「きしゃぽん」へ本を寄付したら、礼状に査定額アップクーポン券が同封(物理)されていました。ありがたいけど、当分「いらない本」は貯まりません。寄付した直後なので当然ですが。クーポン券の使用期限はあと一ヵ月ほどあるとはいえ、どうしたものか…と悩みながら「ほしいものリスト」を眺めていたら文庫版『死にカタログ』が目につきました。
面白そうなタイトルなので前々から読んでみたかったのですが、ほしいものリストに入れたまま忘れていたのです。これなら安い。ということで購入。今さらですが読んでみました。初読の感想は「軽いけど名著なのでは!?」でした。まず文庫版なので物理的に軽く寝転がっていても読めますし、内容も思ったほど重たくないので精神的にも読みやすかったです。人が死にやすい場所をまとめた「死の場所」や、人の死因をまとめた「死の理由」は実用的でわかりやすく、ためになりました。どの章も文字数が少なくイラストが多く、コミカルな表現になっており、重くなりそうな「人の死」をテーマにしていながら深刻にはならないので読みやすい。私のお気に入りは「死の物語」という章。歴史上の人物・フィクションの人物の略歴と死にざまをイラスト化した章です。どのイラストでも人間はコミカルに描かれているのですが、犬などの動物は愛らしく描かれており「著者の寄藤氏は動物好きなんだろうな」と思いました。特に、ごんぎつねのごんは非常に愛らしい。少ない線と単純な輪郭線でこうも愛らしく描けるものなのかと感動。「死」を扱う本なのでたくさん人が死ぬイラストが描かれているのですが、どのイラストも対象への愛情が感じられました。極悪人とされている人物でも「死の物語」として半生を描かれると、一人の人間にすぎなかったことがわかります。半生のなかに第一次大戦・第二次大戦が含まれている人もいて「みんなそれぞれの立場で戦争に巻き込まれたんだな…」と、ちょっと複雑な気分になりました。サン=テグジュペリは第二次世界大戦時に44歳で行方不明になってしまったとか。なんという損失でしょうか。戦争がなければどれだけの作品が生み出さていたかと思うと、あまりにもったいない。歴史の授業を受けた時にはなんとも思っていませんでしたが、本書を読んで改めて戦争の不毛さに憤りました。文学など芸術好きの生徒さんには「この戦争には〇〇も参戦していたのよ」「彼が戦場から帰ってつくった作品がこの△△なの」という感じで教えてあげたら、歴史への興味がわくかも。この章のさらに面白い点は、実在人物とフィクション人物の見開きが交互にあるところ。実在人物の半生を読んでしみじみしたあと、フィクションの死にざまを見てクスッと笑う。いい塩梅です。映画のなかに「ロミオとジュリエット」がさらっと混ざっているのも笑いどころ。
最後に、本書で一番ためになったところ。それは最終章「死のしまい方」に描かれている「死への態度」でした。「死生観」という言葉はあり、死後の世界について、その世界観のちがいはよく話題になりますが、自分の死への向き合い方は話題になりにくい。たとえ家族でも「おれ、死ってこういうものだと思ってるんだよね」なんて話し合うことはないですよね。それを考えると「自分は死をどう捉えているのか」と自問する貴重な機会になりました。『死にカタログ』を書いてくれてありがとう、寄藤先生。