最新刊は4巻だし、おそらくまだ連載が続いている漫画だけどあえて3巻までしか読まなかった漫画がある。主人公のおじさんが100万円でドールの頭部(ヘッド)だけを落札してしまい、落札したドール「スターレット」の全パーツをそろえて完成させることを目指して勉強と情報収集をするという内容の漫画、略称「ドルおじ」である。「ドルおじ」の作者さんはドールをテーマにした他の漫画「はっぴーどーるでいず」の1巻の帯にコメントを寄せていたので名前が記憶に残っていた。残念ながら「はっぴーどーるでいず」は第16話で早くも最終話に入っている。おそらく打ち切りをくらったのだろう。かわいい女の子たちが4人ではしゃぐほほえましい漫画が打ち切りをくらっているのに、おじさんが主人公の漫画はいまだ続いているらしい。おじさんが主人公でありながら人気を保っているということは、さぞや面白いのだろう。完結まで見守るつもりはないが導入部くらいは読んでみよう、ということで1~3巻を購入。表紙の絵からしてわかっていたことだが、主人公のおじさん「真澄」さんの顔立ちがどうも好みではない。二次元キャラでは中年男性が好きなものの、真澄さんの顔はどうも好きになれない。しかし、あまりにも整った顔立ちだとギャグシーンが似合わないし、初心者感も出ない。初めて知る世界に戸惑いながらぎこちなく進んでいく様を描写するには、これくらい愛嬌のある顔立ちのほうがいいのだと思う。漫画のキャラデザとしてはおそらくこれで正解なのだろう。ただ私の好みでないだけで。
真澄さんの顔立ちから漫画の内容に話を戻そう。3巻まで読んだところ、ただドールを持つ(眺めたり着せ替えたりする)楽しみだけでなく、物体としての手入れ方法が書かれているのがよかった。ウィッグ(髪)の梳かし方、洋服の洗い方、傷の入ったボディの修復方法など。ドールは長いつきあいになる物なので、手入れ方法を知っておくのも大切だ。これを読むと、子供の時に持っていた着せ替え人形はずいぶんと雑に扱っていたと思う。おそらく、量産品の着せ替え人形は持ち主が子ども=雑に扱われることを前提に、頑丈につくってあるのだろう。髪はヘッドに直植えされていて着脱できなかったし、可動する関節は少なかった。玩具としての着せ替え人形と、高級なカスタムドールでは設計思想がちがうのだろう。
手入れ方法の他によかったところは、実在するお店を取材していること。「ドルおじ」は表紙絵のためにスタジオ撮影しているだけでなく、東京にあるドール専門店を訪ねて舞台にしている。実際にお店を訪ねたことのある人なら「いつも行ってるあのお店が漫画に!」と感動するだろうし、行ったことはなくても東京民なら「あのお店、気になってたけどこんな感じなんだ。今度は入ってみようかな」と背中を押してもらえるかもしれない。取材の許可をもらってまで描くのは商業漫画ならではだろう。これからもどんどん名店を紹介してほしい。
最後に。私があえて3巻までしか読まなかった理由をお伝えしよう。それは、主人公の持つドール「スターレット」に関する謎に興味がないからだ。連載漫画として物語を長く続けるために、あえて「謎」をつくって主題にすえたのだと思うが。スターレットが完成するまで完結しないとなると長期戦が予想されるので、そこまではつきあえないと思った。3巻の終盤でスターレットの元持ち主が登場し、スターレットのボディに関する情報がもたらされそうだ。4巻以降は本格的にパーツ探しが始まると思われるので、初歩的な知識が書かれた3巻までで読み止めさせてもらった。近々、3巻まとめて手放す予定だが喰わず嫌いならぬ読まず嫌いで終わらなくてよかったと思う。どんな漫画にも良いところはある。以上。