことだろう。

 オープニングトークで、神尾はトム・ブラウンの漫才のツカミが好きだと話す。

「一番の楽しみはあれですよ。トム・ブラウンさんの漫才のツカミ。一番初めに、出てきたとしてね、どーもーの前にツカミでございます。一番初めにやるやつ。先週から言ってきますけど、私、ツカミの一番のファンですから。『はまぐりは殻ごと飲み込みます!』、『スマートフォンはベロでタッチします!』、『そうめんは捨てます!そうめんは、捨てます!!』。好きなんだー、絶対にやってほしいなー。」と、トム・ブラウンが好きだということを楽しく話しているが、続けて出た言葉からは、トーンが落ちる。

「僕は、あのツカミのねぇ、一番のファンなんですよ。やってくれるかなぁ。やってくれないとか、それはないよねぇ。だって目の前でさ、あの生のツカミが見たいわけじゃん。密室空間で。ねぇ、あのツカミを堪能したいんですよ。トム・ブラウンを独り占めしたいんだよ。」

 いつの間にか不穏なBGMも流れていたが、神尾は「この話題になると熱くなってしまう」と陳謝し、声を整えてトーンを戻し、そのほかのお知らせを始める。

 ゲストのトム・ブラウンの二人がブースに登場すると、神尾のトム・ブラウンファンが分かるようなワードを挟みつつ、「北海道といえば」ゲームをしたりと、番組はつつがなく進行していく。

ゲストのパーソナル部分を掘り下げるコーナーになり、みちおが好きなホラー映画「ミザリー」が紹介される。「ミザリー」のあらすじはこうだ。

 季節は冬。クリスマスシーズン。作家のポールは人気小説『ミザリー』の最終章を書き上げ、雪山を降りるが大きな事故に遭い、重傷を負う。ポールを助けたアニーは、『ミザリ』ーの一番のファン。献身的にポールを看病するが、完成した『ミザリー』の結末を読んで激怒。結末に納得がいかない。物語の続きを書けと迫る。アニーはポールを監禁し暴行、自分の納得がいく結末に書き直させるというクレイジーな行動に出る。そんな中、ポールの行方を探す保安官は、アニーの家にたどり着くが、アニーのクレイジーさに気づくのか。そして山奥の一軒家に閉じ込められたポールは看守の目を掻い潜って脱出することが出来るのか。

 この「かなり常軌を逸したファン心理を描くホラー映画」の好きな点を、みちおが語った後に、神尾から「トム・ブラウンの漫才のツカミをやってほしい」とトム・ブラウンにお願いする。しかし、トム・ブラウンは、「申し訳ないんですけど、あれは漫才のツカミなんで、こういうラジオの場でやってもちゃんとウケない」という理由で、申し出を断ってしまう。神尾は、「いろいろなところでやってるイメージある」と食い下がるも、トム・ブラウンも首を縦に振らない。神尾は「一番のファンが私がこれだけお願いしてもダメなんですね」と諦める。すると、机をドンと叩き、「分かりました、トム・ブラウンさんとはここでお別れです。ありがとうございました。単独ライブツアー、行きたい人が各自、自分で調べて足を運んでください。本日ゲスト、トム・ブラウンさんでしたー」と不機嫌さを隠さないまま言い放ち、Jr. Walker & All Starsの「Shotgun」を流し、「もう終わりすか」「早くないすか」と困惑するトム・ブラウンをよそに、ゲストコーナーを終わらせてしまう。

 ブースを追い出されたトム・ブラウンがラジオ局を出ると、外は吹雪いている。そんな荒天の中、二人は車を運転して帰っていくが、道中、あまりに強い雪にハンドルを取られて事故に遭ってしまう。その直後、事故現場に現れたのは神尾だった。

 ここから先は、どうにかラジオが好きすぎて全ての番組を録音している友人からMDを借りるか、違法聴取して聞いてほしい。いわゆる、『アルコ&ピースのANN』のリスナーなら大喜びする展開になっていくのだが、布石の張り方もしっかりしているし、何より神尾が声優であるという強みを最大限に発揮して、マックスの演技力が世界観を作っていく感じが、別の面白さを増幅させていた。

 神尾さんのファンはこの放送をどう思ったのか、とても気になる。これを楽しんでいたとしたらあまりに心が広すぎる。

 

第2位 『20周年記念JUNK大集合スペシャル』(2023.2.13) 

 TBSの深夜帯のJUNKの枠ができて20周年ということで、2023年の2月7日の「爆笑問題カーボーイ25周年ライブ~ついでに馬鹿力~」から始まった、お祭りウィークは、2月8日は「山里亮太の不毛な議論 presents 他力本願ライブ6」、2月9日は「おぎやはぎのありがとうびいき(仮)」と全曜日のパーソナリティが出演するそれぞれのライブが開催されたが、その締めくくりとして、日曜日に放送された『20周年記念JUNK大集合スペシャル』がランクイン。JUNK枠が二十周年ということで、オープニングで泣いている赤ちゃんも20歳になったかと思うと、ニルバーナのアルバムのジャケットで泳いでいる赤ちゃんが、そのことで裁判で訴えたくらいの感慨もひとしおだが、なんとか無事チケットを落手することができた、カーボーイのイベントの熱も冷めやらぬうちに聞いたこの放送は、お祭りのフィナーレに相応しいスペシャルに楽しい放送だった。

 伊集院光の一人トークから始まり、リスナーからの希望が一番多かったという伊集院光おぎやはぎのクロストーク伊集院光バナナマン、そして山里も参加し、最後に爆笑問題が登場する。

 元々、テレビ番組でも共演が多いし、時間も短いから、新しい話もクローズドな話も出ないのだけれども多幸感がとんでもなかった。

 番組の合間に流れるサウンドステッカーは、これまでのそれぞれの曜日からピックアップされた印象深いシーンが流れた。『深夜の馬鹿力』からは伊集院光を轢くためにアンタッチャブル柴田がTBSの廊下を原付バイクで走り抜けたら勢い余ってウイリーした回が、『爆笑問題カーボーイ』からは、田中がキンタマを腫らして休んだ回が、『不毛な議論』では山里が自分が幸せになることに結婚することについての思いを泣きながら語った回が、『メガネびいき』では矢作がサプライズで結婚を発表した回が、『バナナムーンGOLD」では日村が中村倫也とゴルフに行った際に中村倫也がおにぎりを差し入れしてくれたことを真似して別の日にゴルフに行った時に同じようにおにぎりを4つ買ったら道中の車内で全部食べてしまった回が流れていた。最後、なんでだよ、もっとあったろ。ただ、この『バナナムーンGOLD』のチョイスについて、誇らしくもあります。この番組は、楽しい事件しかないってことなんだから。

 

1位 『Connect』「RIPSLYME特集」(2023.8.2)

  令和5年度に8月に沖縄を襲来した台風8号には、とてつもなく難儀した。雨風が強くなってきてモノレールも止まることが決まったので仕事を早退するも、家に着く直前で駆け足になった瞬間に、マンホールで足を滑らせてすっ転び、立ち上がって歩き出すもめまいを起こして、しばらく道で寝て休んだりしたことから始まった初日から、停電してしまうというように災難が続いた。翌日は、仕事が休みになったため、ラジオを聴きながら子供とダラダラするしかないが、子はYouTubeも見れないし、どこにも行けないものだから、荒れたりするのでそれを宥めたりしつつ、絵本を読んであげたり、レゴに付き合ったりするも、お昼を回ったあたりにはすることが尽きてしまったりしていた。夏とはいえ天気も悪いため早めに、外は暗くなり、夕食を真っ暗闇の中で小さなライトをつける。ずっと前にこれとは別のライトがあったけど、◯◯ちゃんが気に入ってずっと舐めたりしていたから壊れたんだよ、とか話して、覚えてないよ、と怒られたりしながら、卓上コンロでインスタントラーメンを作って食べる。うまかっちゃんのレシピは、柔らかめになるように長めに茹で、ウインナー3本、卵を落として硬めにして、ゴマを振りかける、だ。

 お風呂は、洗濯カゴに水を張り、そこに卓上ガスコンロで温めたお湯を入れていき適温にしたものを使って入ることにしたのだが、水がたんまりと入った普段の状態とは違う洗濯カゴを見た子が、入る、と言い出したので、子のやりたいということは極力やらせるようにしている身としては、じゃあ、そうするかと、洗濯カゴを五右衛門風呂のようにして、入浴させたらとても楽しんでいた。

 (日記を見て正確に)次の日は特に普通だったが、さらにその次の日の朝、すでに雨風はおさまっていたため、自分は出勤をして、でもまだ保育園は休園するとのことで妻と子は家にいたのだが、その妻から、昼ごろ、水が止まったという連絡を受けた。ものの、まだ停電が続いていた影響で今度は水が出なくなってしまっていることに。やばいなあと思いつつ、大家に相談してみると、アパートの共有スペースの水道からは水が出るということを教えてもらったので、大家といえば親同様、店子といえば子も同様だなあとなり、水を組んでは、家のお風呂に一旦溜めておくということをするために、何往復も家と屋外の水道をしていたら、ふと、電柱の工事をしている人たちがいることに気がつき、そろそろ復旧するかもと一安心したりした。

 仕事から帰ってきた妻に、沖電が工事してたからそろそろ停電終わるかもしれない、みたいな話をしたりしながら、夕食の準備をする。夕食が始まり、思い出したようにラジオを手に取り、FM沖縄の「Connect」を流す。この番組でかかる曲の多くは、キリンジや少し前の邦楽ロックの名曲だったりするが、その中でも、唐突にスーパーカーでも、ちょっとマイナーな曲をかけるみたいなズラしも適度に挟んでくる、私物化スレスレの憎らしい選曲の絶妙さに、夫婦でいちいち、ぎゃーとか、うわーとか、タイシロウと同世代の我々は喚いたり、悶絶したりしていた。

 すでに番組は始まっており、タイシロウが、メロウさも軽やかさもある声で、台風被害を心配している。この日の特集は、リップスライム(ラジオで曲順を)

が流れてきたので、ふざけて、座ったまま、踊り始める。そんな父親が始めたリズム感の欠片もない、体幹の弱さが露わになるようなダンスを見た子も、お姉ちゃんパンツとうちでは呼んでいる布パンツ一丁の姿で、子供用椅子に立って、初めて聞いた曲で、ライトの弱い光に照らされながら、面白いでしょと言わんばかりの笑顔でくねくねと踊る。壁にできた、二回りほど大きい子の影も、ゆらゆら揺れる。危ないから座りなさいと怒っていた妻も、いつしか踊り出す。Dance is not Crime.

 ひとしきり、ダンスフロアが揺れた後、ふと、窓から見える近所の家の部屋に、電気が点いていることに気が付く。電気だ、と叫び、部屋の灯りのスイッチを着けてみると、部屋が一気に明るくなる。歓声が上がり、皆で拍手をし、沖電への感謝を叫び、カチャーシーを舞う。カチャーシー、魂の喝采。健康的なフェスのグランドフィナーレを終えた子はすぐに、YouTube見る!と言い出していた。

 この日、たまたまリップスライム特集がなかったら、ここまでグルーヴは生まれなかったのではないだろうか。

 

 しかし、今年のランキングは凄いですね。ほとんど番組がかぶっていないのは、僕を含めた5人くらいのベスラジファンはどよめいているんじゃないでしょうか。伊集院光のベストバイ2023で出汁やエキスが上位に固まるバランスの悪さを見るにつけると、頑張った方ではないでしょうか。ラジオを聴いて四半世紀になるけれども、ここにきて、ラジオを幅広く聞いているということに我ながら嬉しくなります。ベスラジが、馬鹿力とカーボーイ、たまにハライチのターン!の平場になるまではベストラジオはやっていきたい。

 ワーストラジオは、家族で大きな公園に行くために乗っていた車のラジオから流れてきたので聞いてしまった、秋元康の「いいこと、聴いた」で村重杏奈がゲストに出ていた回です。秋元が村重は最近頑張ってる的なことを言って、村重もなんか、「もっと売れますかね」的に返して、さらに秋元が「いや、いけるでしょ」とか話してて、高いメシ屋の個室でにやってろバカとなりました。

 ふと、気づいたらベストラジオも10年続けていました。

 以下がラインナップです。

 

2013年ベストラジオ 『爆笑問題カーボーイ』「太田の告白(2013.7.24)」

2014年ベストラジオ 『たまむすび』「石野卓球ゲスト(2014.10.23)」

2015年ベストラジオ 『爆笑問題カーボーイ』「流行語大賞落選(2015.11. 18)」

2016年ベストラジオ 『くりぃむしちゅーANN』「第160回(2016.6.17)」

2017年ベストラジオ 『伊集院光深夜の馬鹿力』「「初めてネタメールを採用された(2017.06.27)」

2018年ベストラジオ いつか執念を持って決めます

2019年ベストラジオ 『空気階段の踊り場』「駆け抜けてもぐら(2019.4.6)」

2020年ベストラジオ 『ハライチのターン!』「岩井の神田伯山ゲストの『爆笑問題カーボーイ』見学(2020.3.2)」

2021年ベストラジオ 『伊集院光深夜の馬鹿力』「フワいじりの回(2021.4.6)」

2022年ベストラジオ 『伊集院光深夜の馬鹿力』「ピンチをカオスに変えてやる。スタッフ総出でやってやっからなSP(2022.03.15)」

 

こうしてみると、本当に記録って大事だし、壮観ですね。いい趣味しているし、きちんと判断できている。つくづく18年だけできていないのが悔しい。

それではまた!




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